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*** june typhoon tokyo ***

The Brand New Heavies@COTTON CLUB


 美しきマンネリ。

 愛着を込めてこう呼ばせてもらいたい。この夏はモーションブルー横浜、ブルーノート東京(さらにイヴェント等も)を経て、東京駅近くのコットンクラブでも公演を開催。英ロンドン郊外イーリング出身のファンク・バンド“ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ”(BNH)も結成30年を迎えた。オリジナル・メンバーの核となる3人、ヤン・キンケイド、サイモン・バーソロミュー、アンドリュー・レヴィは、ジム・ハントやマット・スティールとともにインストゥルメンタル・プロジェクトを結成し、アルバム『ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ・プレゼンツ・ジ・エレファント・イン・ザ・ルーム』をリリースするなど、いつにも増して精力的になっているようだ。

 そのザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのコットンクラブ公演の2日目、1stステージを観賞。ブルーノートの深い青から鮮やかなワインレッドが映える室内へステージを移して、ヘヴィーズの陽気なファンク・ステージを堪能した。
 これまでの彼らの公演観賞記録は次の通り。(リンク先で該当公演の記事が読めます)

2003年06月 新宿リキッドルーム
2006年12月 ラフォーレミュージアム六本木
2007年11月 ビルボードライブ東京
2008年12月 ビルボードライブ東京
2010年02月 ビルボードライブ東京
2011年11月 ビルボードライブ東京
2013年05月 duo music exchange
2013年09月 ブルーノート東京
2014年10月 ブルーノート東京

 2013年以降、ヴォーカリストとして中央に立つドーン・ジョセフはすっかりヘヴィーズの顔となり、実際に色彩豊かな装飾とともにバンドに華を添え、新たなエモーションを加えている。スタイリッシュなシルエットながら力感溢れるパフォーマンスで、サイモンやアンドリューのヤンチャ加減を上手くコントロールしながら、すっかり一員に溶け込んでいるようだ。

 バンド・メンバーはステージ左後方にキーボードのマット・スティール、右端に女性バック・ヴォーカルのハンナ・マクギガン、トランペットのラッセル・ベネット、サックスのアンディ・ロスの布陣。前回(2014年10月)と楽器構成は同じだが、マット・スティール以外はメンバーを変更している。



 セット・リストを振り返ると、ドラムのヤンのクール&スタイリッシュなヴォーカルが映える「バック・トゥ・ラヴ」から始まり、「ネヴァー・ストップ」、「ドリーム・オン・ドリーマー」からの「ミッドナイト・アット・ジ・オアシス」、「サムタイムス」「スペンド・サム・タイム」を経ての「ステイ・ディス・ウェイ」で一旦アウトした後、アンコールで「ユー・アー・ザ・ユニヴァース」といった流れは前回とほぼ同じ。公演日によって多少の曲の入れ替わりはあるものの、大筋は変わらない構成だ。

 サプライズという意味では多少インパクトが欠けるかもしれないが、彼らの強みは意表とか奇抜さではなく、確実に“ファンク”出来ること。既に聴けば興奮が高まる名曲群をいくつも抱えている彼らならではの安定力=“様式美とも言える愛すべきマンネリ”が魅力なのだ。たとえていうなら、終盤に印籠を出す『水戸黄門』や白洲で片肌脱いで桜吹雪を見せる『遠山の金さん』のような勧善懲悪ものよろしく、必ずスカッとする場面が待っていることを期待して楽しめるのだ。ただ、それらの勧善懲悪ものとヘヴィーズが異なるとすれば、前者は悪者を成敗してのカタルシス(抑圧や鬱積の解放による快楽)なのに対し、後者のヘヴィーズはオプティミズム(楽観主義)だということだろうか。

 サイモンがサービス精神旺盛に観客へ目配せしながら“さあ、立ち上がってパーティを楽しもう!”とフロアを煽るやいなや、オーディエンスもそれに呼応して一斉にスタンディングで踊り出すと、この日はやや声に疲れが見えていたドーンもオーディエンスからのパワーを貰ったのか、ジャンプにステージを所狭しと動くなど、エネルギッシュなパフォーマンスを披露。パンチのあるヴォーカルでフロアのヴォルテージをさらに一段高めていく。

 前回同様、新作からは「スウィート・フリーク」だけだったが、フロアに渦巻くグルーヴが止む気配はなし。アンドリューがしたり顔でマイケル・ジャクソン「スターティン・サムシン」のベース・ラインを弾き、サイモンは定番となった歯でギターを弾くパフォーマンスなど、メンバーの見せ場も作りながら、圧倒的に“とにかく楽しむ”という一点にフォーカスしたステージを展開。
 また、この“美しきマンネリ”の長所は、オーディエンスが多くの楽曲でシンガロング出来ること。身体から湧き出るようなそれぞれの“ワクワク”や“エンジョイ”が、ステージも含めたフロア全体で一体となる快感は、一度体験してしまうとなかなか離すことの出来ないものだ。

 分かっていながらもやっぱり楽しめてしまう……身体を躍らせるグルーヴが刻まれ続ける限り、余計な心配や邪推は無用。ヘヴィーズの“美しきマンネリ”に年を重ねるほど愛着が沸くのは、ファンの熱意に応え続けられるファンクネスが常に彼らに備わっているからだろう。



◇◇◇
 
<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 BACK TO LOVE
02 NEVER STOP
03 DREAM ON DREAMER ~ MIDNIGHT AT THE OASIS
04 HEAVEN
05 BNH
06 SOMETIMES
07 SPEND SOME TIME
08 SWEET FREEEK
09 STAY THIS WAY(including a phrase of“Wanna Be Startin' Somethin'”by Michael Jackson)
≪ENCORE≫
10 YOU ARE THE UNIVERSE

<MEMBER>
Dawn Joseph(vo)
Jan Kincaid(ds,vo)
Simon Bartholomew(g)
Andrew Levy(b)

Russell Bennett(tp)
Andy Ross(sax)
Matt Steele(key)
Hannah McGuigan(back vo)

◇◇◇
















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