小川移籍最終戦というトピックも吹き飛ぶ、鳥栖に5失点大敗。
FC東京、鳥栖ともにミッドウィークの天皇杯を経た中3日での一戦。天皇杯で延長までもつれ込んでの敗戦を喫したFC東京には、120分間フル出場して先発に名を連ねるものもいて、体力面が不安視されるところがない訳ではなかった。とはいえ、FC東京は序盤から決定機はいくつか作っていた。鳥栖が17分に怪我により小野の交代が余儀なくされてからは、FC東京が鳥栖陣内へ攻め込む回数も増え、アダイウトンの右からのクロスに飛び込んだり、渡邊凌磨とのワンツーでペナルティエリア右に侵入した安部からの中央へのパスをアダイウトンが蹴り込むなどのチャンスもあったが、いずれも鳥栖・GK朴一圭に阻まれてしまう。
それまで鳥栖もいくつか岩崎、堀込などがシュートチャンスを迎えるも、FC東京は身を挺して跳ね返していたが、30分にペナルティエリア左前から岩崎のミドルがネット左上へ突き刺さり、鳥栖が先制。この時、FC東京陣内右サイドから鳥栖・堀米のドリブルで中央へカットインし、ゴール前の宮代に預けるも、宮代がパスミス。これをFC東京・安部が拾い、渡邊凌磨へ渡したところへ鳥栖・小泉がややアフター気味に競って渡邊凌磨が転倒、こぼれたボールが安部の足元へこぼれるが、これを鳥栖・岩崎が後ろからボール奪取を狙うも足が掛かって安部が倒される。ただ、主審の笛はなくプレーは続行。この一連の流れでファールだと思ったか、FC東京はセルフジャッジで足を2度ほど止めてしまったことで、岩崎へのプレスが掛からず、強烈なミドルを喰らうことになった。
たしかに、全体を通して鳥栖はボールへハイプレスを敢行していたが、主審によってはカードを出す可能性も少なくなさそうなファールを多く繰り返していた。だが、この試合の主審は厳しい当たりでも比較的笛で試合を止めないタイプだったようだ。それが解かっていながら、鳥栖のハイプレスの勢いに押されて後ろへ戻すか、前方にギャンブルな縦パスを入れて奪われ、カウンターを受けるという悪循環に。パススピードを速くしてプレスを畳み掛けてくる相手を走らせてボールをキープするなり、球離れを早くして相手との距離が近くならないうちにボールを動かすなどの余裕を持ったプレーに落とし込み、自分たちの時間へと引き戻すことも出来たはずだが、疲労が抜けないコンディションが判断を鈍らせたのか、それとも鳥栖の勢いに押されて後手になり、自ら焦りを生み出して、ミスの連鎖を作ってしまったのか、地に足がつかないプレーやパフォーマンスに終始。そして、それ以上に2017年より鳥栖に6連敗しているという苦手意識が働いたのか、僅か1点の失点に慌てふためき、多くの時間が残されているなかで、勘に頼ったと見られても仕方ないような精度を欠いたパス交換などで攻勢を自ら潰すなど、肉体的にも精神的にもダメージを深く負う展開に。
岩崎のゴールへの過程で接触した安部が負傷し、レアンドロと交代した後は、アダイウトンとレアンドロのコンビネーションを軸に鳥栖陣内へ進入し、45分にはペナルティアークのアダイウトンからのヒールパスに反応した渡邊凌磨がエリア左からシュートを放つも、GK朴一圭がファインセーヴで立ちはだかる。決められるところで決め切れないいると、相手に流れを渡してしまう……という展開は、FC東京がいまだ改善出来ていない課題だが、それが後半開始早々に現実のものに。悪い流れを断ち切って、後半から勢いをもって攻めたかったFC東京だったが、後半開始3分ほどで追加点を献上。ドリブルでペナルティエリア左へ侵入した岩崎に中村帆高と渡邊凌磨の2名がマークしにいくと、岩崎がグラウンダーで折り返すが、これは青木がスライディングでカット。だが、このクリアがマークがいないジエゴの下へこぼれると、渡邊凌磨は戻れず、木本も前へ詰められず。ジエゴが振り抜いた左脚のシュートは、木本に当たりながらゴール左上へ突き刺さり、鳥栖が大きな追加点を挙げた。
