ツアー・ファイナル、10年の集大成ということで、さまざまな“仕掛け”があると思っていたが、彼女らしいこだわりの構成とメッセージが垣間見られると同時に、これに華を添えるゲスト陣が集まった。
幕が左右に開き、バンドによるイントロダクションの後、「Wonderful」からスタート。ステージは中央奥にアルファベットの“D”が飾られ、その上が上段ステージとなっていて左右に階段が降りている。バンドはステージ左からキーボード、YuraiとAsiahの女性コーラス2人(観ていた位置が左寄りだったため、当初は確認出来なかった)、階段を挟んで、キーボード/トーキングモジュレーターのGAKUSHI、フロリダから迎えたドラマー、ジョン・ブラックウェル(マドンナやプリンスのバックを担当する辣腕ドラマー! スティックをクルクル回転させながらの高速ドラミングなど技術が凄い!)、ベース兼キーボードのHi-Roという構成。DOUBLEのライヴとしては久しぶりのバンド・スタイルだ。最近ではイヴェントなどで彼女のステージングを体験してきたりはしたが、長くても20~30分という持ち時間というイヴェントでは、いたとしてもDJ/ターンテーブルくらいだったので、コーラスもついた生バンドというのは嬉しい限り。そもそもツアーが6年ぶり。前回はファースト・ツアー“LIVE VISION”だったか。(AXに2日間通ったっけな)
ゴージャス&ホットにステージを盛り上げるダンサーは、イヴェントでもよく参加していたエネルギッシュな女性ダンサー4人(そのうち、NANAKOはMISIAのライヴでも踊っていたような気がしたな)。PVにもよく出演しているいるようで、もうDOUBLEのライヴには欠かせないメンバーといったところか。彼女らの踊りは肉感が強く、なめらかさや妖艶さといったところでは飛び抜けている感じはないが、現在のDOUBLE=TAKAKOが嗜好している濃く太いブラックを如実に表わしている楽曲などで踊らせると、これ以上ないというくらいに会場に一体感と高揚感をもたらせる。かといってパワフルやハード一辺倒ではなく、「SUMMERTIME」などでみられる陽気さなどでも魅せられるところが、トップクラスのダンサーの証なんだろう。
最初はゴールド(?)のハットにそれに似た色の上下のスーツ・スタイルで登場したが、その後も多くの衣装チェンジがあったのもこのライヴの特色。ファッションショーさながらの変身ぶりは、“ダブル・コレクション”とでもいえそうなほど。このあたりが殊に若い女性たちを熱狂させる要因でもあるんだろう。また、あまりステージでのMCが巧い方ではないし(MCで盛り上げるというタイプでもないだろうし)、サウンド、ヴォーカル、ダンス、ファッションなど、パフォーマンスそのものに魂を込めて表現するタイプの彼女には、衣装というものも楽曲のメッセージや自己表現する上では、強く意識すべき要素でもあるのだ。
オープナーから「destiny」「Driving All Night」「You Got To」と軽快なノリのナンバーを連発していたが、この流れもベスト・ライヴだからこそなせる豪華な展開。「U」を挟んで「handle」になると最初のゲストである、Full Of Harmonyの3人が上段のステージに登場。「Let's Get Together」でHIROとの共演という選択肢もあったが、ここはやはり3人に揃ってもらうということでのこの曲か。続いて、エビちゃんこと蛯原友里出演のCM曲として知られる「We International」をアクセントとともに。アクセントは小柄ながら肉体が弾けるといった風で、前のめりの迫力で会場を煽る。そしてアメリカからやってきて1曲のコラボだけじゃ、ということか、DOUBLEは衣装チェンジを兼ねてのブレイクでステージ・アウト、アクセントのショウケース・セクションへと移行した。“ジンジギザンガ~”のフレーズで話題となった「ジンギー」を軽くかますと「ルージング・コントロール」へ。独特の抑揚と歌いまわし、フロウが癖になる中毒性のあるナンバーを、圧倒的なパワーで演じてステージ・アウト。観客も彼女の予想以上のパワーに押された感じも。
こう意外にもサクサクっとゲストが登場すると、今後のゲスト登場にもかなり期待が持てるのではという思いが頭をよぎる。そうはいっても「You Got To」でS-WORDは来なかったな、などと贅沢なことも。
