2023年9月15日公開、劇場アニメ・岡田麿里監督作品『アリスとテレスのまぼろし工場』の聖地に関して現状判明している情報をまとめて公開します。
映画館で上映されている作品のため、作中の背景情報がPV・映画パンフレット・私の記憶だけなので、正確性に欠ける可能性があります。
後に、情報の間違いが判明するかもしれません、ご理解のほどよろしくお願いします。
できる限りネタバレしないように記事を作成したいと思います。
※2023/10/3追記
公開3週間目、ネット上にもストーリーに関する情報が多数出回ってきました。
そろそろ作中の具体的なシーンぐらい書いても大丈夫ですよね・・・?
YOUTUBEにて、中島みゆき「心音(しんおん)」Music Video(フルver.)【公式】 が公開されました。
新しく公開されたカットも多数ありますので、こちらのキャプ画像も利用させて頂きます。
9月30日に物件数カ所へ実際に行って写真を撮影しました。
現地の写真に差し替えも行いました。
まず、作品の舞台の街が実在するのかどうか?とう疑問に関しては実在しないようです。
パンフレットに東地和生美術監督のインタビューが掲載されており、その中で「架空の街を舞台」と書かれています。
ということで、特定の市町村や街が舞台になっているわけでは無いようです。
しかしながら、作中で描かれている風景・製鉄所の高炉・その他のパーツ単位ではモデルが実在しています。
中でも岩手県釜石市に複数のモデル地があるようです。
私の個人的な見解ではありますが、あえて「舞台」を決めるのなら、岩手県釜石市がそれにあたる街だと思います。
釜石市は歴史的に製鉄の街です。
平安時代には既に砂鉄から鉄を作っていたそうです。
幕末の安政4年には西洋式の高炉が作られ、明治13年には官営釜石製鉄所が国内初の製鉄所として操業を開始したそうです。
その後、いろんな会社を経て新日本製鐵株式会社となり、平成元年に高炉・製鋼工程を休止。
高炉は既に解体され、現存していません。
現在は「日本製鉄北日本製鉄所 釜石市地区」という名前になっています。。
「釜石製鉄所」という表記がよく見られますが、正式名称ではないようです。
この記事では便宜上、釜石製鉄所と記載します。
ここまで書くと、釜石市がアリスとテレスのまぼろし工場作中の世界観にかなり近い事がわかるかと思います。
作中で具体的な西暦の年数までわかるシーンがありました。
(劇場で観た人は気づいたかな?)
釜石製鉄所の歴史と合わせて見ても、酷似している事がわかります。
※2023/10/3追記・キャプ画追加
ここまで書いたら、釜石市を舞台と認めてるようなものでは・・・?
(個人的な見解です)
前置きはこのぐらいにして、具体的なカットとモデル地について解説していこうと思います。
まずはPVのこちらのカット。
釜石製鉄所の入り口がモデルのようです。
アレンジが激しいので、この地点がモデルという根拠を解説しておきます。
●青色枠、サイズがバラバラのトラス鉄橋
(三陸鉄道の橋梁です。なんでこんなサイズバラバラになったのか理由が知りたい)
●黄色枠、トラス橋の中に欄干あり。
●ピンク枠、制限高 4.0m
ここまで一致していれば、この地点がモデルと断言して問題ないかと思います。
釜石市上空の航空写真です。
作中、バス停にある地図がこの航空写真の地形に似ています。
作中の高炉のモデルですが、結論から言えば、「釜石製鉄所 第一高炉」です。
製鉄所の高炉なんて日本中にたくさんありますし、形状なんてどこも似たような物が多いです。
その中から、細かな特徴まで一致する物を探すのに苦労しました。
状況的に釜石製鉄所の高炉の可能性が高いとは思ったのですが、とっくの昔に解体済み。
画像検索でも断定できるだけの解像度がある写真が見当たらず。
仮に釜石製鉄所の高炉がモデルであったとしても、現存しない高炉をモデルとして、作中に出てくるような緻密な絵を描けるのか?
(作中ではいろんな角度からのカットがあるので、精密な3Dモデルが作成されているっぽい?)
