*** june typhoon tokyo ***

CDゲッター2009(8/28篇)

 財政がかなり逼迫しているご時世で、先月はスルーしてしまったCDゲッターですが、今月は敢行。
ただ、いつもCDゲッターする時にセットだった行きつけのカレーショップのシャッターが何故だか閉まっていたりしましたが……。以前は、久しぶりに行こうと思ったラーメン店が更地に、レストランが閉店に、カフェが消滅へ……と自分が久しぶりに訪ねる時に不運が付きまとうのは、いい加減やめて欲しいところ。

 そんなこんなで、手に入れたCDたちをご紹介。


◇◇◇


■ AFTER 7 『REFLECTIONS』

After7_reflections

 アフター7はメルヴィン・エドモンズ、ケヴォン・エドモンズ、キース・ミッチェルにより結成されたヴォーカル・グループ。というよりも、ベイビーフェイスの兄貴たちとL.A.リードの従兄弟といった方が解かりやすいですか。プロデュースはもちろん、L.A.リードとベイビーフェイス。30代のデビューと遅咲きですが、有名プロデューサーの身内という構成ですから、ベイビーフェイス好きにはたまらないところでしょうか。
 ダラス・オースティン作やNJS作が多かった2nd『Takin' My Time』ですが、1st同様にベイビーフェイスの作風に戻ったといえるアルバムが本作。ベイビーフェイスの哀愁漂う美メロのミッド~スローの楽曲がこれでもかという感じで収められてます。
 ベイビーフェイスの子分ともいえる、ジョン・B作の楽曲が多いのも特徴。あたりのやわらかいヴォーカル、気品が漂うスムース&メロウな雰囲気……と、アダルトなジェントルマンの佇まいをしっかりと確立しているアルバムといえましょう。

 昭和的な女子を相手にするなら、本作を流して、シャレた会話とカクテルがあれば、あなたもトレンディ・ドラマの主人公になれるって感じですか(表現古臭ッ)。


■ BRIAN Mcknight 『superhero』

Brian_mcknight_superhero

 ブライアン・マックナイトの2001年発表の5thアルバム。フェロモン系R&Bバラディアの大御所でありまして、近年はよく来日公演もしてくださるのですが、1万強となかなかお高いもので、今のところ行きそびれている一人だったりします。自らスーパーヒーローと冠するあたり、立ち位置が解かってらっしゃるのでしょう。
 
 アルバムの冒頭がR&B/ヒップホップ系でよくあるイントロダクションではなくて、映画のサントラというかテーマ・ソングというかぐらいの大仰な展開でスタートする「prelude」です。なるほど、イントロダクションというよりプレリュードという幕開けに相応しい楽曲です。そこからは得意の、というかレディスキラー的なセクシー・グルーヴが展開されていきます。3曲目「what's it gonna be」なんて、もうメロメロにさせんがばかりのベッドタイム・チューン(に聴こえます)です。
 ジャスティン・ティンバーレイクを迎えた「my kind of girl」(イン・シンクやBSB風といわれればそうです)や、それに続くファルセット炸裂の「love of my life」……とこれで落ちない女なんていないんじゃないか(苦笑)といったスウィート・チューンの宝庫なのですが、タイトル曲「superhero」はギターを効かせたロック・アレンジにするあたり、女性だけでなくしっかりと男にもメッセージを伝えているようで、好感が持てます。
 また、ネイト・ドッグをフィーチャーしたトークボックス使いの「don't know where to start」や、ラップチームのセント・ルナティックス(メンバーにネリーが所属)を客演に迎えたボーナス・トラック「groovin tonight」があったりと、決して甘いだけで終わらない懐の深さは、流石だと思わせますな(個人的にはこういった類のパーティものの方が好きなこともあって)。


■ Dee-Lite 『INFINITY WITHIN』

Deelite_infinity_within

 ディー・ライトの2ndアルバム。テイ・トウワが在籍してた……とわざわざいう必要はないですかね。近未来的ではあるのですが、どこか古めかしさというかレトロ感覚からのフューチャリスティックという感じで、そこがまだモードというかファッショナブル……要するに唯一無二のオリジナリティということです。個人的な解釈だと、『ルパン三世』のNY版スタイルといったイメージでしょうか。グラマラス、エキセントリックといった要素を多分に含んだ、映画音楽風ダンサブル・チューンの宝庫です。
 日本では政権交代かとマスコミが過剰に煽る選挙投票日前にこれを書いている(聴いている)訳ですが、5曲目の「VOTE, BABY, VOTE」(僅か33秒ではありますが)が流れてくるような選挙なら、未来も明るいと思います(全くの根拠なし)。


