FC東京、2025シーズンの(捕らぬ狸の)皮算用。
Jリーグは、1月22日13時に、明治安田J1リーグ、同J2リーグ、同J3リーグそれぞれの4〜12月開催分の試合日程を発表した。今季の日程は、例年とは異なり、昨年12月13日に「年間対戦カード」(ホームorアウェイ、各節の開催候補日)、「THE国立DAY」(国立競技場開催試合の開催日、対戦カード)、「フライデーナイトJリーグ」(金曜日開催試合の開催日、対戦カード)を発表。次いで、12月20日にYBCルヴァンカップの組み合わせ(1stラウンド)、開催日(1stラウンド、プレーオフラウンド、プライムラウンド)、対戦カード、キックオフ時刻、スタジアム((1stラウンド 1回戦、2回戦の一部カード)を、12月27日に明治安田J1・J2・J3リーグの2月、3月開催分キックオフ日時、スタジアム等を発表して、昨年のうちに大部分の概要が示されていた。今回の発表において、9月以降開催分(7月中~下旬発表予定)を除き、開幕から8月開催分までのキックオフ日時、スタジアム等が確定した(ACL出場チームとの兼ね合いで、一部未確定の日程あり)。
そこで、FC東京のJ1リーグ日程を見ながら、シーズンの希望的展望を感覚とノリで考えてみたい。新たに清水、横浜FC、岡山の昇格組が加わった2025シーズンのJ1リーグだが、移籍や補強を頻繁に行ない、各クラブの陣容も当然ながら昨年とは変わってはいる。そのなかで、しっかり戦力を把握して考察するというのは、現時点においては、かなり難しい。それを踏まえて、相性などを含めた感覚(適当とも言う)を軸に、FC東京のシーズンを展望していこうと思う。
まずは、FC東京の2025シーズンの日程を見ていこう。
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【FC東京 2025シーズン 試合日程】
◇2025明治安田J1リーグ
第01節 02月15日(土)14:00 FC東京 ✕ 横浜FC(A・ニッパツ)
第02節 02月22日(土)15:00 FC東京 ✕ 町 田(H・味スタ)
第03節 02月26日(水)19:00 FC東京 ✕ 名古屋(H・味スタ)
第04節 03月01日(土)14:00 FC東京 ✕ 鹿 島(A・カシマ)
第05節 03月08日(土)16:00 FC東京 ✕ 湘 南(H・味スタ)
第06節 03月15日(土)14:00 FC東京 ✕ 福 岡(A・ベススタ)
第07節 03月29日(土)17:00 FC東京 ✕ 川 崎(H・味スタ)
第08節 04月02日(水)19:00 FC東京 ✕ 東京V(A・味スタ)
第09節 04月06日(日)13:00 FC東京 ✕ 岡 山(A・JFEス)
第10節 04月11日(金)19:00 FC東京 ✕ 柏 (H・国 立)
第11節 04月20日(日)15:00 FC東京 ✕ C大阪(A・ヨドコウ)
第12節 04月25日(金)19:30 FC東京 ✕ G大阪(H・国 立)
第13節 04月29日(火)13:05 FC東京 ✕ 清 水(H・味スタ)
第14節 05月03日(土)14:00 FC東京 ✕ 新 潟(A・デンカS)
第15節 05月06日(火)14:00 FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス)※1
第16節 05月10日(土)15:00 FC東京 ✕ 神 戸(H・味スタ)
第17節 05月17日(土)16:00 FC東京 ✕ 浦 和(A・埼 玉)
第18節 05月25日(日)15:00 FC東京 ✕ 広 島(H・国 立)
第19節 05月31日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都(A・サンガS)
第20節 06月14日(土)19:00 FC東京 ✕ C大阪(H・味スタ)
第21節 06月22日(日)18:30 FC東京 ✕ G大阪(A・パナスタ)
第22節 06月28日(土)19:00 FC東京 ✕ 横浜FC(H・味スタ)
第23節 07月05日(土)19:00 FC東京 ✕ 柏 (A・三協F柏)
第24節 07月19日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和(H・味スタ)