そんなことを考えていると、スクリーンにアラビア風景を模したCGが映し出され、ゲストが参加するから豪華なんじゃないわ! といわんばかりに、ダンサーが担いだアラビア風神輿に座ったヴェールをまとったDOUBLEが登場。神輿を降ろしダンサーにヴェールをはがされると、これまたゴージャスな衣装で雰囲気は一気にアラビアンナイトとなり「Arabian Dream」へ。この時、ダンサーもセクシーなアラビアンな衣装だったのだが、個人的にはどうしてもエネルギッシュなダンスのイメージが抜けなかったので、陰のある妖艶さで圧倒されたというところまではもうちょいか、と思ってしまったり。
アラビアンの後は、サンバイザー、ピンクのショートパーカー&ショートパンツ・デニムといったスポーティないでたちで登場。「Souljah」を終え、“暑いですねぇ~。暑いと海に行きたくなりますねぇ。でも歩いていくっていうのもなんなので、ちょっと行って来ま~す”とステージ・アウトすると、すかさずスタッフに押されながら張りぼての簡易的なピンクのオープンカーにダンサーを含めたレディーズ5人が同乗して登場。“水着は持った?”“持った!”“ビーチサンダルは持った?”“持った!”の掛け声が楽しい「SUMMERTIME」へ。その途中からニッコリ笑顔&長方形のサングラスをしたVERBALがステージ・インすると、一気に観客がヒート・アップ。やはり、VERBALはオーディエンス・フロア・キラーというか盛り上げが巧い。曲のラストには、レディーズが乗っていたオープンカーにVERBALも同乗してそのままステージ・アウトというオチ。
ベスト盤を引っ提げてといったツアーは、オリジナル・アルバムを引っ提げてのそれと違い、楽曲の1つ1つのインパクトはあるが、それらをどのように構成していくのかによってそのライヴが充実するか、極端に言うとぶつ切れで終わってしまうかが決まってしまう。それは代表選手やトッププレイヤーをただ集めれば、完成度の高く強いチームが出来る訳では必ずしもないという理屈と似ている。そういう意味で、どのような楽曲をピックアップしどう構成するかに頭を悩ませていたと思うが、彼女はオリジナル・アルバム同様、インタールードを適宜用いることで、スムースなステージングを図った。それもただ衣装チェンジのための時間を稼ぐために重きを置いたものではなく、しっかりと“繋ぎ”を考えたのだ。アルバムにおいてもあまり語られる機会が多くはないと思うが、個人的にDOUBLEは特にシングルよりアルバムにこだわりを持っているように思えるのは、アルバムが常に全体像としてのコンセプトを強く持って制作されるからで、そのためにはインタールードが実は重要になり、そこに1楽曲制作と同様の精力をかけているのではないかと思えるからだ。スポーツで言えば、野球の犠打、サッカーのくさび役、バレーボールではリベロ、建具なら鎹(かすがい)といったように、直接的には派手でもなく、それらそのものでは即結果へと繋がるものではないが、そこがしっかりと安定していれば、1つ1つが3にも5にも10にもなる力を秘めているものだ。今回のステージの、インタールードを蔑ろにせず、世界観を創り上げていたところに、彼女の強い信念が込められているのではないかと感じた。
白の輝くドレスをまとって「SPRING LOVE」を熱唱した後は、“せっかくこんなドレスを着たんだから、エスコートでもしてもらおうかしら”とDOUBLEがいうやいなや聴こえてきたのは「プラチナム・デート」のキーボード・イントロ。そしてステージ右からZEEBRAが登場。よく考えると“内ポケットに万券”“中華ならば日帰りで香港に”などのフレーズは、どちらかというと成金的な感じがしなくもないが(苦笑)、ステージで寄り添って演じる2人からはゴージャズ&ラグジュアリーな風体が伝わってきたので問題ないってことで。
「Breathe again」はトニ・ブラクストンのベイビーフェイス・プロデュース曲だが、この曲をステージで披露するのは今回が初めてとのこと。そして、“シングル・カットもされてないのに、ファンの人気投票で1番だった曲”という「Okaeri」を。女性はセクシーでエネルギッシュないつものDOUBLEのイメージとは違った母性を、男性はこんなかいがいしい女性が傍にいたら(爆)と思うであろう、しっとりとした包容力を感じるメロウ・バラードに、オーディエンスは息を呑むことしきり。椅子に腰掛けながらのパフォーマンスもなかなか。
