兵庫県のある郵便局の副課長が、ATMの現金225万円を盗んだが、直後の抜き打ち監査でばれてしまったという記事。
これは抜き打ち監査で不正を発見できた例ですが、手元の相当古い監査実務書には実査について一見逆のことが書いてあります。
「予告もせず、現金実査を往査初日または翌日以後の日でも、始業時に実施するような愚をおかせば、最初の1回は効果を得るにしても、その後は現金不足を友人・親族等からの借入現金や小切手で補充して実査を受けるようになり、その不正行為の発見を困難として、監査失敗に直結させてしまうのである。」
むしろ、「不正実行者に、朝、銀行から「預金を引き出して、これを入金処理(記帳)せずに不足現金に充当、埋め合わせし、実査完了直後に入金処理する手口」を使用させる目的をもって、実査日と時間を予告すべき」だそうです。つまり、おとり捜査的に不正実行者に隠ぺい工作をやる機会を与え、うまくごまかせたと思わせたうえで、その日の入金(預金の出金)を徹底的に調べるという嫌らしいやり方です(本当にそんなにうまくいくのかは疑問ですが)。
記事の例でも、不正実行者があわてて不足金を用意して穴埋めしようとしたことで、見つかってしまったようです。監査をきっかけとして不正実行者に隠ぺい工作をやらせ、そこから不正を発見するという点では共通するのかもしれません。
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