会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

富士フイルムは米ゼロックスと合弁解消で合意、23億ドルで持ち分買収(ブルームバーグより)

富士フイルムは米ゼロックスと合弁解消で合意、23億ドルで持ち分買収

富士フイルムホールディングスが、米ゼロックスと合弁事業を解消するという記事。具体的には、「米側持ち分25%や関連持ち分を、富士フイルムが約23億ドル(約2530億円)で買い取る」とのことです。

富士ゼロックスは富士フイルムが75%、ゼロックスが25%を保有する合弁会社。事務機器などの営業地域をアジアと欧米ですみ分けている現在の営業体制が経営の自由度を狭めている面もあり、合弁解消により成長戦略の見直しを迫られる。」

富士フイルムが米ゼロックスとの合弁解消、富士ゼロを完全子会社化(ロイター)

「古森重隆会長・最高経営責任者(CEO)は「富士ゼロックスは非常に伸ばすことができる」と述べた。同社はドキュメント事業の売上高について、2024年度に18年度比1.3倍の1兆3000億円を目指すとした。営業利益は同様に500億円以上増加させる考え。当期利益は200億円以上増加するとした。投資判断が機動的になり、商品開発がタイムリーになると、会見した助野健児社長・最高執行責任者(COO)が合弁解消のメリットを指摘した。」

富士ゼロックスへの富士フイルム持分と交換に(したがって資金流出なしに)米ゼロックス株を取得し、子会社化するという話は断念したそうです。

富士フイルム、米ゼロックス買収断念 泥沼対立に終止符(朝日)

「富士フイルムHDは2018年1月、米ゼロックスが富士ゼロックスを完全子会社化したうえで、富士フイルムHDが米ゼロックスを買収すると発表した。ところが、富士フイルム側に追加の現金支出が要らない買収手法だったことから、米ゼロックスの大株主が「詐欺的なスキームだ」などと猛反発。米ゼロックスは18年5月、買収計画についての合意を一方的に破棄した。富士フイルム側が翌6月、「契約違反」だとして10億ドル超の損害賠償を求める訴訟を米裁判所に起こすなど、両社の対立は泥沼化していた。」

会社のプレスリリース。

富士ゼロックスの完全子会社化及び特別利益(子会社株式売却益)の計上に関するお知らせ(富士フイルムホールディングス)(PDFファイル)

ゼロックスがもっている25%を、富士フイルムホールディングスが、キャッシュを出して、買い取るわけですが、その一方で、富士ゼロックスが、富士フイルムホールディングスから自己株式(富士ゼロックス株)を取得し、その対価約2500億円を支払うそうです。つまり、富士フイルムホールディングスとしては、ゼロックスに支払うキャッシュは、富士ゼロックスのもっているキャッシュ(あるいは富士ゼロックスが借入で調達するキャッシュ)でまかなうということになるのでしょう。

この自己株式取引により、富士フイルムホールディングスは、子会社株式の一部売却ということになり、単体決算で、約1,890億円の売却益が計上されるそうです。連結では消去され、売却益は計上されません。

また、富士ゼロックスの25%分の買い取りは、子会社株式の追加取得となります。連結では資本取引(非支配株主への資本の払い戻し)ですので、のれんの追加計上はないのでしょう。
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