東証2部上場「ユニオンホールディングス」の相場操縦事件で、同社が増資の引受先である投資会社に、関連企業を介して数億円を提供していたという記事。
「ユ社は06年3月、親族が経営する投資会社(東京都渋谷区)を引受先にした第三者割当増資の実施を発表した。投資会社が900万円で新株予約権を取得する内容。
大量保有報告書などによると、投資会社はその後、新株予約権を行使してユ社株を取得し、ユ社に総額約77億円を支払ったことになっている。
関係者によると、ユ社はこの増資に際して、横浜被告が役員を務める韓国のビデオ会社や映画配給会社に貸付金名目などで数億円を提供していた。この資金は投資会社に流れ、投資会社はユ社株を取得する費用などに充てていたという。」
77億円と数億円では差がありすぎるので、架空増資とまではいえません。ただし、不自然な株価の動きによって調達した資金ということにはなるのでしょう。また、行使価格と市場売却価格の差額は、投資会社の利益になります。
新株予約権発行後のこの会社の有報(2006年3月期)をみてみましたが、巨額の純損失(90億円)を資本金と資本剰余金の増加(資本金80億円→150億円、資本剰余金40億円→80億円)で穴埋めしているように見えます。貸借対照表では、売上債権のほか、貸付金、未収入金、保証金が急増しています。これだけでは実態はよくわかりませんが、異常な感じはします。
翌期(2007年3月期)も新株発行により約45億円調達する一方で、約100億円の損失を出し資本を減らしています。
起訴されたのは、2007年4月の相場操縦の容疑によるものですが、それ以前の取引もよくわからないところがあります。巨額の損失は、本当にまともな事業に投資した結果生じたものなのかということも疑われます。
監査人は、通常、会社の行う取引しかみることができませんが、こういう会社の場合は、役員や大株主が、会社の外で何をやっているのかまで把握しないと実態はつかめないのでしょう。それは実際無理なので、監査から手を引くというのが次善の策といえます。
ユニオン株価操縦で企業グループ社主を逮捕
ユニオンHD、新株発行で77億円調達か 社長ら起訴
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