W杯によるJリーグ中断前最後の試合は、現在首位を走る清水を相手にホームの味スタで対戦することになった。清水は前節出場停止だった小野、ボスナーらが復帰。センターのヨンセンと藤本、岡崎を組ませた強力3トップで迫ってくる。対するホームのFC東京は、羽生を2列目に配した平山と重松の2トップ。W杯後に海外移籍も噂される長友や、今野の代表選出組はもとより、惜しくも23人に入らなかった石川、徳永にも大きな期待がかかる。
ゲームの入り、そして人やボールへの寄せはこれまでの東京とは違うような意気込みを感じさせてくれた。圧倒的、とまではいかないが、セカンドボールへの対処、ピンチを初期で防ぐためのプレッシャーなど、これまで意気消沈していたチームとは思えないアグレッシヴなパフォーマンスを見せてくれていた。前節の山形戦でアウェイながら3-0で勝利した流れをうまく継承していた展開か。
だが、さすが首位の清水。そんななかでも、小野の巧みなパスセンスと長い足と高さを駆使したヨンセン、労を惜しまない岡崎のチェイスなどで、少しずつチャンスを作っていく。
前半25分に、FKを得た清水は、小野からドンピシャで平岡の頭に合わせ先制。ドフリーでのヘッド弾ではさすがの権田も触れない。一瞬の集中力の欠如によって失点を招いてしまった。
だが、何とか追いつこうと、重松をはじめボールを追う東京の選手達。内容はそれほど悪くないなか、前半は0-1で終えた。
早々に追いつきたい東京だが、68分にゴール前25m付近で清水にFKを与えてしまう。ボスナーがボールをセットし、弾丸FKモードに入るかと思った瞬間、藤本がスルスルっとセットされたボールへ駆けてシュートを放つと、そのままゴールへ吸い込まれ0-2。残り20分で2点のビハインドを背負ってしまった。
前半とは異なって引き気味&カウンターで試合を終息させようとする清水は、2点目の前に体調が芳しくなかった小野を交代させ、ゴールを決めた藤本をDFの太田と交代させて仕上げにかかる。東京はここで意気消沈するかと思いきや、藤本が交代した1分後、長友が豪快なミドルをゴール右に突き刺し1点差となった。実は、2点目の失点からは確かに点数の匂いが消えかけていたが、今野、長友を上げて攻撃的な布陣でゴールへの意識を高めて前がかりになっていた効果が徐々に見え始めたのは、長友のゴールの前の、キムヨングンのミドル・シュートだろう。GKに弾かれてゴールにはならなかったが、枠を捉えた強烈なシュートは、東京の他の選手達へ諦めずに攻撃するという勇気を与えたのではないか。そして、その気持ちというか執念を胸にプレイしていた男が、長友でもあった訳だ。おそらく自身のJリーグでのゴールのなかでも1、2を争うほどの素晴らしいゴールであったと思う。
またそのゴールが、勝利への強い執念を持ちつつもうまくいかないジレンマに陥りそうだった他の東京の選手達の気持ちに火をつけた。スクランブル的な、アップダウンの激しい展開となって、清水がやや受け手に回りはじめると、清水ゴール前へ放り込んだボールを清水が跳ね返すも、それに反応した松下が叩きつけるように足を振り抜いて、同点ゴール。
それからは、イケイケとなった東京が清水を攻め立てた。赤嶺の惜しいヘッドが2度あったが、その2度目が枠を捉えられなかったところで、ロスタイム4分が尽き試合終了。2-2のドローで勝ち点1を獲得した。
本音を言えば、内容的にもみて、勝ち点3を獲得すべき試合だった。だが、これまでならそのままズルズルと時間が過ぎていく展開が多かったが、ここ数試合は、ゴールへの執着心やがむしゃらに最後まで戦いきるという強い思いが感じられるようになってきた。それが、シュートという結果にも現れはじめていると思う。
とはいえ、勝てなかったことも事実。優勝争いをするのであれば、上位を叩いてのし上がっていかなければいけない。その意味では満足は出来ない。だが、この戦う気持ちを維持していけば、中断後からは上位を打ち破り、優勝戦線に入り込むこと可能性も大いにありうる……という期待を持たせてくれた試合であった。
◇◇◇
Jリーグディビジョン1 第12節
2010/05/15 味スタ
FC東京 2(0-1、2-1)2 清水
【得点】
(東):長友(85分)、松下(87分)
(清):平岡(26分)、藤本(68分)
観衆:28,114人
天気:晴、弱風
<メンバー>
20 GK 権田修一
05 DF 長友佑都
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
17 DF キムヨングン
02 MF 徳永悠平
10 MF 梶山陽平
18 MF 石川直宏 → 08 MF 松下年宏(72分)
22 MF 羽生直剛 → 09 FW 赤嶺真吾(59分)
13 FW 平山相太
24 FW 重松健太郎 → 16 FW リカルジーニョ(52分)
01 GK 塩田仁史
33 DF 椋原健太
14 MF 中村北斗
11 FW 鈴木達也
◇◇◇

選手紹介。
W杯日本代表の今野。

選手紹介。
W杯日本代表…には選ばれなかった平山。(笑)
でも、東京には重要。

東京ゴール裏。
試合前には世界大会2位の成績を収めたフリースタイルフットボーラー、横田陽介による驚愕パフォーマンスも。
(出身高は都立久留米…ってことは、中村憲剛の後輩か)

清水ゴール裏。
首位だけあって、応援にも熱が入る。
オーレーオーレー、オレオレ♪

清水ゴール裏。
ロ~コ~ォ、ロコロコロコロコー♪

整列。

試合開始直前。
昨年の相性の良さ(4勝2分)再びなるか。

後半開始直前、FC東京円陣。
清水が1点リードで後半を迎える。

首位に食らいつくことは出来るのか。

0-2の劣勢から長友ミドル炸裂!で沸く東京サポーター。

試合終了。
土壇場の松下のゴールで追いつき、ドロー。

清水ゴール裏へ挨拶するエスパルスの選手達。

バックスタンドに挨拶する東京の選手達。

羽生を先頭に、バックスタンド前を進む。
3・森重、2・徳永。赤いスパイクの石川と黄色のスパイクの重松。その後ろには13・平山。

20・権田、3・森重、13・平山、9・赤嶺、8・松下、17・キムヨングン。

10・梶山、16・リカルジーニョ。

長友、今野、岡崎のW杯コンビの花束贈呈を見守る東京の選手達。

16・リカルジーニョ、17・キムヨングン、8・松下、9・赤嶺。
キムヨングンが頭一つデカイ。

花束を持って、挨拶する今野、長友。

サポーターの声援に手を挙げて応える長友。
今野はうつむき加減(いつも?…笑)

W杯で暴れて来いよ~と励ます観客。
ゴール裏からは“岡崎”“長友日本”“今野日本”コールも。

東京ゴール裏には、“南アで頼むぞ今野、長友。岡崎も…”の横断幕。