衣装チェンジ(何回目だ?…笑)後に初期曲のメドレー(これらの曲はフルで聴きたかった、と言い出したらキリがないのだろうが)を歌うと、待ってましたの「Shake」へ。PV同様の振りをここでも披露。そして、彼女にとってことさら特別な曲、急逝した姉SACHIKOのことを歌ったアンジェラ・ジョンソン提供曲「Angel」となると、会場が一瞬にしてミラーボールに反射された光が星空のような清廉な空間を作り出していた。
ここからは高濃度のアッパー・チューン3連発「Call Me」「Emotions」「ROCK THE PARTY」へと畳み掛けるようにして展開して、本編は終了。イヴェントなどでは高い頻度でコラボしていたBOY-KENが「ROCK THE PARTY」で来るかと思ったら現れず、だった。
だが、ラスト曲にゲスト参加がなかったことが、大物の登場を予期させていたのかも。アンコールの声、クラップが暗転中にホールに響いているなか、ステージ左側の観客が入れない観覧スペースから“ブラックダイアモンッ!”って掛け声が。その場所の近くにいたので、誰だ? と思って見たらZEEBRAだった。すると、ステージが明るくなりメンバーが再登場。スクリーンに漆黒の宝石、ブラックダイアモンドが映し出されると、上段ステージにTAKAKO、そしてステージ中央には安室奈美恵! 一気にステージ前方へとなだれ込むように駆け込むオーディエンス。この日最高ともいえるヴォルテージがホールを埋め尽くすことに。正直なところ、ライヴ・イヴェント“a-nation”ツアー中ということもあるのか、きっちり歌えていたかというと少々微妙なところもあるが(マイクを離して歌うも声がうまく通らず音を拾えなかったりしたし)、もう彼女に関してはそういうところを超越しているのだと実感。存在自体で会場をヒート・アップさせ興奮の渦を巻き起こせる数少ないトップ・エンターテイナーの貫禄なんだろう。歌い終えてハグした後、DOUBLEも“(彼女は)あらためて言う必要もないでしょう、アムロナミエ~”と言っていたし。この「BLACK DIAMOND」には“終わらない、止まらない、このSUPER SISTA!”という決めフレーズがあるが、もちろんこれは「shake」にあるSACHIKOとTAKAKOの姉妹のこと示した詞から引用したものだが、この日の「BLACK DIAMOND」でのこのフレーズに、あらためて2人が“日本のR&Bシーンのスーパーシスタ”だと感じた人は少なくないと思った。TAKAKOと安室が寄り添ってブラックダイアモンドをかたどったポーズをしたところに、バックライトが当たって…日本女性R&Bシーンの至宝を見た気がした。
安室がステージ・アウトし騒然とするなか、“さまざまなコラボをやっていますが、次の曲はこれはみんなとライヴでコラボしたくて作った曲です、ついてこれるー?”と煽って再び注視させるところはさすが。その「Rollin' on」では、ボーイズとガールズが交互に“アーアア”とコール&レスポンス(横のスペースからZEEBRAやVERBALなども“ボーイ・イン・ザ・ハウス!”とか叫んでいたな)。そして、「Who's That Girl」で締め。ただ、ここでまたアンコール&クラップ。そして、横のスペースにいるZEEBRAがまたしても“ベーッド!”とセット・リストを暗に示すような叫び第二弾を。(笑)
再びステージに戻ったDOUBLEは、感謝の意を述べて、2ndアンコールへ。10周年のエポック・トラックともいえる「BED」と「残り火 -eternal BED-」をメドレー・スタイルで披露。「BED」は1番のみを歌って、そこからフルで「残り火」へ。“この部屋のすみでも ずっと黙ったままでも そばにいれば わかりあえるから”のフレーズがこだまするホール。オリジナルは胸に込み上げるような切ない楽曲だが、そういうタイプの曲がこんなに手を挙げ身体を揺らすように盛り上がるグルーヴィなトラックになるとは夢にも思わなかったのでビックリ。それほどこの瞬間、この空間が、一体感と充足感に満ち溢れていたということなのだろう。出来れば「BED」もフルで聴きたかったのだけれど、1番のみで「残り火」へ繋いだのは意味があったのかもしれない。SACHIKOが歌っていた1番から繋がる“まだ間に合うならば 「ありがとう」の言葉届けたい 素直な気持ちで”と綴る「残り火」へ。元来は恋の歌ではあるが、この歌詞のいたるところに、姉SACHIKOの面影と感謝を感じるのは、自分だけだろうか。
