東芝の株主総会で議決権の集計が一部もれていたというニュースは当サイトでも取り上げましたが、同様の処理は約1千社に及ぶのだそうです。
「東芝の株主総会を巡り、議決権行使の集計を受託した三井住友信託銀行が適切に事務処理せず、一部の株主の意見が反映されない事態が起きたことが分かった。取締役選任の賛否などを記した海外投資ファンドの書類が期限内に届いたにもかかわらず、集計から外れていた。会社法で保障する株主の権利を損ないかねず、説明責任も問われる。
三井住友信託は近く記者会見を開き、誤りを認める。議決権行使の集計などを受託する約1千社で東芝と同様の不適切な処理があり、総会での議決などに疑義が生じる。」
郵便局からは議決権行使書を通常より1日早く受け取り、その代わり、締め切りも1日早めていたようです。事務処理時間を長く取ろうとしたのでしょうか。
「同社(三井住友信託が委託していた日本株主データサービス)は総会が集中する時期に、本来の到着日より1日早く郵便局から行使書を受け取ってきた。期限翌日に届くはずの行使書も期限内に届くが、集計から外していた。
ただ、民法は郵送などでの意思表示について、相手への到着時点で効力が発生すると定める。三井住友信託は期限内に着いた行使書を無効とするのは不適切だと認める。
不適切な処理は20年間にわたって続いてきた。企業や投資家は把握しておらず、企業統治の透明性に影を投げかける。」
慣行的にやってきたことが、実は間違っていたというのは、どこでもありそうな話です。
議決権集計、千社で誤り 三井住友信託銀(時事)
「三井住友信託銀は集計業務を、出資先の日本株主データサービス(東京)に委託。株主総会集中期間の作業効率化を目的に、郵便局と調整の上で、行使書が本来配達される日の前日に受領して集計する「先付処理」という運用を行っていた。ただ、行使期間最終日に受領した行使書は、本来の配達日が翌日になるため集計外としていた。」
到達基準を、勝手に、配達予定日基準に変えていたということになります。
議決権集計、不透明な慣行20年 企業・投資家把握できず(日経)(記事冒頭のみ)
この日経記事によると、電子行使の仕組みもあるそうですが、米国や英国と比べると、利用が少ないそうです(2017年時点で14%)。
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