などと思案(邪推?)しながら調べていたら、以下のサイトに遭遇しました。
https://4travel.jp/travelogue/11657804
釜石市、鉄の歴史館という施設に釜石製鉄所・第一高炉の模型が存在しているようです。
人様のサイトなので、画像を直接お借りするのは遠慮して、画像に直リンさせて頂きます。
(え?直リンでも大概だって?元サイトのURLも記載しているのでご容赦を)
模型の写真と作中カットでは角度が違うので、ちょっとわかりにくいのですが・・・。
●青色枠、飛び出た梁?部分にある小屋。
●黄色枠、煙突の位置および先端部の形状(色の順序は一致せず)
●ピンク枠、4個のパーツの角度
特に重要なのはピンク枠のパーツの角度が完全一致するところです。
(撮影角度が少し違うので、脳内でグルグルして補完してね)
おそらくですが、この高炉の模型をモデルにして作中の高炉を描いたのだと思います。
模型が存在するのであれば、既に解体された高炉がモデルになっていても納得です。
むしろ、現役の高炉をこの精度でロケハン取材するほうが難しいかも?
ちなみにですが、エンドロールの取材協力に現存する製鉄所の名前が出ていますが、高炉の形状は全く一致しません。
※2023/10/3 キャプ画追加
上記、模型の写真2枚目に近い角度がありました。
※2023/10/22追記
見伏市民会館大ホールのモデルに関して、春日さん(@jp_kasuga)より情報提供あり。
熊本県玉名市、(旧)玉名市民会館大ホールがモデルにようです。
令和2年に新ホールが完成して、こちらのホールは解体済み。
古いストリートビューには写っていますが、最新版では既に更地。
※2023/10/3追記
廃製鉄所の鉄製鳥居
この鳥居は茨城県ひたちなか市、ひたちなか海浜鉄道・阿字ヶ浦駅にある、
ひたちなか開運鐵道神社の鳥居のようです。
古いレールで作られているようです。
名車キハ222の塗装と鐡道神社化プロジェクトで延伸応援したい
こちらのサイトから画像をお借りしました。
(直リンで失礼します)
鳥居の柱にレールの継ぎ目があります。作中でも確認可能です。
※2023/09/18追記
PVの見伏の街のしたシーンです。実際の釜石市の地形とは一致しないのですが、赤く囲った箇所だけ局部的に一致します。
釜石製鉄所の原料荷揚げの桟橋と製品の積み込み施設です。
Google Earthで航空写真を傾けてそれっぽい角度にしてみました。
この製品を船に積み込む施設は「東日本製鉄所 釜石地区 全天候バース」という名称です。
街の遠景のカットにも建物が描かれています。
釜石市の尾崎神社~尾崎公園付近から見るとこの角度になると思います。
機関車と貨車のモデル
太平洋石炭販売輸送株式会社の機関車と貨車です。
写真はウィキペディアよりお借りしました。
機関車の塗装は異なっていますが、画像検索すると作中に近い塗装の時期もあったようです。
残念ながら2019年に鉄道事業廃止、機関車も貨車も既に解体済みとの情報。
エンドロールの取材協力には現在の社名「新太平洋商事」が入っています。
ちなみに、作中で連結されている車掌車ヨ8000が太平洋石炭販売輸送株式会社やどこかの製鉄所に所属していたという情報は得られず。
※2023/10/3キャプ画追加
※2023/09/18追記
てつはらさん(@tetsu_no_hara)からの情報提供です。
作中のクレーンが付いた鉄道車両ですが、国鉄ソ80形貨車だとの事。
北海道の三笠鉄道村に保存されているソ81がモデルのようです。
(写真はウィキペディアより)
オートレストラン みふせ のモデル。
これはわかりやすいですね、埼玉県行田市にあった「鉄剣タロー」というお店です。
レトロ自動販売機マニアたちの聖地だったらしいです。
残念ながら、コロナ禍の影響により閉店してしまったようです。
下記のサイトに店内の写真もあります。作中でも見覚えあり。
連続コンクリートアーチ橋(鉄道橋)のモデル。
※2023/10/3 画像差し替え
(現地撮影)
おそらくですが、奈良県五條市、五新線新町高架橋(未成線)の遺構だと思われます。
五新線は奈良県五條市と和歌山県新宮市をつなぐ路線として計画され、途中まで建設されたものの、
