ソフトバンクグループの子会社、通信大手スプリントが、瀬戸際の努力を続けているという記事。
「...2014年夏にTモバイルUSとの2社統合を諦めて単独再建を決断したスプリントは、数字だけを見ればグループ全体にとって看過ならぬ「金食い虫」の事業のままだ。14年度のフリーキャッシュフローは▲33億1800万ドル(約3981億円)、15年度上半期も▲23億4600万ドル(約2815億円)を計上し、大量の資金を流出させている...。
さらに今年4~6月期の契約者数では10年間維持してきた業界3位の座を、過激なキャンペーンでシェアを伸ばすライバルのTモバイルUSに明け渡すことになった。負債総額はすでに339億6500万ドル(約4兆円)に達しており、利息だけで年間約20億ドル(約2400億円)のキャッシュが消えてしまう計算だ。
この収益体質では、通信事業の生命線ともいえるインフラ投資のためのキャッシュが本業で全く賄い切れず、利息の高い借金が将来の収益を押しつぶしてしまう。そこで孫社長が直々に通信ネットワークの設計に参加し、経営会議に頻繁に顔を出しているのだ。」
こういう状況で、のれんやその他の無形資産などの巨額投資を回収できるのでしょうか。
資金繰りの面では奥の手があるようです。
「ソフトバンクは過去、体力的に自社よりもはるかに大きなライバル企業に挑む際、自社資産を証券化して資金調達をしてきた。01年にADSL(非対称デジタル加入者線)の無料モデムを街角でバラまいた際にも、このモデムを証券化して、投資家に販売するアセット・バック・ファイナンスという手法を採用してきた。それに似た仕組みをスプリントで応用する。」
これは会計基準上オフバランスにできるのかどうかはわかりませんが、いずれにしても、これをやった時には、一時的に資金面でプラスとなりますが、長期的には本業で稼げない限り、改善にはなりません。
ソフトバンクは、現地子会社で計上した減損を連結で取り消すといったつなわたりをしていますが、当期はどんな方法を使うのでしょうか。監査人も、カリスマ経営者が相手だとたいへんそうですが、しっかり検討してほしいものです。
こちらは海外投資で減損処理した会社。
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