当サイトでも簡単にふれていますが、企業会計基準委員会が「単体開示の簡素化」に関連する開示項目の限定的な改正を行うという記事。12月1日の会議で改正の項目が明らかになったようです。
「見直しの対象は、単体開示の簡素化に係る財務諸表等規則の改正に関連して、ASBJの会計基準等における注記の定めの中で開示の要否が明確でない旨の指摘がある項目。具体的には、次の3つを抽出した。
1)取締役会決議後消却手続を完了していない自己株式が貸借対照表日にあり、その帳簿価額または株式数に重要性がある場合の個別財務諸表における注記
2)無償取得した自己株式の数に重要性がある場合の個別財務諸表における注記
3)従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引を行った場合の個別財務諸表における一株株当たり情報および株主資本等変動計算書の注記」
いずれも、会計基準や適用指針などで注記が必要とされているのに、単体で削除していいのかなどが問題となっているようです。
「平成27年3月期決算には間に合わせる方針」とのことです。
第301回企業会計基準委員会の概要(企業会計基準委員会)
(感想)
改正ニーズがあるのなら改正すればよいと思いますが、腑に落ちない点もあります。
・注記事項は、会計基準が決めるべきものなのに、財規の方を勝手に変えておいて、つじつまが合わなくなったから、会計基準の方を変えてくれてというのはおかしいのではないか。
(もっとも、生きているのか死んでいるのかわからない企業会計原則に由来する注記事項(後発事象など)もあるので、「基準→表示規則」の原則を貫くのは難しい面もありそうです。)
(会計基準が定める注記のほかに、当局が必要とみなす注記を規則で追加することはありうるかもしれません。)
・(1番目とも関係しますが)監査人は、単体の財務諸表について、連結とは別の監査報告書で「財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、・・・適正に表示している」と意見表明している(つまり、単体もそれだけで完結する財務諸表のセットという扱いになっている)。注記も企業会計の基準の対象なのだから、本来会計基準に準拠した完全な注記を行うべきなのではないか。会計基準に反する注記省略を認めるのであれば、監査対象から外すべき。あるいは、会計基準の方で注記を省略できる場合を、十分検討のうえ規定すべき。
(会社法決算についてもいえる話です。)
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