楽天(12月決算)のプレスリリース。
持分法適用会社であるLyft, Inc.について、約1,030億円の減損損失を「持分法による投資損失」に計上する見込みとのことです。
「当社の保有するLyft, Inc.(以下、同社)に対する株式投資について持分法を適用していますが、当第3四半期連結会計期間において約1,030億円の減損損失を要約四半期連結損益計算書の「持分法による投資損失」に計上する見込みとなりました。」
「当社は、同社の株式について市場価格が著しく下落したことから減損しているという客観的な証拠があると判断しました。当第3四半期連結会計期間の末日の株式の市場価格に基づいて回収可能価額を測定し帳簿価額と比較した結果によるものです。」
持分法適用会社への投資ですから、金融商品の時価会計ではなく、固定資産の減損会計の適用となります。IFRSでは、回収可能価額は時価でなくてもよいはずですが、赤字が続いているということで、時価を使わざるを得なかったのでしょう。
(IFRSの減損会計は戻し入れができると聞きますが、持分法投資に関してはどうなのでしょう。もし戻し入れが可能であれば、今後状況が改善されれば、持分適用時の簿価(そのときの時価)まで、戻し入れ益を計上できる可能性がありますが...)
楽天、3Qに1030億円の減損損失計上 出資中のLyft株価下落で(ITmedia)
「楽天は15年にLyftへ3億ドルを出資。Lyftが19年3月にNASDAQへ上場したため、第1四半期には有価証券評価益1104億円を計上していた。第2四半期には、同社を持分法適用会社に変更したことに伴い、1094億円の有価証券評価損を計上した。」
(第2四半期決算短信を見ると「有価証券評価損10,943百万円」(ただしNon-GAAPベースの説明)とあり、「1094億円」ではないようです。)
評価益を計上したかと思えば、次の四半期では評価損となったり、あわただしいことです。株価変動で業績が大きく左右されるのを嫌って持分法にしたのかもしれませんが、持分法にしたところで、減損会計は逃れられません。
Lyftの株価推移は...
「Lyftの株価は、上場日の1株88.6ドルが最高値で、以来上下しつつも下降トレンド。10月10日には上場以来最安値の37.07ドルを付け、11月4日(現地時間)現在1株43ドル前後で推移している。
Lyftの株価下落の原因には、上場後に数件の訴訟を起こされていることなどが挙げられる。米Bloombergによると、2人の株主が4月、「もくろみ書で米国での市場シェアを39%だとしたのは誇張で、実態が露呈して株価が下落した」として同社に対し訴訟を提起したという。9月には、性的暴行を受けた14人の被害者が同社に対し、「ドライバーの中に性犯罪者がいる危険について適切に対応していない」と訴訟を起こしたと米BUSINESS INSIDERなどが報じた。」
楽天、リフト株下落で減損損失1030億円(日経)
「楽天は約11%を出資するリフトの筆頭株主で、3月のリフトの上場では1100億円の株式評価益を計上していた。」
「楽天は上場前にリフトに出資し、4月に取締役の任命などにより経営に重要な影響力を行使できるようになったとして、同社を持ち分法適用会社にした経緯がある。
リフトは同業のウーバーテクノロジーズとの競争激化の影響を受けて大幅な赤字が続いており、上場後の株価は低迷している。今回、楽天は持ち分法投資損失を計上するが、「上場前から通算した投資損益は黒字」(同社)という。」
Lyft株式の会計上の取扱いに関するお知らせ(2019年7月1日)
「当社が保有するLyft, Inc.株式について、従前は、純損益を通じて公正価値で測定される金融商品として会計処理をしておりましたが、当社による株式保有、任命した取締役による取締役会に対する積極的な関与を通じ、重要な影響力の行使が可能になったこと等により、2019年12月期第2四半期連結会計期間より、持分法を適用することとなりました。」
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