FC東京は60分に永井、松木、 中村帆高を下げて、山下、東慶悟、長友を投入する3枚替え。だが、豊富な運動量を誇る安部と松木という現時点でのFC東京にとっての核となるタレントがピッチを去った後を制御出来ないまま、70分に本田、78分と85分に垣田がゴールを決められて、5失点。なす術なしというよりも、明らかに自ら意気消沈し、次節以降の試合へ向けて何とか復活のきっかけを掴もうとする意志も感じられないまま、タイムアップの時間を待つような姿に映っても仕方がないような光景に。テクニックや個の力、タレント力はあっても、劣勢時やゴール前を含めた決まりごと、共通認識が構築されないまま、勢いがある時はいいが、一度劣勢に立たされるとそれをせき止める、ピンチをチャンスへと盛り返す反発力が圧倒的に不可欠という事実を露呈した試合となってしまった。ハイプレスとハードワークを積極的に駆使するチーム、3バックから5バックへ移行して守備を固め、ディフェンスの裏へスペースを作らせないチームなどの攻略は、今季に限らずに久しく課題のままだが、やはりそのあたりは監督やサッカースタイルを変えたといっても、習熟には時間がかかるということなのだろう。とはいえ、セルフジャッジにしろ、ゴール前で狭い地域で余計な手数を掛けてシュートチャンスをみすみす失うなど、今季に方々から指摘されていることの修正がなされず、ミスが頻発する状況は、非常に危険だ。この状況が解消されないと、一気に残留争いへと巻き込まれるのも時間の問題となってくる。
弱り目に祟り目、泣きっ面に蜂といおうか、次節には苦手の九州勢・福岡との対戦が控えている。ゴールデンウィークの福岡戦から鳥栖、磐田を相手に3連敗したが、柏戦を経て清水、鹿島に3得点で快勝したために持ち直したと思われていたが、代表ウィークを挟んだ中断明けから湘南、鳥栖に連敗と、実は根本的な修正がなされていないままだったと捉えるのが正解なのかもしれない。5月からの2ヵ月の間、FC東京より上位との対戦は柏や鹿島のみであとは全て下位チームながら、5失点の大量失点を2度するというのは、いかにチームが後手に回り、なおかつ対応すべき決まりごとを実践できていないかということの証明だ。ドローだった柏戦、3発快勝した清水戦以外は、失点を続けているのも良くない。
この状況を一気に打破出来るくらいであれば、既に実践出来ている訳で、そこまで期待するのは酷だ。ただ、ピッチでは最後まで戦う姿勢を見せ続けていなければ、FC東京与しやすしと思われ、今後の対戦にも影響してくることは間違いない。次節の福岡は前回は、松木のJ初ゴールでの祝福も束の間、5点を献上した。ホーム・味スタで同じことの繰り返しは決して許されない。コンディションを整えて、常にシュートを狙う姿勢を持ち続け、90分ファイトする姿を見せてもらいたい。まずは、そこからだ。
◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 第18節】
2022年6月26日(日)19:03試合開始 駅前不動産スタジアム
入場者数 7,917人
天候 曇り / 気温 27.6℃ / 湿度 71%
主審 谷本 涼 / 副審 西橋 勲、武田光晴
第4の審判員 津野洋平
VAR 笠原寛貴 / AVAR 和角敏之
鳥 栖 5(1-0 / 4-0)0 FC東京
得点:
(栖)岩崎悠人(30分)、ジエゴ(48分)、本田風智(70分)、垣田裕暉(78分)、垣田裕暉(85分)
(東)
〈試合経過〉
17分 交代 鳥栖 小野裕二 → 本田風智
30分 得点 鳥栖 岩崎悠人
33分 交代 東京 安部柊斗 → レアンドロ
42分 警告 鳥栖 ジエゴ
48分 得点 鳥栖 ジエゴ
60分 交代 東京 永井謙佑 → 山下敬大 / 松木玖生 → 東 慶悟 / 中村帆高 → 長友佑都
66分 交代 鳥栖 堀米勇輝 → 菊地泰智 / 宮代大聖 → 垣田裕暉
70分 得点 鳥栖 本田風智
78分 得点 鳥栖 垣田裕暉
83分 交代 鳥栖 小泉 慶 → 藤田直之 / 岩崎悠人 → 相良竜之介
83分 交代 東京 森重真人 → 岡崎 慎
85分 得点 鳥栖 垣田裕暉
90+1分 警告 鳥栖 ファン・ソッコ
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 24 ヤクブ・スウォビィク
DF 37 中村帆高 → 長友佑都(60分)
DF 30 木本恭生
DF 03 森重真人 → 岡崎 慎(83分)
DF 06 小川諒也
MF 44 松木玖生 → 東 慶悟(60分)
MF 16 青木拓矢
MF 31 安部柊斗 → レアンドロ(33分)
