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平成19年度の税制改正に関する答申

平成19年度の税制改正に関する答申

当サイトでは基本的に税務は扱わないことにしていますが、12月1日に提出された政府税制調査会の答申は、財務会計にも大きな影響を与える減価償却制度の見直しが重要テーマとなっているので、関係する部分だけ紹介したいと思います。

1.減価償却制度

まず償却可能限度額について、「主要国では設けられておらず、合理的な説明が困難な償却可能限度額(取得価額の95%)については、これを撤廃すべきである」といっています。

また、「新規取得資産について法定耐用年数内に取得価額全額を償却できるよう制度を見直し、残存価額(10%)を廃止するとともに、償却率についても国際的に遜色のない水準に設定すべき」としています。

償却可能限度額と違って、ここでは新規取得資産に限っているので、既存の固定資産は従来どおりの償却になるのでしょうか。10%の残存価額を廃止するとのことですが、定率法の償却率は耐用年数経過時点で取得原価の10%になるように設定されているので、定率法の計算式自体を変えるのかもしれません。

「法定耐用年数・設備区分については、使用実態を十分把握した上で、簡素化等の見直しをしていく必要がある。特に、技術革新のスピードが早く、実態としても使用年数の短いものについては、早急に法定耐用年数を短縮すべきである。」

耐用年数の変更は会計上の見積りの変更ですが、新規取得資産は新耐用年数で償却するとしても、既存資産の耐用年数変更を財務会計上どのように扱うかなど、検討すべき問題が出てきます。過年度分を臨時償却するかどうかといった問題です(私見では臨時償却は不要)。

2.リース会計見直しへの対応

「リースの税制上の取扱いについては、納税者の事務負担軽減にも配慮し、会計基準の変更を踏まえ、取引の経済的実態を適切に反映させるよう措置すべきである。」

経済的実態という言葉を深読みすると、ファイナンスリースの経済的実態は金融であるから、金融取引として税務上も扱うということなのかもしれません。

いずれにしても、償却可能限度額が撤廃され、耐用年数で取得原価の100%償却ができるとなると、リース会計基準がどうなろうと、ファイナンスリースの税務上のメリットは相対的に相当程度失われることになります。


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