シャンチー(中国象棋)の国内競技団体である日本シャンチー協会は、シャンチーの技術の向上を目指すすべての人に向けて「シャンチー基本教材2018」を制定しました。
シャンチーの技術を向上させたいと思ったら、シャンチーの勉強をするしかありません。昨年のアジア個人選手権で日本人初の入賞を成し遂げた中村千鶴選手は、そのすさまじい勉強量でそのことを証明して見せました。
「中村千鶴選手は如何にしてアジアシャンチー(中国象棋)選手権で入賞したか?」
現状では中国発行の中国語の書籍に頼らざるをえませんが、中国語が読めなくても棋譜のとおりに並べることさえできれば、内容の80%を理解することが可能です。
所司和晴選手は全く中国語を解しませんが、大量の中国語書籍を読破しました。中国では大量のシャンチー書籍が発行されていますが、まさに「玉石混淆」でどれを選んだらよいか悩むところです。そこで日本シャンチー協会が、現状で望みうる最高のラインナップを用意しました。ここに挙げた書籍の棋譜を毎月1冊ずつ並べれば、2年後には全日本選手権A級上位に食い込むことも夢ではありません。
オリンピック選手が競技生活をを継続するために1年間にかかる経費の自己負担額は、夏季五輪で男性が206万2千円、女性が250万7千円、冬季五輪では男性が245万4千円、女性が460万9千円だそうです。(笹川スポーツ財団2016年1月「オリンピアンのキャリアに関する実態調査」。)
それに比べれば、シャンチーなら、盤とコマさえあれば、ここに挙げた本を全部買っても数万円です!上達するのに、こんなにお金のかからないスポーツがほかにあるでしょうか?しかも練習(勉強)に場所を問わず、一人でもできるのです。
ここに挙げた書籍の注文は、内山書店(tel03-3294-0671)またはネット書店『書虫』http://www.frelax.com/へ。
ジャンルごとに紹介します。書名、編著者、出版社の順。
◆入門
1.図解象棋入門(秦原ほか、人民体育)
シャンチーの基本分野を網羅する入門書。特に「開局陥穽」の1章を設け、開局段階で陥りやすいワナを解説しているところが特徴です。
◆布局
2.定式与戦理-象棋特級大師講布局(修訂典蔵版)(閻文清・張強、九州)
3.疑形与攻撃-象棋特級大師講布局(修訂典蔵版)(閻文清・張強、九州)
4.騙着与対策-象棋特級大師講布局(修訂典蔵版)(閻文清・張強、九州)
1998年に『新概念象棋布局教程』の名で北京体育大学出版社から出され、評価の高かった布局3部作の修訂版。長く絶版状態で復刊が望まれていましたが、20年ぶりに再刊されることになりました。歴史に残る布局の名著といえるでしょう。
◆殺法
5.象棋殺法大全(程明松、成都時代)
6.象棋連将殺・一至四歩殺(王聚群、河南科学技術)
7.象棋連将殺・五至七歩殺(王聚群、河南科学技術)
8.象棋連将殺・八至十歩殺(王聚群、河南科学技術)
5で殺法の基礎を学んだら、6-8には野球でいう千本ノックを受ける気持ちで臨むとよいでしょう。
◆実用残局
9.象棋残局定式-象棋入門与提高(劉錦祺、化学工業)
10.梁大師講残局(上/下) (梁文斌、経済管理)
実用残局はシャンチーの中では、数学の公式、物理の定理ともいうべき最も論理的、科学的な分野です。日本選手に共通する弱点ですが、9で実用残局の基礎を固め、10の内容をものにすれば、国際的にも通用する力を付けることができるでしょう。
◆中局
11.象棋必勝戦術精解(劉准、化学工業)
適当な中局の入門書になかなか出会えませんでしたが、初級者にぴったりの中局入門書が出ました。実用残局の9といい、この本といい、化学工業出版社は近年、シャンチー関連のヒット作を連発しています。化学工業出版社がなぜシャンチーの本なのか分りませんが。
◆実戦譜
12.中国象棋実戦短局譜(孫爾康、経済管理)
13.新中国象棋経典名局(孫爾康、経済管理)
12には25回合以下の短局289局、20回合以下の超短局50局、計339局が解説付きで収められています。13には1952年から2006年までの「経典名局」137局がこれも解説付きで収められています。2冊合わせて476局、他の参考書の学習と並行して毎日1局ずつ並べれば、シャンチーの世界の新しい景色が見えてくることでしょう。
◆古譜
14.橘中秘詳解(劉剣青・劉健、成都時代)
15.新編梅花譜(増訂本)(清・王再越、成都時代)
16.適情雅趣象棋譜 (明・徐芝、河南科学技術)
14は明代の全局譜、15は清代の全局譜。『橘中秘』は順手炮を、『梅花譜』は屏風馬を、それぞれ歴史上初めて体系化したとされています。現代の布局の源流を知る上で歴史的に重要な本ですが、むしろ最短距離で勝ちにつなげる1手を発見する上でのヒントがたくさん詰まっている点に現代的意義があります。なによりもその鮮やかな勝負の決め方に「シャンチーってこんなに楽しいものなんだ」と再認識させられることでしょう。
『適情雅趣』は1570年の刊行、550の残局を収めています。これら明代、清代の文化遺産ともいうべき著作をきちんと整理して出版する中国の出版界の姿勢に敬意を表したいです。
◆用語辞典
17.象棋詞典(修訂本)(屠景明・楊伯偉、上海文化)
