会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査報告書に結果明記 金融庁検討 問題ない場合も(日経より)

監査報告書に結果明記 金融庁検討 問題ない場合も(記事冒頭のみ)

監査人が非財務情報を通読するだけでなく、情報が正しくても監査報告書に監査結果を明記する案を金融庁が検討しているという記事。

「金融庁は上場企業の会計監査を見直す。経営のリスクや企業戦略など定性的な情報が正しい場合でも監査報告書に監査の結果を明記する案を軸に検討する。国際基準に沿った内容で日本では問題があった場合だけその旨を記す。」

「金融庁が見直すのは監査報告書の記述拡充だ。企業戦略や経営リスクといった非財務情報を念頭に置く。現在の制度では監査法人は有報の記載内容が正しいかどうか通読する義務があり、問題が見つかれば監査報告書にどんな不備があるのか追記する。今回の見直しでは、問題が見つからなくても監査報告書に明記するよう検討する。」

「金融庁は監査部会で具体的な議論を進め、実際の記述拡充は2〜3年後をメドに始める見通しだ。国際監査基準は会計監査の国際組織IAASBが定めており、日本もこれに沿って見直す。」

日経記事の書きぶりでは、財務諸表以外についても監査対象として監査結果を報告するようになっていますが、新しい国際監査基準でも、監査対象を拡大するということをいっているわけではありません。

この問題は、3月28日開催の企業会計審議会の会議資料で説明されています(13ページ以下)。

監査報告書の記載事項の見直しについて

現行基準では...



国際監査基準では...



財務諸表監査では、財務諸表の基礎となっているさまざまな情報を監査証拠として入手するわけですが、そういう情報と会社が記載している非財務情報との間の矛盾に気付いたら、調べる(非財務情報の方が間違っている場合には修正を助言する)というところまでは、現行実務でもやっていると思います(財務諸表監査の結果にも影響するので)。特に、大手監査法人は国際監査基準に準拠したビッグ4のマニュアルを使っており、法定されている監査報告書の記載事項は別として、すでに実施済みでしょう。

そうすると、基準見直しにより実質的に変わるのは監査報告書ということになりますが、非財務情報が正しいかどうかの結果を記載するわけではなく、「報告すべき事項がない旨」を書くだけ(虚偽記載があると結論づけた場合以外)ですので、非財務情報に保証を与えるということではありません。

当サイトの関連記事(3月28日の企業会計審議会議事録について)

3月の会議では、非財務情報も監査人の保証の対象とすることを目指すべきかどうかについて、意見のやりとりが少しあったようです。
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