第25節 08月10日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島(H・味スタ)
第26節 08月16日(土)19:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS)
第27節 08月24日(日)19:00 FC東京 ✕ 京 都(H・味スタ)
第28節 08月31日(日)19:00 FC東京 ✕ 名古屋(A・豊田ス)
第29節 09月13日(土)・14日(日)・15日(月)00:00 FC東京 ✕ 東京V(H・味スタ)
第30節 09月20日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎(A・U等々力)
第31節 09月23日(火)00:00 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ)
第32節 09月27日(土)・28日(日)00:00 FC東京 ✕ 横浜FM(H・味スタ)
第33節 10月04日(土)・05日(日)00:00 FC東京 ✕ 清 水(A・アイスタ)
第34節 10月18日(土)・19日(日)00:00 FC東京 ✕ 広 島(A・Eピース)
第35節 10月25日(土)・26日(日)00:00 FC東京 ✕ 岡 山(H・味スタ)
第36節 11月09日(日)00:00 FC東京 ✕ 町 田(A・国 立)
第37節 11月30日(日)00:00 FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ)
第38節 12月06日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟(H・味スタ)
※1 横浜FMが「AFCチャンピオンズリーグエリート 2024/25」準々決勝以降進出の際、6月25日(水)19:30に開催
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FC東京は、数としては大きな補強はなかったという見方もあるかもしれないが、ディエゴ・オリヴェイラの後釜としてマルセロ・ヒアンが、そして中盤に橋本拳人が加入したのは大きい。元来タレントを有しているので、戦術やスタイルをしっかりと構築し、守備を整備すれば、順位を大きく落とすことはないと考えている。とはいえ、松橋体制1年目。お世辞にもアルベル、クラモフスキーと受け継ぐなかで、着実かつ綿密に土台を築き上げてきたとは言い難いこともあり、容易に優勝争いに絡めるとは思えない。新潟で結果を出したとはいえ、昨季はFC東京よりも順位は下でフィニッシュしていて、終盤は残留争いしていたのも気になる。これが選手の駒が変わったことで、成果を上げるということになればいいが、そう上手くはいかないだろう。
個人的にはFC東京としてのサッカーのスタイルを根付かせることを優先に、一喜一憂しないことを求めたい。それゆえ今季はタイトルに及ばなくとも(内容や成果が窺えれば)許容出来るし、3~5年後くらいまでにリーグタイトルを常に争える軍団としてのエポックメイクなシーズンにしてもらいたいところだ。
さて、FC東京の開幕戦だが、再びJ1へ戻ってきた横浜FCとアウェイで、第2節のホーム開幕戦は町田との対戦となった。国立開催の「THE国立DAY」はホームとして柏、G大阪、広島、アウェイとして町田の4戦が組まれた。最終節はホーム・味スタでの新潟戦。新たにFC東京を指揮する松橋監督の古巣との対戦というのも、なかなか因縁めいたものとなった。
相手との実力うんぬんではなくて、勝利を求めたいのは、やはり東京V、町田との東京勢との対戦だ。昨季は東京Vには2分、町田にはシーズンダブルと1勝も出来ず、屈辱の東京勢最下位に終わった。FC東京にとっては悔しくも“昨季上位”との対戦となるが、4試合全勝が理想だが、少なくとも敗戦は0にしたい。第2節のホーム開幕戦で早速町田との対戦を迎えるが、両者シーズン当初で不安要素を持っているからこそ、泥臭くともまずは勝利を挙げて、昨季の悪いイメージを払拭しなければならない。