最後にパープルのTシャツを着させてもらい、ステージ・メンバーが全員で並ぶと“みんなこれ見て!”と全員が背中を観客に向ける。Tシャツにバックプリントされている言葉は“We R&B”。そしてTAKAKOの掛け声でオーディエンス全員が“We R&B!”と叫んでステージは幕。“We R&B”…この言葉にはいろいろな思いが詰め込まれている。“We”はもちろんTAKAKOとSACHIKO、DOUBLEとしての“WE”であるのと同時に、まだ日本にR&Bが根付いていない時期から強い意志とプライドでR&Bを貫き通してきたという彼女と彼女を支えてきた家族や関係者、そしてファンとの“WE”だということだ。その思いが最後の“WE R&B!”のコールとなったのではないか。
R&Bとともに10年という時まで過ごしてこられたDOUBLE。彼女の目指す高みには何があるのか、どんなものを提供してくれるのか、またさらに嬉しい裏切りを期待してみようという気になったライヴだった。
◇◇◇
<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 Wonderful
02 destiny
03 Driving All Night
04 You Got To
05 U
06 handle(feat. Full Of Harmony)
07 We International(feat. Ak'sent)
≪AK'sent SHOWCASE≫
08 Zingy~Losing Control(Perfomed by Ak'sent)
09 Arabian Dream
10 Reflex
~Interlude~
11 Souljah
12 SUMMERTIME(feat. VERBAL)
~Interlude~
13 SPRING LOVE
14 Breathe again(Original by Toni Braxton)
15 Okaeri
16 プラチナム・デート(feat.ZEEBRA)
17 ~MEDLEY~
Crystal Clear~Free Style~Desire~Little Things You Do~Make Me Happy~Sweet Time
18 Shake
19 Angel
~Interlude~
20 Call Me
21 Emotions
22 ROCK THE PARTY
≪ENCORE #1≫
23 BLACK DIAMOND(feat. NAMIE AMURO)
24 Rollin' on
25 Who's That Girl
≪ENCORE #2≫
26 BED~残り火-eternal BED-
~OUTRO~
NEVER FORGET YOU
<MEMBER>
Hi-Ro(Hiroyuki Matsuda)(B/Key)
GAKUSHI(Key/Talk Box)
John Blackwell(Dr)
Makoto(Key)
Yurai(Cho)
Asiah(Cho)
<Dancer>
CHIYUKI
MIHO BROWN
LIL'MIHO
NANANKO
YUUKI
◇◇◇
もう会場内でも帰り際でも誰も彼もが言っていたのでいいたかないが…、
安室は顔がちっちぇーなー!!(笑)
TAKAKOも細っこ~い!!(爆)
終了後、会場に流れたSACHIKOの声が、また胸をキュンとさせるんだよなー…。
しばらくは、家で聴く曲はDOUBLEばかりになりそうな、そんな予感。(笑)
DOUBLE&安室奈美恵 / BLACK DIAMOND
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Amuro namie and double "black diamond"
Uploaded by GO-GO-STALIN
Amuro namie and double "black diamond"
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安室が30歳、TAKAKOが33歳か~。見えないなー。