建設途中で計画中止になり未成線となりました。
現在の国道168号線とほぼ同じ経路です。国道168号線の鉄道版って感じかな。
一部区間はバス専用道として利用されていたものの、トンネルなどの老朽化のため、バス路線も国道に変更されました。
●青色枠、橋脚部分の筋(逆Y字型)
●黄色枠、欄干の形状
私が調べた範囲では、五新線の遺構が最も酷似しています。
もし、五新線の遺構より作中に似ている場所があれば教えてください。
作中の鉄道橋は、このカット以外にも違った形状の物が複数出てきます。
五新線の遺構以外にもモデルとなった橋はあると思われます。
※2023/10/9 追記
プレートガーダー橋(鉄道橋)について
作中、列車が緑色の連続したプレートガーダー橋を渡るカットがありました。
おそらくですが、釜石市の釜石線・三陸鉄道の甲子川橋梁だと思われます。
作中での特徴は、緑色の連続したプレートガーダー橋、丸っぽい橋脚、川の右側道路の高さ制限の門です。
甲子川橋梁が条件に一致しています。ただし、こちらの橋は釜石線用と三陸鉄道用の2本の橋がかかっていますが、
作中では1本だけだったと思います。
ちなみに、橋の名前に関してですが、情報源によって表記にブレがあります。甲子川橋・第3甲子川橋などの表記も見られます。
※2023/10/9 追記
鉄筋コンクリートラーメン橋(鉄道橋)について
作中、五実を乗せた列車がトンネルを抜けて、海上(川の上?)を走行するカット。
山口県阿武郡阿武町、山陰本線の惣郷川橋梁(そうごうがわきょうりょう)がモデルだと思われます。
山陰本線の有名撮影スポットです。
●赤枠 手すり
●ピンク枠 円形の井筒基礎
●オレンジ枠 橋脚・梁・橋梁の接合部分の形状
作中でも、上記の特徴が一致することを確認しました。
ただし、中間の梁(横棒)の水面~路面の高さが一致してないです。
武甲山
※2023/10/3 画像差し替え
作中の山肌がどうみても武甲山ですね。
岡田麿里監督の出身地、埼玉県秩父市の特徴的な風景。
パンフレットのインタビューにも武甲山というワードが出てきます。
取材協力に関連する企業の名前もあり。
※2023/10/9 追記
水門のモデルについて
10/7に実施された「トークイベント&サイン会付き特別上映会@秩父」にてモデル地に関してもいくつか言及されていたそうです。
(残念ながら私自身は参加できなかったので、あくまで参加した方から聞いた情報です)
副監督氏の出身地が愛知県豊川市との事です。
「豊川市の豊川の水門に思い入れがあり、背景に入れた」
という旨の発言があったそうです。
ある程度地理的知識がある人なら、「豊川市の豊川の水門」といえば、豊川本流と豊川放水路の分岐点にある水門(豊川放水路分流堰)を想像するかと思います。
私もそう思って、ストリートビューで確認してみたのですが、作中とは特徴がほとんど一致しません。
スタッフが断言しているので、絶対にモデルはあるはずだと調べてみたところ、豊川上流の牟呂松原頭首工(取水堰)の水門がモデルになったと判断しました。
ちなみに、牟呂松原頭首工の所在地は豊川市ではなく、新城市です。
作中とは違いも多いので、こちらの水門がモデルだと判断した理由について説明しておきます。
(足場と手すりの有無、窓の数などが違う)
●赤枠 ワイヤーを吊るしている穴の形状
●黄色枠 柱が四角(角がある)
●オレンジ枠 部屋?の土台部分と建物部分で素材が違う
●ピンク枠 庇の先に屋根材の先が少し飛び出ている
という特徴が一致します。
豊川の水門でここまで特徴が一致するのは牟呂松原頭首工だけでしたので、牟呂松原頭首工がモデルになったと判断しました。
豊川放水路分流堰の画像も掲載しておきます。
上記4箇所の特徴がどれも一致しません。
三重県熊野市二木島町
親の顔より見た風景、凪あすの聖地、三重県熊野市。
・・・あ、すみません、嘘です、言い過ぎました。さすがに親の顔のほうが見てますね・・・。
TVアニメ「凪のあすから」は脚本を岡田麿里さん、美術監督を東地和生さんが手掛ける作品です。
凪のあすから作中で、二木島町の漁協の建物などがモデルとして使用されています。
赤で囲った橋が凪のあすからの背景で何度か出てきます。
二木島町の国道311号線の橋(左右反転)がモデルだと思われます。
