台湾と中国の企業連合に身売りすることを決めたジャパンディスプレイ(JDI)の財務運営が稚拙だったという解説記事。
「「あそこの財務戦略は当初から本当にひどかったですよね。ちゃんとしたCFO(最高財務責任者)がいたら、もう少し違っていたと思いますよ」
台湾と中国の企業連合に身売りすることを決めた、中小型液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)について、ある金融機関の幹部はそう振り返る。」
設備投資に必要な資金を米アップルからドル建てで借りたこと(為替に関してヘッジしていなかった)、上場直後に業績大幅下方修正を発表したこと、上場半年後に工場閉鎖を決め黒字見通しから赤字へと転落したこと、そういう状況でもさらにアップルから巨額資金を借りて新工場を建設したにもかかわらず、アップルからの受注減に見舞われたことなどを書いています。
銀行からも見限られているそうです。
「この(1070億円の)融資枠契約を子細に見ていくと、銀行側がJDIをかなり厳しい目で見ていた姿が浮かび上がってくる。
なぜなら、革新機構が債務保証した金額は、実は1100億円だったからだ。にもかかわらず、融資枠をあえて30億円少ない金額に設定していたのは、融資に伴って「遅延損害金が発生することを、あらかじめ想定していた」(関係者)からだという。」
財務戦略というよりは、経営戦略自体に問題があるようにも思われますが...。
ジャパンディスプレイ、2千億円税金投入で中国企業に叩き売り…日本国民全体の責任(Business Journal)
「値引き交渉をやり過ぎて、部品メーカーの体力が落ち、生産に支障をきたすようでは意味がないので、アップル側は部品メーカーの生産力についても考慮する必要がある。だがアップルは世界屈指の高収益企業であり、莫大な資金を持っている。こうした状況でアップルが考えることはひとつしかない。
それは部品メーカーに対して徹底的な値引き要求を行い、経営体力が低下する分についてはアップルが資金援助するというやり方である。これが実現できれば、調達価格をギリギリまで引き下げると同時に、部品メーカーをがんじがらめにし、意のままに操ることができる。
ジャパンディスプレイがアップルから資金援助を受けたのは、同社が安易な決断を行った結果ではなく、そうしないとアップルから仕事を取れなかった可能性が高い。同社が国策企業であり、業績を拡大しなければ国民に説明がつかないという「弱み」を、アップル側は完全に見透かしていただろう。
国策企業として税金が投入され、価格低下が著しい製品を取り扱い、しかも主要顧客は世界でもっとも強大で強欲なIT企業である以上、ジャパンディスプレイに選択肢はなかったといってよい。つまり最初から負けが確定したゲームといっても過言ではないのだ。」
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