EY新日本、業務及び財産の状況に関する説明書類(公認会計士法第34条の16の3第1項に規定する公衆縦覧書類)を公表
新日本監査法人は、2024年6月期「業務及び財産の状況に関する説明書類」を、2024年9月26日に公表しました。(前の期より20日近く遅い。)
まず、売上高。
5.5%の増収です。監査・非監査とも伸びています。
損益計算書、業務費用。
毎年、営業損益をほぼゼロで着地させているのは、すごい技です。
諸会費が2カ所に分かれて記載されており、合計すると、100億円超になります。会計士協会の会費のほか、グローバルへの上納金もここに計上されているのでしょうか。
貸借対照表では、「ソフトウェア仮勘定」460百万円(前の期は173百万円)が、すごく大きいという金額ではありませんが、気になります。附属明細書を見ると、前期も当期も増加する一方です。
東芝関連の1兆円訴訟の注記は、前期とあまり変わっていません(右が当期)。
東芝の非上場化で株主代表訴訟も消えるのかと思えば、注記上はまだ残っています。
「税効果会計に関する注記」 では、「繰延税金資産の主な発生原因は、未払金、賞与引当金等である。」と記載されています。社員退職引当金 13,183百万円には、税効果を認識していないということなのでしょうか。
会計監査人は東陽監査法人。監査報告書日は8月8日(前の期とほぼ同じ)ですから、説明書類の公表が大幅に遅れた理由ではなさそうです。本来は、会計監査が終わったら、速やかに公表すべきでしょう。開示に対する姿勢が問われます。
(補足)
訴訟の注記をよく見ると、「元株主」となっています。
(再掲)東芝の株主代表訴訟、相次ぎ「打ち切り」 弁護士が嘆く法律の「穴」(2024年4月)(朝日)
「控訴審となった東京高裁の今年3月6日の判決は、1株以上の保有者という株代訴訟の提訴要件を満たさなくなり、「原告適格がなくなった」と判断。一審を取り消し、内容は何も判断せずに訴えを却下した。
東京地裁で審理が続いていた監査法人への訴訟も今年3月28日、同様の理由で却下された。」
この報道の時点では、東京地裁で原告適格なしという決定が出ていたようですが、上級審でまだ審議が続いているのでしょうか。
もしかすると、説明書類の開示が遅れたのは、却下が確定するのを待っていたからなのでしょうか(しかし結局時間切れ)。