米国子会社における不適切な不動産取得及び類似事案に係る調査の結果に関するお知らせ(PDFファイル)
フジクラ(東証プライム)のプレスリリース(2023年7月31日)。
米国子会社における不動産の私的流用疑惑を調べていた法律事務所の調査結果の概要です。
「本件調査の対象となった米国子会社の CEO を兼任する当社取締役は、2023 年5月 26 日付で当社取締役を辞任しておりますが、不適切事案についての調査結果を精査し、法令に則り然るべき手続きをとる予定です。」
また、それ以外の過年度の誤謬が判明しましたが、2023年3月期で一括処理したそうです。
「本件に関連して、2021 年3月期第3四半期から 2023 年3月期第3四半期までの各四半期及び各年度において、当社連結財務諸表の誤謬が判明しました。
しかし、これら誤謬による当社連結財務諸表への影響は限定的であるため、過年度の連結財務諸表の訂正は行わず、2023 年3月期連結財務諸表において、これら誤謬の訂正による累積的影響額の訂正を行うことといたしました。」
以下、「調査結果(概要)」より。A氏は、米国連結子会社 America Fujikura Ltd.(「AFL」)の CEO 、 AFL Telecommunications LLC(「AFLT」)は、AFL の子会社です。
「1.本事案について
- 2020 年、AFLT は A 氏の指示に基づき、米国・サウスカロライナ州所在の土地(以下、「本件土地」という。)を、AFLT 名義で、400 万ドルで購入した。
- A 氏は本件土地に建物(以下、「本件建物」という。)を建築し、建築費用約 409 万ドルのうち、254 万 5 千ドル相当が、AFLT から支払われた。
- 本件土地の購入代金及び本件建物の建築費用代金の支払いに当たり、A 氏は、AFL の CEO 退任時に本件土地を譲り受けることについて当社との間で合意があるなどの虚偽の情報の伝達やA 氏宛てに発行された本件建物の建築費用に係る請求書の変造などを行った。
そのため、AFL の CFO 兼 AFLT の CFO である B 氏は、その説明を信じたうえで、本件土地及び本件建物の代金を AFLT の資金によって支払った。
2.類似事案について
類似事案については、以下の事案が判明した。
- クレジットカード及び小切手の私的利用
A 氏は、AFLT のクレジットカード及び小切手を私的目的のために不正に利用した。累計金額 は約 42 万 3 千ドルとなる。 - 航空機の私的利用
A 氏は、AFLT の資金を用いて 2019 年に 600 万ドルで航空機を購入したが、当社の設備投資に関する社内規程によれば、購入前に、当社の設備投資委員会に上程されるべきであった。
また、その後、航空機は AFLT によって売却され、買主より AFLT に対して月 7 万 5 千ドルでリースバックされたが、当該航空機は、A 氏の私的目的のためにも使用されていた。 - 有価証券投資
A 氏の指示のもと、AFLT の資金で行った投資の中には、AFLT の中核事業と関連性の低い投資先が複数存在した。」
小型版ゴーンみたいな事件です。ゴーン氏は、レバノンの日産名義の邸宅をまだ使っているようです。もっとも、ゴーン氏のメインの容疑は、退職後の報酬が法律上確定していたのに、開示していなかったというもので、ゴーン氏は開示もれとされる報酬を1円も受け取っていないのですが、この事件では、自宅の土地代・建設費(一部)を、退職金だといって、すでに支払わせていたようです。
元取締役不祥事、決算を一部訂正 フジクラが調査結果公表(日経)(記事冒頭のみ)