会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ユニゾに財務巡り質問状 香港ファンド「優先返済で悪化」(日経より)

ユニゾに財務巡り質問状 香港ファンド「優先返済で悪化」(記事冒頭のみ)

ユニゾホールディングス(非上場)に対し、社債保有者である海外ファンドが質問状を送ったという記事。

「米投資ファンドのローンスターと組み、株式を非公開化した不動産会社ユニゾホールディングスに対し、社債を保有する別のファンドが質問状を送ったことが分かった。米ファンドに資金を優先返済し、財務が悪化していると主張している。

香港拠点のファンド、アジア・リサーチ&キャピタル・マネジメント(ARCM)が8日付で、ユニゾや親会社のチトセア投資、ローンスターなどに質問状を送った。」

ユニゾは2020年9月末時点で短期貸付金2160億円を計上しており、香港ファンド側はそれをチトセア投資への融資とみているそうです。

「質問状によるとチトセア投資は「貸付金を返済する手段を有していない」ため「貸付金は無価値であると判断した」という。チトセア投資側の返済能力やローンスターがチトセア投資の支援を保証しているかについて7日以内の説明を求めた。回答がない場合は他の債権者とともに「債権者の利益を守るために必要な措置を講じる」という。」

本当に「貸付金が無価値」なら全額引当てしていなければなりませんが、半期報告書をみると、全額どころかほとんど引当てしていないようです。

ちなみに、会計監査人は監査法人ではなく、2名の会計士です(ネットで調べたところでは大手監査法人出身の上場会社役員経歴のあるかなり年配の人たちのようです)。前期は、新日本監査法人でした。監査報酬の問題か、それともリスクを察知して逃げたのか...


(ユニゾホールディングス半期報告書より)

ユニゾに融資する6割が地銀、65行の損失リスク握る借り換えの行方(ブルームバーグ)

「みずほフィナンシャルグループと関係が深かった取引先で、昨年6月に非上場化した不動産会社、ユニゾホールディングス(HD)への融資総額約1960億円のうち、約6割を地銀が占めることがブルームバーグの入手した資料で分かった。同社は銀行団に200億円の借り換えを要請しており、取引先地銀への影響が懸念されている。」

「国内金融機関では北國銀行の残高が一番多い」とのことです。

朝日新聞で先月ユニゾに関して連載をしていたようです。これはその最終回。

争奪戦でもうけたのは誰か 株式市場の課題あらわに(朝日)

「最ももうけたのは、EBOに協力した米投資ファンドのローン・スター・グループだろう。ユニゾ社員たちの買収資金を用意したことで、ざっと500億円規模の利益を得たと見られている。

「物言う株主」とされる米投資ファンドのエリオット・マネジメントも、ユニゾ株を安値のうちに買い集め1株6千円でEBOに応じたことから、100億円規模の利益を得ている可能性がある。」

海外ファンドが大もうけし、日本の地銀が大損するということになるのでしょうか。

ユニゾの社債については昨年日経でも取り上げていました。

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金融庁は投資家保護のために何の手も打っていないのでしょうか。さしあたり、会計士事務所を検査して、貸付金についてどのような監査手続を行っているのかを調べるぐらいはすぐにでもできるでしょう。
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