シャンチーを志す人なら必携の書。この範囲の知識を身に着けたら、シャンチーの初級は卒業といえるでしょう。
シャンチーの技術を向上させたいと思ったら、シャンチーの勉強をするしかありません。昨年のアジア個人選手権で日本人初の入賞を成し遂げた中村千鶴選手は、そのすさまじい勉強量でそのことを証明して見せました。
「中村千鶴選手は如何にしてアジアシャンチー(中国象棋)選手権で入賞したか?」
現状では中国発行の中国語の書籍に頼らざるをえませんが、中国語が読めなくても棋譜のとおりに並べることさえできれば、内容の80%を理解することが可能です。
所司和晴選手は全く中国語を解しませんが、大量の中国語書籍を読破しました。中国では大量のシャンチー書籍が発行されていますが、まさに「玉石混淆」でどれを選んだらよいか悩むところです。そこで日本シャンチー協会が、現状で望みうる最高のラインナップを用意しました。ここに挙げた書籍の棋譜を毎月1冊ずつ並べれば、2年後には全日本選手権A級上位に食い込むことも夢ではありません。
オリンピック選手が競技生活をを継続するために1年間にかかる経費の自己負担額は、夏季五輪で男性が206万2千円、女性が250万7千円、冬季五輪では男性が245万4千円、女性が460万9千円だそうです。(笹川スポーツ財団2016年1月「オリンピアンのキャリアに関する実態調査」。)
それに比べれば、シャンチーなら、盤とコマさえあれば、ここに挙げた本を全部買っても数万円です!上達するのに、こんなにお金のかからないスポーツがほかにあるでしょうか?しかも練習(勉強)に場所を問わず、一人でもできるのです。
ここに挙げた書籍の注文は、内山書店(tel03-3294-0671)またはネット書店『書虫』http://www.frelax.com/へ。
ジャンルごとに紹介します。書名、編著者、出版社の順。
◆入門
1.図解象棋入門(秦原ほか、人民体育)
シャンチーの基本分野を網羅する入門書。特に「開局陥穽」の1章を設け、開局段階で陥りやすいワナを解説しているところが特徴です。
◆布局
2.定式与戦理-象棋特級大師講布局(修訂典蔵版)(閻文清・張強、九州)
3.疑形与攻撃-象棋特級大師講布局(修訂典蔵版)(閻文清・張強、九州)
4.騙着与対策-象棋特級大師講布局(修訂典蔵版)(閻文清・張強、九州)
1998年に『新概念象棋布局教程』の名で北京体育大学出版社から出され、評価の高かった布局3部作の修訂版。長く絶版状態で復刊が望まれていましたが、20年ぶりに再刊されることになりました。歴史に残る布局の名著といえるでしょう。
◆殺法
5.象棋殺法大全(程明松、成都時代)
6.象棋連将殺・一至四歩殺(王聚群、河南科学技術)
7.象棋連将殺・五至七歩殺(王聚群、河南科学技術)
8.象棋連将殺・八至十歩殺(王聚群、河南科学技術)
5で殺法の基礎を学んだら、6-8には野球でいう千本ノックを受ける気持ちで臨むとよいでしょう。
◆実用残局
9.象棋残局定式-象棋入門与提高(劉錦祺、化学工業)
10.梁大師講残局(上/下) (梁文斌、経済管理)
実用残局はシャンチーの中では、数学の公式、物理の定理ともいうべき最も論理的、科学的な分野です。日本選手に共通する弱点ですが、9で実用残局の基礎を固め、10の内容をものにすれば、国際的にも通用する力を付けることができるでしょう。
◆中局
11.象棋必勝戦術精解(劉准、化学工業)
適当な中局の入門書になかなか出会えませんでしたが、初級者にぴったりの中局入門書が出ました。実用残局の9といい、この本といい、化学工業出版社は近年、シャンチー関連のヒット作を連発しています。化学工業出版社がなぜシャンチーの本なのか分りませんが。
◆実戦譜
12.中国象棋実戦短局譜(孫爾康、経済管理)
13.新中国象棋経典名局(孫爾康、経済管理)
12には25回合以下の短局289局、20回合以下の超短局50局、計339局が解説付きで収められています。13には1952年から2006年までの「経典名局」137局がこれも解説付きで収められています。2冊合わせて476局、他の参考書の学習と並行して毎日1局ずつ並べれば、シャンチーの世界の新しい景色が見えてくることでしょう。
◆古譜
14.橘中秘詳解(劉剣青・劉健、成都時代)
15.新編梅花譜(増訂本)(清・王再越、成都時代)
16.適情雅趣象棋譜 (明・徐芝、河南科学技術)
14は明代の全局譜、15は清代の全局譜。『橘中秘』は順手炮を、『梅花譜』は屏風馬を、それぞれ歴史上初めて体系化したとされています。現代の布局の源流を知る上で歴史的に重要な本ですが、むしろ最短距離で勝ちにつなげる1手を発見する上でのヒントがたくさん詰まっている点に現代的意義があります。なによりもその鮮やかな勝負の決め方に「シャンチーってこんなに楽しいものなんだ」と再認識させられることでしょう。
『適情雅趣』は1570年の刊行、550の残局を収めています。これら明代、清代の文化遺産ともいうべき著作をきちんと整理して出版する中国の出版界の姿勢に敬意を表したいです。
◆用語辞典
17.象棋詞典(修訂本)(屠景明・楊伯偉、上海文化)
シャンチーを志す人なら必携の書。この範囲の知識を身に着けたら、シャンチーの初級は卒業といえるでしょう。