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過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ(サンウェルズ)

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

サ ン ウ ェ ル ズ(東証プライム)のプレスリリース(2025年2月12日)。

先日調査報告書が公表されていますが(→当サイトの関連記事)、診療報酬の不正請求問題で、過年度の有価証券報告等の訂正報告書を提出したとのことです。過年度の決算短信等についても訂正しています。

「当社は、2024年9月20日付「特別調査委員会設置に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社が不正な診療報酬の請求を行ったとする報道において指摘された内容の事実関係及び問題の有無を明確にするため、当社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置し、客観性のある業務実態の調査を行ってまいりましたところ、2025年2月7日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会より調査報告書を受領いたしました。

当社は、特別調査委員会の調査結果を踏まえ、本件の対象となる部分について過年度の決算を訂正し、有限責任監査法人トーマツによる監査またはレビューが終了しましたことから、本日、下記のとおり過年度の有価証券報告等の訂正報告書を北陸財務局へ提出いたしました。併せて、過年度の決算短信等についても訂正いたしましたのでお知らせいたします。」

2022年3月期から2024年3月期までの有報や、新規公開時の有価証券届出書などが訂正対象となっています。

影響額を一部見てみると...

純資産が3割も目減りするなど、かなり大きな影響額となっています。

内部統制も不備ありになっています。

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)

2023年3月期と2024年3月期の「内部統制報告書」において、開示すべき重要な不備があり財務報告に係る内部統制は有効でない旨を記載するとのことです。

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社は、当社が不正な診療報酬請求を行ったとする報道を受け、当社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置し、客観性のある業務実態の調査を行い、2025年2月7日、当該特別調査委員会より調査報告書を受領いたしました。当該調査の結果、当社がPDハウス等で受け入れている入居者は、重症度の高いパーキンソン病患者であったことから、入居者及びご家族の同意を得た上で、1日3回・複数名訪問を標準としていたところ、現場の看護師等の多くに1日3回・複数名訪問が必須との認識を与えてしまい、訪問回数及び同行者の要否という観点での個別的検討・見直しが徹底されていなかったこと(訪問数等既定事案)が判明しました。また、そのような中で、①数十秒から数分という短時間の訪問であるにもかかわらず30分を標準とする訪問看護を実施したとして診療報酬の請求を行っていた事案(短時間訪問事案)、及び②訪問看護サービス提供の際に同行者が不在であったにもかかわらず同行者がいたものとして診療報酬請求を行っていた事案(同行者不在訪問事案)が存在していたことも判明しました。

当社は、調査報告書の内容を検討した結果、過年度の決算を訂正し、2022年3月期から2024年3月期の有価証券報告書及び2023年3月期の第1四半期から2024年3月期の第3四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出いたしました。

当社は、上記事案が生じた原因として、現経営陣や、経営戦略部、運営本部、教育部等に所属する経営推進を担う従業員において、訪問看護事業を推進するための基盤となるリスク分析・評価等のための体制が不十分であったことを背景として、上記事案の発生を抑止するための内部統制が機能不全となっており、また、訪問看護の適切なオペレーションに関する教育・研修を提供することができていなかったと認識しております。加えて、訪問数等既定事案については、各施設に対し売上目標として設定された単価の水準が、入居者の相当数に対して1日3回及び複数名訪問を実施しないと到達できない水準で設定されており、それが人事評価制度の評価基準としても設定されていたこと、また、短時間訪問事案及び同行者不在訪問事案については、①就寝時間帯の訪問の場合、入居者の睡眠を妨げるおそれがあることから、実施可能な看護内容が限定されており、訪問看護時間は短時間にならざるを得ない客観的状況が存在したこと、②ナースコール発報が非常に多く生じる中、それに対応するための人材が十分に確保されていなかった結果、同行を予定していた介護士等が、同行の予定を変更して、ナースコール対応等にあたる必要性が生じていたこと、③訪問看護として割り当てられた時間帯以外の時間で看護行為が求められることも少なくないところ、それらの時間も通算すれば十分な訪問看護時間を確保でき
ているとの考えを有している従業員も存在し、このような考えが、短時間訪問事案・同行者不在訪問事案においても適切な看護サービスを提供しているとして診療報酬を請求することを心理的に正当化する要因として働いていたことが、それぞれの原因として存在したと認識しております。

当社は、これらの内部統制の不備が財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制及び訪問看護事業における請求業務プロセスに係る内部統制について、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。」

社長減給、専務と常務辞任 不正請求でサンウェルズ(Yahoo)(共同通信配信)

「同社は12日、調査を理由に延期していた2024年4~9月期決算も発表、25年3月期の業績予想を下方修正し、純損益が当初見込んだ約26億2千万円の黒字から約6億4千万円の赤字に転落するとした。既に提出していた過去の有価証券報告書なども、純利益を大幅に減額する訂正をした。」

不正請求しないと採算が取れない状況なのでしょうか。

中間期の決算短信も公表されました。

2025年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(非連結)(PDFファイル)

注記より。調査費用や訂正費用などで、7億円弱かかるようです。中間期で引当はしていないようです。

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