ふるさと納税の「膨張に歯止めを考える時だ」という日経社説。(「歯止めをかける時だ」ではなく「歯止めを考える時だ」と腰が引けているのが日経らしい)
「総務省は2日、2023年度のふるさと納税額が1兆1175億円になったと発表した。ふるさと納税による寄付は原則、2000円の自己負担を除く全額が主に住民税から差し引かれる。税控除を受けた人も納税者の6人に1人にあたる1000万人に達した。」
「規模拡大のあつれきは増している。税収が減る都市部の不満が募る一方、税収増の恩恵は一握りに集中する。全国1788自治体のうち、昨年度は100億円以上を集めた市町が10あり、それだけで全体の7分の1近くを占めた。
上位の常連は地方の肉や魚、果物などの産地が多いが、近年は名古屋市や京都市など大都市も目に付く。都市部が理解して成り立つ制度であり、巻き返しに躍起になるようでは制度は持続しない。適正な規模を探るべきである。」
その方法は...
「膨張を抑えるために考えるべきなのが、控除額に上限を設けることだ。所得が上がるにつれ控除額も青天井で増えるため、高所得層ほどメリットが大きくなる。」
ふるさと納税のコストも問題にしています。
「移動する住民税のうち、自治体の懐に入るのは半分に過ぎない。昨年度の経費は計5429億円で、寄付額に対する経費の比率は48.6%と5割以下というルールの上限にはりつく。
目下の争点が仲介サイトの特典ポイントの扱いだ。総務省は自治体に、ポイントを付与する仲介サイトの利用を25年10月以降は禁じる告示を出した。ポイントの原資が手数料に含まれ、その高止まりを招いているとの問題意識だ。仲介サイトを運営する楽天グループは「ポイント原資は自社負担だ」と反発し、撤回を求めている。」
ポイント原資が自社負担なら、税務的には寄付金でしょう。だとすれば、損金算入を否認して税金を取るべき。常識的に考えれば、手数料として自治体が負担しているというのが実態でしょう。
制度自体を廃止するのがスッキリしてよいと思います。
ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)(総務省)(ふるさと納税ポータル > 関連資料より)
(上記総務省資料より)
(同上)
こちらは元日経記者による記事。全く賛成できません。
「ふるさと納税」1兆円は、最も成功した「経済対策」なのに…それでも反対派の総務省が足を引っ張るために繰り出した「愚策」の数々(現代ビジネス)
(補足)
ふるさと納税、初の1兆円超え 「流出元」の自治体からは恨み節も https://t.co/4GB6KIMwbj
— 朝日新聞デジタル (@asahicom) August 2, 2024
「ふるさと納税という郷愁を誘う呼び名で良いことをしているように錯覚させているが、実態は官製カタログショッピング。直ちに廃止すべきだ」と有識者は指摘。 pic.twitter.com/ZhGMR2AM0C