「会社計算規則の一部を改正する省令案」に対して日本公認会計士協会が提出した意見が公開されました。
会社計算規則の改正案は、「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等の公表を受けて、注記事項を見直すものですが、協会意見は、注記事項を限定するよう求めているようです。
「我が国においては株主総会の議決権行使基準日を決算日に定めている会社が極めて多く、これを前提とした株主総会スケジュールに鑑みると、計算書類の確定までの期間は非常に逼迫した状況にあります。このコロナ禍の 2020 年3月期決算であっても、計算書類の確定は5月中旬とするケースが多く見受けられ、金融商品取引法で要求される財務諸表と比べても決算作業にかけられる期間は1か月程度短い状況にあります1。このような状況において、有価証券報告書に関して拡充された注記を、計算書類においても同様に求めることは、実務への過度な負担を生じさせるおそれがあります。
さらに、連結計算書類の会計監査の期間は計算書類に対する期間と同様とされていますが、会社計算規則改正案では、連結計算書類にも多くの注記を求めているため、その作成に従来よりも多くの時間を要することが想定されることから、十分な監査時間の確保に懸念が生じるおそれがあります。」
「...連結計算書類及び計算書類における注記を従来以上に拡充することについては、株式会社の実務への負担を十分に考慮し、慎重な検討が行われるべきと考えます。」
具体的には...
(収益認識に関する注記について)
「1.会社計算規則改正案第 115 条の2第1項の注記事項について、開示目的を明示的に含めるか、注記事項をより限定することを検討いただきたい。 」
「2.会社計算規則改正案第 115 条の2第1項第1号の「区分ごとの収益の額その他の事項」に関する注記事項については、有価証券報告書提出会社に適用を限定すべきである。 」
「3.会社計算規則改正案第 115 条の2第1項第3号の「収益の金額を理解するための情報」に関する注記事項については、注記を求めないこととするか、有価証券報告書提出会社に適用を限定すべきである。 」
(会計上の見積りに関する注記について)
「5.会社計算規則改正案第 98 条第1項第4の2号の注記を追加することの適否について、実務上の負担の観点から検討いただきたい。」
・協会は会社法計算書類と金商法財務諸表の一体化を主張しているのに、これでは、ますます、両者が別れてしまうのではないか。
・会計基準が要求している注記がすべて含まれて、はじめて、監査人が無限定適正意見を出せる完全な財務諸表なのではないか。
・注記事項の文章の部分は、期中にあらかじめ検討しておけばいいのではないか。
・本表の監査では、その科目内訳、あるいは説明資料でもある注記の根拠資料もみているはずなのではないか。
といった疑問を感じますが、そういう理屈に走らず、実務優先なのが、協会のいいところなのでしょう。
個人的な意見としては、連結計算書類というものが諸悪の根源のように思われます。
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