会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

エナリス、最終赤字21億円に 14年12月期(日経より)

エナリス、最終赤字21億円に 14年12月期

東証マザーズ上場のエナリスが2014年12月期の業績予想を修正したという記事。過年度決算の訂正も行っています。

「節電支援のエナリスは12日、2014年12月期の連結最終損益が21億円の赤字になりそうだと発表した。従来予想は12億円の黒字。売上高予想も349億円と85億円引き下げた。太陽光発電設備部材などの売り上げを取り消した。買収先ののれん代も減損処理した。13年12月期の利益も訂正して引き下げた。・・・」

提出が遅れていた第3四半期報告書は12日に提出したようです。

過年度に係る有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び決算短信等の一部訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

訂正事項が個別的に説明されています。以下、その中の主なものの抜粋です。

「①ディーゼル発電所設立にかかる建設仮勘定50百万円の会計処理の誤り

平成25年6月17日にディーゼル発電所設立の付随費用として計上されている50百万円の建設仮勘定に関して、平成25年11月11日開催の取締役会決議において、当該発電所に設置を予定していたディーゼル発電機18台等を売却することを決定したため、当該発電所建設計画は頓挫したものと評価されることから、平成25年12月期第3四半期において当該建設仮勘定は全額を取崩して消費税等相当分を控除した47百万円を特別損失として計上する必要があることが判明しました。

その結果、平成25年12月期第3四半期の連結の当期純利益は32百万円の減少となります。・・・」

「③ディーゼル発電機の売却に関する売上高及び売上原価の計上に関する誤り

平成25年12月期におけるディーゼル発電機の売却に基づき計上された売上高1,000百万円及び売上原価899百万円に関して、受渡しの事実がないことや売買代金の回収がなされていないこと等から、その計上を取り消す必要があることが判明しました。

その結果、平成25年12月期の連結の当期純利益は67百万円の減少となります。・・・」

この件については、当サイトでも取り上げました。固定資産から振り替えられたものの売却ですから、やや特殊な取引です。監査人も注意して見ていたはずですが・・・。

「④盗難されたディーゼル発電機3台にかかる会計処理の誤り

平成26年4月下旬に当社で確認したディーゼル発電機3台の盗難の事実に関して、盗難損失133,572千円を特別損失として計上する必要があることが判明しました。

その結果、平成25年12月期の連結の当期純利益は92百万円の減少となります。」

これは、不正なのか、単に管理が甘すぎたのか、微妙です。少なくとも、今年4月に盗難の事実を確認したのなら、その時点で会計処理しないと理屈が通りません。

「⑥エナリス神奈川太陽光発電所との太陽光発電設備設置工事請負契約に基づく連結の売上高及び売上原価の計上に関する誤り

平成25年1月1日から同年8月31日までの間におけるエナリス神奈川太陽光発電所との太陽光発電設備設置工事請負契約に基づき計上された売上高(平成25年第3四半期 488百万円、平成25年12月期 523百万円)及び売上原価(平成25年第3四半期 365百万円、平成25年12月期 397百万円)に関して、当社がエナリス神奈川太陽光発電所の株式及び匿名組合出資持分を譲渡した取引につき、当該株式及び匿名組合出資持分が当該譲渡先から最終的に当社取締役が代表取締役を務める会社2社へ譲渡されており、当該譲渡先は形式的に介在したに過ぎず、当該譲渡先への譲渡は十分な実態が伴っていないことから、連結において、その計上を取り消し両者の差額(平成25年第3四半期 107百万円、平成25年12月期110百万円)を負債計上する必要があることが判明しました。

その結果、平成25年12月期第3四半期の連結の当期純利益は107百万円の減少となります。・・・」

直近の第3四半期連結財務諸表を見ると、売上と売上原価をネットした金額で、長期仮受金に計上されています。「仮受」が長期になるというのは理解しがたいところです。また、ネット表示でいいのでしょうか。

(第3四半期連結財務諸表注記より)

「前連結会計年度において、第三者を通じて関連当事者に売却した神奈川太陽光発電匿名組合出資持分の譲渡対価と譲渡資産簿価との差額及び、当第2四半期連結会計期間において、第三者を通じて関連当事者に売却した広島第三発電所の譲渡対価と譲渡資産簿価との差額を長期仮受金として計上しております。」

「⑧太陽光発電システム機器の販売に関する売上高及び売上原価の計上に関する誤り

平成26年6月27日に当社が太陽光発電システムを売却したことに基づき計上された売上高669百万円及び売上原価416百万円については、平成26年7月28日に発注した太陽光発電所建設工事業者への設備建設工事の着手金の入金と一連の取引として解釈すべきであることから、その計上を取り消し、有償支給と同様の会計処理を行う必要があることが判明しました。
その結果、平成26年12月期の第2四半期の連結の当期純利益は168百万円の減少となります。・・・」

実質的に設備の建設に係る有償支給ということであれば、その利益を消しておかないと、固定資産の取得原価の中に内部利益が含まれることになってしまいます。これもわざとであれば、不正でしょう。

業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

当期の業績予想修正の方は、主として、日本エネルギー建設の完全子会社化(今年3月)に伴い発生したのれんの残高1,904,372千円を全額減損損失処理によるものです。経営環境が著しく悪化したためといっていますが、半年しか経っていないのに全額減損というのは少し異常な感じがします。

第三者調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)

これは全部は目を通していませんが、調査対象とした取引の選択方法などはきちんとしているようです。

粉飾決算!アベノミクスの象徴銘柄「エナリス」ついに「バケの皮」はがれる、社長・池田元英の「辞任」は必至の情勢へ »(東京アウトローズWEB速報版)

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