その町田に昨季国立で敗れ、“国立無敗神話”は脆くも崩れ去ったが、(“ホーム国立無敗”などのセコい煽りはせずとも)、FC東京が国立での試合に相性がいいことは確かなところ。昨季は3得点するも、GK波多野の退場もあって追いつかれ、FC東京の序盤の勢いを止める形となってしまった柏をはじめ、昨季4位でフィニッシュしたG大阪、近年常に上位に位置し、昨季は惜しくもタイトルを逃した広島となかなか骨のある相手との対戦となるが、ここで勝利すれば、FC東京=国立優位を再び意識づけることが可能となる。昨季も鹿島や浦和に勝利しており、その利点を駆使しない手はない。もちろん、アウェイとなる町田戦はリヴェンジ必須だ。
"鬼門”となっていた福岡、鳥栖の九州勢にも勝利し、嫌なジンクスを止めてきていた昨季だが、味スタでは最終節でようやく3勝と、まさかホームが“鬼門”と化すとは考えていなかった。ホームでしっかりと勝つ、あるいは負けずに終わることに、より奮起しなければならない。スタートダッシュが掛けられるかは重要で、序盤に勝ち点を重ねることで、チーム作りにも好循環が生まれるはずだ。序盤から負けが込んでしまうと、精神的にも厳しくなり、パフォーマンスや采配ともに柔軟性を失っていく恐れがある。
2、3月の日程を見てみると、7試合のうち、第2節の町田戦、第3節の名古屋戦、第5節の湘南戦、第7節の川崎戦の4試合がホーム・味スタでの開催となる。町田に勝利して昨季のイメージを払拭することが出来れば、中3日のミッドウィークでの名古屋戦、湘南戦は勝機がありそうだ。そして、アウェイ鹿島、福岡含めて6試合で勝ち点12以上は期待したい。その勢いを持って、"宿敵”といいながらも圧倒的な勝敗差をつけられている川崎との多摩川クラシコへ挑みたいところ。味スタでの川崎戦で勝利出来れば、次節のミッドウィークの東京ダービーにも弾みがつくことは間違いない。
連戦となる大型連休は、第12節の国立でのG大阪戦から、中3日でホーム清水戦、中3日でアウェイ新潟戦、中2日でアウェイ横浜FM戦、中3日でホーム神戸戦となるが、第15節の横浜FM戦は横浜FMがACLEで準々決勝進出を決めると、6月25日(水)に開催となり、中2日がなくなるのは体力面を考えると非常に大きなポイントだ。遠征も新潟のみで、横浜FM戦が入ったとしても近場であるから、疲労も少なく抑えられそうだ。それゆえ、この期間は、国立の優位や昇格組、昨季下位などタフな日程ながら苦戦としてはならない。5試合で勝ち点10、あるいは4試合で勝ち点8以上は獲得したい。
夏以降失速が目立つ近年だが、今季も7月、8月はトップハーフへ進出するかボトムハーフへ巻き込まれるかの分水嶺になりそうな日程が続く。第23節のアウェイ柏戦を皮切りに、ホーム浦和戦、ホーム鹿島戦、アウェイ湘南戦、ホーム京都戦、第28節のアウェイ名古屋戦は、なかなかに難しい。浦和、鹿島のほか、例年後半から調子を上げてくる湘南や京都、今季戦力の充実が窺えそうな名古屋との対戦は、いかに負けないかが肝になりそう。ホームで負けないことがどの程度出来るか、だろう。この5試合では、勝ち点8以上はキープしたい。
前半戦同様、9月に東京ダービーと多摩川クラシコが続けて組まれている。あってはならないが、ここで連敗をしてしまうと、体力面も含め、終盤へ向けての勢いが減退する危険性を大いに孕んでしまう。そうなると、10月に入っての第33節の清水戦、第34節の広島戦というアウェイ戦も難しい戦いとなる。さらに、終盤には国立での町田戦、アウェイ神戸戦とタフな戦いが控えており、仮にボトムハーフや残留争いに巻き込まれることになると、非常に切迫感に苛まれることになる。一方、上位を維持していれば、さらなる上昇に挑むスリリングな展開となっているかもしれない。
具体的な勝ち点を挙げて、順位を予想することは、相対的な面もあり、ここでは考察しないでおく。ただし、(1)ホームでの勝利数を上げる(昨季の味スタ3勝、国立4勝を味スタ2桁勝利に)、(2)下位への取りこぼしをしない(失点数の減少)、(3)東京勢に不敗、川崎へのリヴェンジ、の3本で成果を達成することが出来れば、おのずと順位は上がっていくはずだ。
新監督を迎え、若手や新戦力とヴェテランの融合によって変化と成長をもたらした新生“FC東京”の飛躍を期待しながら、開幕を待ちたい。