FW 23 渡邊凌磨
FW 15 アダイウトン
FW 11 永井謙佑 → 山下敬大(60分)
≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 29 岡崎 慎
DF 05 長友佑都
MF 10 東 慶悟
FW 17 紺野和也
FW 19 山下敬大
FW 20 レアンドロ
≪監督≫
アルベル
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【FC東京 2022シーズンスケジュール・J1リーグ】
第01節 02月18日(金)19:00 ✕FC東京 0-1 川 崎(A・等々力)
第02節 02月26日(土)15:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ) ※中止
第03節 03月06日(日)16:00 〇FC東京 1-0 C大阪(A・ヨドコウ)
第04節 03月12日(土)15:00 〇FC東京 2-1 広 島(H・味スタ)
第05節 03月19日(土)14:00 〇FC東京 1-0 京 都(A・サンガS)
第06節 04月02日(土)19:00 ✕FC東京 1-2 横浜FM(A・日産ス)
第07節 04月06日(水)19:00 〇FC東京 3-1 神 戸(H・味スタ)
第08節 04月10日(日)14:00 △FC東京 0-0 浦 和(H・味スタ)
第09節 04月16日(土)13:00 △FC東京 0-0 札 幌(A・札幌ド)
第02節 04月20日(水)19:00 △FC東京 0-0 名古屋(H・味スタ)※代替
第10節 04月29日(金)19:00 〇FC東京 2-0 G大阪(H・国 立)
第11節 05月03日(火)17:00 ✕FC東京 1-5 福 岡(A・ベススタ)
第12節 05月08日(日)15:00 ✕FC東京 0-1 鳥 栖(H・味スタ)
第13節 05月14日(土)14:00 ✕FC東京 1-2 磐 田(A・ヤマハ)
第14節 05月21日(土)15:00 △FC東京 0-0 柏 (H・味スタ)
第15節 05月25日(水)19:00 〇FC東京 3-0 清 水(A・アイスタ)
第16節 05月29日(日)15:00 〇FC東京 3-1 鹿 島(H・味スタ)
第17節 06月18日(土)18:00 ✕FC東京 0-2 湘 南(A・レモンS)
第18節 06月26日(日)19:00 ✕FC東京 0-5 鳥 栖(A・駅スタ)
第19節 07月02日(土)18:00 FC東京✕福 岡(H・味スタ)
第20節 07月06日(水)19:00 FC東京✕札 幌(H・味スタ)
第21節 07月10日(日)19:00 FC東京✕浦 和(A・埼 玉)
第22節 07月17日(日)18:00 FC東京✕磐 田(H・味スタ)
第23節 07月30日(土)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ)
第24節 08月07日(日)18:00 FC東京✕清 水(H・味スタ)
第25節 08月13日(土)19:00 FC東京✕C大阪(H・味スタ)
第27節 08月27日(土)19:00 FC東京✕ 柏 (A・三協F柏)
第28節 09月03日(土)・04日(日) FC東京✕横浜FM(H・味スタ)
第29節 09月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(A・パナスタ)
第26節 09月14日(水) FC東京✕神 戸(A・ノエスタ)※
第30節 09月17日(土)・18日(日) FC東京✕京 都(H・国 立)
第31節 10月01日(土)・02日(日) FC東京✕鹿 島(A・カシマ)
第32節 10月08日(土) FC東京✕湘 南(H・味スタ)
第33節 10月29日(土) FC東京✕名古屋(A・豊田ス)
第34節 11月05日(土) FC東京✕川 崎(H・味スタ)
※神戸がACLにおいてGS敗退の場合、8月20日(土)19:00に変更の可能性あり
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