会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

法人税、3年間で20%台に 6月末に閣議決定へ(朝日より)

法人税、3年間で20%台に 6月末に閣議決定へ

安倍政権が、法人実効税率を20%代に引き下げる方針を固めたという(観測?)記事。

「安倍政権は、いまは30%台半ばの「法人実効税率」(国税と地方税を合わせた税率)について、来年度から段階的に引き下げて最終的に「20%台」とする方針を固めた。6月末に閣議決定する「経済財政運営の指針」(骨太の方針)に明記する。3年間かけて引き下げることを軸に調整している。」

「・・・引き下げまでの期間は、経済界の要望に沿う形で「3年間」とする方向で調整に入った。アベノミクスによる景気回復で増えた税収を財源に充てるとして甘利明経済財政相らが主張してきた「5年間」からさらに踏み込み、大胆な改革と国内外に印象づける狙いだ。」

租税法の本をみてみると、「高付加価値税・低法人所得税」の国(例:欧州各国)と、「低付加価値税・高法人所得税」の国(例:日本)を比べると、前者の方が、国際競争上は有利なようです。というのは、前者の国は、いくら付加価値税が高くても、輸出時には輸出免税であり、国内で課せられた付加価値税(輸出に対応する部分)はすべて還付されるのに対し、後者の国は、輸出で稼ぐ所得にも相対的に高い法人所得税が課税され、それは輸出価格に転嫁せざるを得ないからです。したがって、消費税率を上げて、法人税率を下げていくという現政権のやり方は、企業の国際競争力向上には有効なのでしょう。(ただし、外形標準課税強化を財源にする場合には、この効果はありません。)

しかし、他方、欧州では社会保険料の企業負担(当然輸出価格に転嫁せざるを得ない)が、日本よりも高いようです。経団連のいいなりに法人税率だけを見ていてもだめなように思われます。

(ところで、法人実効税率引き下げという企業に甘い政策を採用するとなれば、バランス上、ガバナンス強化やIFRS導入という企業に厳しい政策を同時に適用する可能性があるのでは?)
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