会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

カジノ誘致は加計疑惑と同構図になるか、横浜市長選に注目(ダイヤモンドオンラインより)

カジノ誘致は加計疑惑と同構図になるか、横浜市長選に注目

新しい法律で解禁されるカジノの場所が(加計疑惑と同様に密室で)もう決まっているという記事。


「刑法で禁止されているカジノを合法化するには二つの法律が必要だ。第一弾は昨年12月、議員立法で成立した「カジノ推進法」。開業に向けてカジノを法制化することを政府に義務付けた法律だ。この法に従って政府は首相を本部長とする「特定複合観光施設(IR)区域整備推進本部」を内閣官房に設けた。事業の細目を定めるカジノ実施法案を作るのが同本部の仕事だ。」

「実施法案が成立すれば、政府は開業を希望する自治体を募り、候補地と業者を選定する。つまりカジノを立地する自治体や運営を担うカジノ資本が決まるのは法律ができてからである。その後、施設の建設や運営会社の組成が行われる。開業まで3~4年は掛かる。日本にカジノ賭博が登場するのは東京五輪の後になる、と見られている。

今は制度作りの真っ最中、どこの都市にどのカジノ資本が進出するか、具体的なことは「何も決まっていない」という段階だ。

法律も選定ルールもないのだから、立地自治体など決まっているはずはない。ところがそれは建前に過ぎない。巷では、横浜と大阪が当選確実、国際カジノ資本のラスベガスサンズとMGMリゾートインターナショナルが運営を担うことになりそうだ、とあたかも既定事実のように語られている。」

「「何も決まっていない」現状でありながら開発業者の選定は水面下で始まっている、という。カジノは外資が運営するが、IR全体の建設は国際共同企業体が担い、そこに参加する企業はどこか。ゲーム機器の納入や会計処理、劇場や会議場の運営や不動産管理や運輸・観光。大手企業が群がっている。地元業者にとって大手が跋扈するのは不愉快だろう。巨額の資金が動く案件の仕切りを誰が担うのか。」

会計士・監査法人業界も、進出する国際カジノ資本やカジノを誘致する地方自治体へのコンサル業務、カジノ運営会社の会計監査、国際カジノ資本に支払うマネジメント・フィー関連の監査、カジノはコンプライアンスが重視されるので、その関係のアドバイザリー業務、内部監査業務など、いろいろありそうです。たぶん、すでに(密室で)動いているのでしょう。

有識者会議などを批判した箇所。

「「結論先にありき」を表で正当化するのが有識者会議とか諮問委員会など、もっともらしい名が付いた審議会である。

加計学園の獣医学部に「広域に存在しない」などの条件を付与したのは、民間の有識者で構成された国家戦略特区諮問会議である。ここに原案を出すのは諮問会議の事務局の官僚だ。会議前に官僚は根回しする。「先生、この案件にはこういう条件を付けますから、会議でその趣旨に沿ってご発言ください」などと振り付け、委員の発言を議事録に残す。「諮問委員会のご意見を踏まえ」と政策に書き込む。裏で決まった方針を表舞台に載せる装置が「有識者会議」であり、担い手は黒子の官僚だ。財政・税制から都市計画、医療制度まで日本の行政はこうした仕組みによって決まっていく

振付のすべてが悪質というわけではない。多くは常識的なものだが、世間の目が届かない不透明な所作にはバイキンがはびこる。権力の私物化が忍び込む余地は十分にある。」

会計士がなじみのある金融庁のさまざまな政策もこうやって決まるのでしょう。カジノと違って、大きな利権は絡んでいないのでしょうが、金融庁も毎年毎年何らかの新機軸を打ち出して、やっている感を出さないといけないので、有識者会議で決まったことだといって、いろいろな政策(監査制度を含む)を進めているようです。役人の実績作りのために制度を動かされるのも、迷惑な話ですが...。

こちらは、大手監査法人の人が北海道でカジノ関連のセミナーをやったという記事。

国際観光都市を目指して-苫小牧IR市民セミナーから-(中)(苫小牧民報)
国際観光都市を目指して-苫小牧IR市民セミナーから-(下)(苫小牧民報)

「カジノに関しては、負の側面を否定できない。犯罪関係では、いかさま行為やマネーロンダリング(資金洗浄)、反社会勢力の介入、ギャンブル依存症、青少年への影響、地域の環境悪化などが挙げられる。これらの負の部分を上手にコントロールできるかどうかがIR導入のポイントになる。

米国ラスベガスでは、マフィアをカジノ経営から完全に排除し、上場会社が運営するクリーンな産業になっている。シンガポールでは対策によってギャンブル依存症の割合が下がっている統計データがある。依存症対策で自ら厳しいルールを科す事業者もある。負の影響をゼロにすることは難しいが、許容できる範囲まで懸念を減らしていく取り組みが海外では行われている。

日本はIR最後発国であり、政府が世界の規制の動きについて情報を収集し、世界最高水準の規制を導入する方針を明確に示している。」

監査法人は、カジノの(コンプライアンス面での)用心棒を務めるということになるのでしょうか。

加計学園問題が示した霞が関の劣化 更なる公務員制度改革を進めよ(Wedge)

「日本における政策立案過程は劣化を続けている。成長戦略などでは問題の分析や結果の検証が乏しく、山のような施策が優先順位もなく積みかさなっている。更に特定の利害によって歪められているが、諸外国では、政策の質を高めるため、エビデンスに基づく政策決定(例えば新薬や治療方法の費用対効果の分析)、独立的な機関による検証や評価などが標準となっており、残念ながら日本は取り残されている。

こうした問題の背景には公務員制度がある。法令上、公務員は能力と業績で任命し、政治的中立性が求められるが、現実には、こうした原則から乖離している。公務員は自らの利益を求めるため、関係する会社等に天下って、族議員とともにその利益を守ろうとする。これが岩盤規制であり、抜本的に改革するためには、官僚の政治的中立性や専門性を高める更なる公務員制度改革が必要である。」
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