会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

窮地・スルガ銀、報告書が明らかにする「実態」(東洋経済より)

窮地・スルガ銀、報告書が明らかにする「実態」
第三者委員会が今日公表、ポイントは?


スルガ銀行の不適切融資問題について、第三者委員会の調査結果が9月7日に公表されるという記事。

そもそも、ローンの種類別内訳がはっきり開示されていなかったのだそうです。

「アナリストや投資家が注目するのが、「投資用不動産ローン」の残高が実際にどうなっているのかということだ。

貸出金3兆1500億円のうち、9割が個人向けローン。スルガ銀行は個人向けローンのうち2兆円を「住宅ローン」と説明してきた。

残りの9000億円は「パーソナルローン」で、これは有担保ローンや無担保カードローンなどからなる。ある投資家は「投資用不動産ローンは、6000億円ほどの有担保ローンに含まれると考えていた」と語る。

ところが現在では、投資用不動産ローンの残高は2兆円にも及ぶとの見方が広がっている。実際、同行の関係者は「自分の知る限り、首都圏で住宅ローンはほとんどなかった。柱は投資用だった」と打ち明ける。

スルガ銀行に確認すると「投資用不動産ローンは、住宅ローンと有担保ローンのどちらかに振り分けられる」(経営管理部)。あるアナリストは「普通でいうところの住宅ローンがいくらかは決して教えてくれなかった。投資用不動産ローンはほとんどないと認識していた」という。

高収益の銀行と言われてきたスルガ銀行。その牽引役は「女性や外国人にも独自の審査ノウハウで提供する住宅ローン」のはずだった。もし投資用が融資の過半を占めていたとなると、ビジネスモデル自体が誤って認識されていたことになる。スルガ銀行はIR(投資家向け説明)に消極的との声をよく聞くが、消極的どころか、誤解を生む情報を提供してきた可能性がある。」

監査対象ではないとしても、いい加減な、誤解を招くような開示をしていたとすれば、監査人の責任も重いと思われます。金融庁も、そんなビジネスモデルにだまされていたのでしょうか。

物件売買金額の水増し(「二重売買契約」)による過剰融資も横行していたようです。

「投資家が不動産を購入する際、正規の契約書とは別に水増し金額で書かれた契約書を不動産会社がでっち上げる。こうすれば購入額の9割までしか貸さないといった基準があっても、全額を融資できる仕組みだ。逆に最初に物件価格を水増しした契約を締結し、全額融資が実行された後で、正規の金額まで引き下げる手法もある。「スルガ銀行はこうした契約が通る銀行の代名詞だった」(都内の不動産業者)。」

「二重売買契約や預金通帳残高の改ざんといった不動産会社が実行した不正に行員がどこまで加担したか、また役員関与の度合いや経営陣の責任を第三者委員会がどう認定するかが大きな焦点になる。

もしスキームの悪質性が強く、また銀行が深く関わったといった認定が第三者委員会でなされれば、「物件をスルガ銀行に返すので、残債はチャラにすべきた」と主張してきたオーナーやその被害弁護団からの責任追及がより強まるだろう。」

内部統制的には、債務者を審査するプロセスだけでなく、融資を斡旋する不動産会社を審査するプロセスもあったはずですが、それはどうなっていたのでしょうか。監査人は内部統制監査で、それをきちんと確かめていたのでしょうか。

15時半から、第三者委員会からの説明があるそうです。

「シェアハウス問題とのかかわりは2月には騒がれていたにもかかわらず、スルガ銀行は5月の決算発表まで会見や詳しい説明を行わず、情報開示の消極的な姿勢が批判されていた。今日は本社のある静岡県沼津市のホテルで、15時半から第三者委員会の「解説会」が開かれ、その後17時半からスルガ銀行が記者会見を行う。はたしてどこまで真実が語られるか。」

スルガ銀行の「ザルぶり」、不動産業界では周知の事実だった(DOL)

「不動産業界からは、革新的でアグレッシブな経営とは名ばかり、乱脈融資ともいえるスルガ銀行の実態は周知の事実だった。」

「与信評価のゆるいスルガ銀行融資で不動産を購入し、金利交渉や借り換え、売却などで収益を増やす手法は「スルガの毒抜き」と言われ、不動産投資家の間では常識だという。

 サラリーマンほどの稼ぎしかない者が、ワンルームマンションではなく、5000万円以上の中古アパートや中古マンションを1棟購入するには、一度はスルガの毒を食らわなければいけないということだ。」

「そうして数年前から増えたのが、「自己資金なしでの不動産投資」などを標榜する不動産会社やコンサルタントだ。

彼らの多くは二重売買契約を使って不動産を売っていたと噂される。」

「「少なくとも7~8年前までは、不正が横行するような状況ではなかった」と、千代田区内に本社をおく不動産コンサルタント会社の代表は語る。「通帳改ざんが発覚した不動産会社がスルガ銀行を出禁になった、といったうわさもあった。不動産向け融資でリスクを取りながらも、銀行として守るものは守っていたはずだが」。

 それでは、スルガ銀行は銀行が持つべき規範をどこで失ったのか。「地銀の優等生」として褒めそやされるうちに、たがが外れていった可能性もあるだろう。」

「かぼちゃの馬車後」も跋扈する悪徳業者、投資家を嵌める狡猾手口(DOL)
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