EY、新たなアシュアランステクノロジーのケイパビリティ導入により信頼と信用を強化
KPMG(→当サイトの関連記事)に対抗したのか、EYからも、AI技術導入のプレスリリースが出ました。EYのグローバルが公表したものの翻訳(+日本のコメント)のようです。
ただ、意訳しているのかもしれませんが、「EY、新たなアシュアランステクノロジーのケイパビリティ導入により信頼と信用を強化」という見出しは、グローバルのプレスリリースとは少し違っているようです。グローバルは、「EY Assurance releases new technology capabilities, strengthening confidence and trust」ですが、その中のEY Assuranceは、EYの保証業務部門のことで、それが主語になっているのしょう。「アシュアランステクノロジー」というようにつなげてしまうと、通じなくなります。「new technology capabilities」のところは、テクノロジーを用いた新しい監査の仕組みぐらいの意味でしょうか。「ケイパビリティ」という言葉は、調べてみると、有名な経済学者、アマルティア・センの提唱した「ケイパビリティ(潜在能力)」が、よく知られているようです。そのほか、経営の分野でも使われている言葉のようです。翻訳がなかなか難しそうで、カタカナのままでもしかたがないのかもしれませんが、なんとなく煙に巻かれた感じです。
中身については...
「EYは、テクノロジーの活用を中心に据えた、数年にわたる監査変革プログラムの一環として、新たなテクノロジーケイパビリティ並びにEYのプロフェッショナルを対象とした「AIアシュアランスフレームワーク」をリリースしたことを発表いたします。また、本展開をサポートするために約9,000人のEYテクノロジーリスクのプロフェッショナルが、アシュアランスサービスラインに加わる予定です。
今回発表された新たなテクノロジーは、アシュアランスサービスのケイパビリティを強化し、監査・保証サービスの品質をさらに向上させることを目指しています。これにより、企業の財務、サステナビリティ、テクノロジーリスクに関連するアシュアランスサービスの知見が一層深まり、急速に進化し複雑化するビジネス環境での成功に向けて、企業の意思決定者へのサポートが可能になります。」
EYは、10億米ドルを投資して次世代のアシュアランス・テクノロジー・プラットフォームを開発しているそうですが...
「EYは、上記の投資プログラムにより、テクノロジーケイパビリティを一つのシームレスなプラットフォームに統合すると共に、次世代のデータアクセス機能、高度なアナリティクス、AI、並びに洗練されたユーザーエクスペリエンスによってトランスフォーメーションを加速させていきます。」
(キラキラワードが満載です。)
より具体的には...
「今回のテクノロジーの最新リリースには、財務諸表に対する監査手続において世界中のEYメンバーをサポートする機能など、AIを活用した追加機能の導入が含まれています。EYはまた、受賞歴のあるEY.ai.EYQエコシステムと次世代アシュアランス・テクノロジー・プラットフォームの統合に向けて、生成AIのパイロット運用を開始しています。これらの機能は、生成AIを駆使して、会計監査に関する専門的なトピックの検索や要約を行い、財務諸表の開示検証に関する推奨事項の提案を通して監査人をサポートします。これにより、監査のスピードと品質が向上し、監査人はより複雑で、深い判断力が求められる業務に集中することが可能になります。」
(「パイロット運用」ということだと、生成AIの利用はこれからのようです。)
9千人の専門職員の移動については...
「自社テクノロジーへの信頼の構築に取り組む企業を支援するために、EYによる高品質な監査やその他の保証業務には、ますます専門的なテクノロジースキルが求められています。
この要求に応えるために、約9,000人のEYテクノロジーリスクのプロフェッショナルが、EYアシュアランスに加わる予定です。EYとしてこれまで積み上げてきたテクノロジーリスクのプロフェッショナルの知見をアシュアランスにおいて活用することで、監査品質は一層強化され、また、提供可能なサービスポートフォリオも拡充されます。」
(グローバルで9千人ですから、日本でも数百人単位で移動があるのかもしれません。)