■ JUJU 『BLACK FACE』

Juju_black_face
 
 ジュジュといっても、♪いつだって本当は~の「素直になれたら」のJUJUではなくて、こちらはワシントンD.C.で誕生したゴーゴー・ミュージックの凄腕ドラマーのJUJU(Dr.ウィリアム・ハウス)のことです。そのJUJUがシンガー、ミュージシャンを集めて制作したのが本作。マーカス・ミラー・バンドのキーボーディストのスクーター・テイラー、ナイル・ロジャース率いるシックのベーシストのジェリー・バーンズ、スティング・バンドのシンガー/キーボード/サックスのカトリース・バーンズ(ジェリーの妹でもある)らといった豪華な面子を従えての作品だから、サウンドの安定感は言わずもがな、でございます。
 カヴァー曲が多いのですが、それも当たり前のアレンジではないところが素晴らしく、なによりグルーヴが命のゴーゴーらしさがしっかりと表出しているのがたまりません。
 ジャズのスタンダード「My Funny Valentine」(サラッと聴くと解からないかも、くらいのアレンジ)、バリー・ホワイトの「Never Gonna Give You Up」、アニタ・ベイカーの「Sweet Love」、スタイリスティックスの「People Make The World Go Around」など驚きのアレンジ力で展開していきます。オリジナルは「This Feels Like Love」と「Lock The Door」の2曲で、こちらも高品質。そして、注目は2曲の“ゴーゴー・メドレー”。特にダンクラ好きな自分としては3曲目がたまらんちんです。アニタ・ワード「Ring My Bell」からシック「Good Times」(ダンス☆マン風メドレーともいうか…笑)という流れで、即効で室内がディスコ・ホールへと様変わりすること請け合いです。
 このグルーヴ満載のファンキー・チューンを聴いて「ん~、わからない…」という人とは、たぶん話が合わないと思います。でも、おそらく80%以上がこれで腰をグリグリしたくなってしまうはず、そんなアルバムです。


■ MARIO WINANS 『Hurt No More』

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 “バッド・ボーイ”の雙腕のひとつといってもいい、パフ・ダディ(P・ディディ、ショーン・コムズ…なんでもいいや…笑)の知恵袋、影武者、マリオ・ワイナンズの2004年の通算2作目(モータウンからソロ作が1st)。プロデュースとしては、R・ケリー、フェイス・エヴァンス、ジェニファー・ロペス、メアリー・J.ブライジら、多くに関わる。アッシャーの楽曲にはシンガーとしてフィーチャリング参加も。
 そんなマリオ・ワイナンズですが、バッド・ボーイのイメージとはかけ離れた(?)、スウィートなナンバーを包み込むような優しいヴォーカルで聴かせてくれます。また、斬新なサンプリングも特色。「Never Really Was」は“イントロ・ドン!”くらいの瞬時に判るマドンナ「Papa Don't Preach」使いだし、エンヤの「Story of Boadicea」にインスパイアされたという「I Don't Wanna Know」なんて実際エンヤ(そしてP・ディディも)と共演しちゃってたりと、かなり大胆なアプローチです。こういうのを聴いてしまうと、フォクシー・ブラウンを迎えた「Pretty Girl Bullsh*t」などは普通に聴こえてしまいますな。(笑) スリムをフィーチャーした「You Knew」はデバージ「Love Me In A Special Way」使い、ルーンを迎えた「How I Made It」はコモドアーズの「Celebrate」使いと、ツボをしっかり突いてきます。
 上述のブライアン・マックナイトやジョーとかが好きな人にはズバリでしょう。バッド・ボーイというイメージが強すぎてちょっとバラディアとしては凡庸かも…と思う向きもあるかもしれませんが、全体的に上質ですよ。