※2023/10/3 現地撮影の画像に差し替え
アリスとテレスのまぼろし工場の作中でも一瞬だけ出てきました。
具体的には、魚釣りをしているオッサンが神機狼に呑み込まれるシーンです。
その一瞬でわかる程度には見覚えのある橋です。
4回映画館で鑑賞して、赤く囲んだ橋と数件の民家まで現地と一致する事を確認。
作中でも海辺のシーンですが、どこまで現地と作中が一致するかは円盤発売後に要確認ですね。
※2023/9/26追記
校庭のオブジェについて
パンフレットに収録されているカット。
作中、学校の校庭のシーンです。魚型のオブジェが2個あります。
このオブジェはモデルが存在しています。
東地美術監督が2017年にこのオブジェについてツイートしています。
小学校の頃、花壇に魚のオブジェがありまして・・非常にナゾのオブジェだったんですが近年再訪した時まだ残っていてちょっと嬉しかったんですよねー。気づいた人いますか?実は凪のあすから8話で美海が海水を光にかけるシーンの辺りに置いてあるオブジェの元ネタなんですw。#nagiasu pic.twitter.com/LIh2QAsgNJ
— 東地和生 KazukiHigashiji (@Higashiji) July 16, 2017
上記ツイートのコメントに学校名も投稿されていますので、書いちゃって大丈夫ですよね・・・。
三重県、御浜町立御浜小学校の校庭にあるオブジェです。
※現役の小学校です。実際に巡礼する場合には各種配慮をお願いします。
※2023/10/3写真追加
現地にて撮影してきました。
ストリートビューでも確認可能です。
こちらが凪のあすから8話のカットです。
※2023/09/18追記
てつはらさん(@tetsu_no_hara)からの情報提供です。
駅の外観は岩泉線・岩泉駅がモデルのようです。
岩泉線は平成22年に土砂災害により不通、平成26年にそのまま廃止となりました。
旧岩泉駅舎は岩泉観光センターとして利用されています。
岩泉駅は一面一線の棒線ホームでした。
作中の駅構内は跨線橋も存在する広い駅です。構内は別のモデル地があるのかな?
※2023/10/9追記
作中、駅背後にある廃墟について
パンフレット、東地美術監督氏のインタビューにロケハンに関して少し記載されています。
廃墟巡りで長崎県の池島に行ったとの記載があります。
10/7に実施された「トークイベント&サイン会付き特別上映会@秩父」にて
「池島の建物もパーツ単位で参考にしている」
という旨の発言があったそうです。
そのうちの一つがこちらの建物(池島炭鉱 選炭工場)だと思われます。
作中では岩泉駅が駅舎のモデルになっています、その背後の山に廃墟のような建物が描かれています。
上記画像の中央少し右側の円形タンク状の構造物に見覚えがあります。
(あくまで私の記憶の範囲なので、間違っていたらごめんなさい)
美術監督氏の発言から推測するに、池島の島内には他にもモデルになった物件が存在していると思われます。
※2023/10/22追記
駅構内のモデルですが、線路の配置、跨線橋の形状から紀勢線・熊野市駅だと思われます。
まず、作中での線路の配線等を図にしてみました。
この条件に一致するのが紀勢線・熊野市駅です。
作中、まぼろし世界で駅のホームから線路に降りるカット。
跨線橋天井の明り取り窓3個(下の画像赤丸)が確認できました。
2個+1個の不規則な配置も一致しますので、熊野市駅の物の可能性が極めて高いです。
しかしながら、現実世界で列車が駅に到着するカットでは黄色丸の天窓5個は存在せず。
議論の余地は残ります。
最後におまけ。
作中商店街のモデル。
釜石市の商店街(震災前)ではありません。
パンフレットにカットが掲載されていますが、画像検索で出てくる釜石市の商店街とは一致しません。
アーケードの照明の形状が一致しないのと、作中では信号機が縦に設置されています。
釜石市は震災前も現在も横に設置が基本みたいです。
縦に設置するのは、積雪対策なので、どこか雪国に商店街のモデルがあるのかもしれません。
以上がアリスとテレスのまぼろし工場の聖地に関する考察記事です。
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