ハイアス・アンド・カンパニー(東証1部)のプレスリリース。
監査人であるあずさ監査法人より、2020年4月30日現在の財務報告に係る内部統制の評価結果を表明できない旨の内部統制監査報告書を受領したとのことです。
また、2020年4月期の連結財務諸表・財務諸表や、過年度の訂正後連結財務諸表・財務諸表についても、意見を表明しない旨の監査報告書を受領したとのことです。訂正後の四半期連結財務諸表についても同様です(結論不表明)。
監査報告書の内容は...
「当社は、売上高の架空計上などの不適切な会計処理が存在する疑義が認識されたことから、第三者委員会による調査を実施しておりますが、2020年9月28日付の中間調査報告書において、第三者委員会は、代表取締役及び財務経理・総務部門を統括する取締役(以下、「財務経理担当取締役」という。)を含む複数の取締役による不適切な会計処理への関与又は認識があったこと、及び、2020年7月に財務経理担当取締役がメール保管期限を操作するという当監査法人によるメールデータ保全手続を妨害したものと評価せざるを得ない行為があったと認定しております。これらについては、監査法人においても同様に判断しており、それらに加えて、不適切な会計処理が存在する疑義が認識された後の監査の過程においても、代表取締役による当監査法人に対する虚偽の説明がなされていたと判断しております。このことは、監査意見を表明する前提となる、経営者の誠実性について深刻な疑義を生じさせていることから、監査法人は、当社の2020年4月30日現在の財務報告に係る内部統制は開示すべき重要な不備があるため有効でないと表示した上記の内部統制報告書に関して、何らかの修正が必要かどうかについて判断することができませんでした。」
「(1)内部統制監査報告書に記載のとおり、監査意見を表明する前提となる、経営者の誠実性について深刻な疑義を生じさせていることから、監査法人は、上記の連結財務諸表に何らかの修正が必要かどうかについて判断することができませんでした。」
オリンパスや東芝の粉飾事件でも、監査人は経営者にだまされ放題だったわけですが、そのことがわかった後も、不表明にはせずに、無限定適正を出していました(ただし過年度の訂正報告書には無限定ではない監査報告書あり)。それと比べると厳しい対応のようにも思われますが、監査人をだました経営者が、まだ会社にいるという点が違うのでしょう。
第16期有価証券報告書の提出、並びに過年度の有価証券報告書等、決算短信等の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)
「...調査の結果、2015年4月期の売上高の一部は架空であり、当該取引に関する入金額はその後、別の虚偽の名目で当社より支払われ、外部の協力者へ還流していたこと、またその他の取引においても、一部売上高や売上原価その他の費用の計上について先送りや繰り延べ等があった、との報告を受けました。これに伴い、当社は、下記のとおり、過年度の有価証券届出書の訂正届出書並びに有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書を提出いたします。合わせて、過年度の決算短信及び四半期決算短信も訂正いたします。」
訂正の影響額を見ると、純資産ベースで、数百万円から20百万円程度であり、それほど大きな金額ではありません。もちろん、意見不表明なので、訂正後の金額が正しいものかどうかはわかりませんが...。
【材料】HyAS&Cがストップ安ウリ、監査法人による意見不表明を発表(株探)
最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事