■ MARTHA REDBONE 『HOME OF THE BRAVE』

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 マーサ・レッドボーンのデビュー作。カテゴライズすればオーガニック・ソウル系というあたりだと思われますが、ロックやブルースのテイストが強かったり、泥臭いソウル風でもあったりと、骨太な要素も。メイシー・グレイを3割薄めてシェリル・クロウやアラニス・モリセットをかけた感じ、とでもいえばいいでしょうか。とにかく、一介のオーガニック然とはしてないってことです。ネイティヴ・アメリカン×アフリカン・アメリカンという血統的背景が少なからず影響しているのかもしれません。
 デビュー前にはオハイオ・プレイヤーズ~Pファンクで知られるジュニーに師事していたり、メジャー・デビュー前のノラ・ジョーンズの拠点のLiving RoomでライヴをしてNYジャズを経るなど、苦労人の実力派といった風でもあります。
 サウンドはロック寄りだったり南部的だったりするも、案外サラッとした耳当たりのいいヴォーカルなので、どこかしら清廉とした雰囲気も感じられるところがよかったり。うなるところはうなる、都会的なところはそれなりにスタイリッシュにといった、メリハリ感もいいですね。特に「Someday We'll Be Friends」や「Boyfriend」「Perfect Life」あたりに、都会的でも地方的でもあり、彼女のオリジナリティが発揮されているんじゃないですかね。
 2ndの『Skintalk』ではさらにパワフルになり、 バックには盲目ソウル・シンガー、ラウル・ミドンも参加しているらしいです。


■ MIS-TEEQ 『MIS-TEEQ』

Misteeq

 “デスチャに対するイギリスからの返答”……という型にはまった説明はもういいですかね。アリーシャ、サブリナ、スー・エリースの3人組ガールズ・グループ、ミスティークの1st『LICKIN' ON BOTH SIDES』と2nd『EYE CANDY』のいいとこどりをしたUSデビュー盤。デスチャへの返答といっても、純粋なUS的R&Bというより、UKガラージというフィルターを通したR&Bという感じもあり、だからこそUKからの返答ということなのかもしれません。
 1stのプロデュースの中心はシスコ、メアリー・J.ブライジ、マライア・キャリー、アン・ヴォーグ、ブランディー、ネリー、そしてニーヨ……と数多くのアーティストに参与したノルウェー出身のプロデュース・チーム、スターゲイトが担当。2ndはサラーム・レミや、彼女たちの念願でもあったジョーのフィーチャリングを含めて(「HOME TONIGHT」)参加しております。
 いいとこどりなアルバムだけに、アルバム・コンセプトとしては希薄なのは致し方ないところですが、「One Night Stand」や「Scandalous」を聴けば、その質の高さがわかろうというもの。ブラックスミス制作の「Roll On」では、デバージ(Debarge)の「I Like It」のフレーズをさりげなく入れたりとツボも心得ております。UKガラージ・アーティストのエド・ケース制作の「All I Want (Sunship Radio Edit)」あたりは、クレイグ・デイヴィッドを彷彿とさせる作風です。まぁ、彼女らもクレイグ同様“TELSTAR”レーベル・メイトなので、それは自然な流れなのかもしれませんが。

 ちなみに、デスチャとミスティークどちらがいい? と聴かれたら、自分はミスティークかも。UKソウル、UKブラック、UKR&Bが好きだからというしかないので、何故って言われても困っちまいますが。


≪番外篇~今日のやっちまったナ!≫

■ KEITH SWEAT 『DIDN'T SEE ME COMING』

Keith_sweat_i_didnt_see_me_coming

 帰って棚を見たら、普通にありやがりました。しかも国内盤が。もう持ってるの忘れるなよ、と。
……って、いや、違うんです。このジャケットの顔を見たら、

「買うんだろ?買うよな?」

って言ってるじゃないですか。だからです。(爆)

 「I Love Her」以下歴代のヒット曲をカットしたラジオ・チューニング風のイントロだけでもやられちゃうんですから、NJS好きには仕方ないんですね。つい買ってしまうのは。必要悪です(という正当化をしてみたりする…苦笑)。

 でも、いいアルバムですよ、これ。「He Say She Say」ではT-BOZもフィーチャーしてますし(どんなフォローだ)。
 
 
 以上です、キャップ! Like A どっきり(秘)報告

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