愛知大学で、デリバティブ取引の昨年10月末時点での含み損が約120億円に達していたという記事。
「愛知大の複数の幹部によると、損失が出ているのは「通貨スワップ」と呼ばれる取引。多くは円安になると利益が出る仕組みだった。しかし、金融不安の影響による米ドルの下落などから含み損が発生。昨年10月末時点で計19本の取引を試算すると計120億円に達するという。」
愛知大学のサイトをみると、昨年12月16日に「資金運用による損失について(ご報告とお詫び)」という声明文を出して、デリバティブ取引の解約により28億円の損失を出したことを明らかにしていますが、そこでは含み損については全くふれていませんでした。
今回の朝日新聞の記事に関しては、反論する声明文を2月3日付で公表しています。そのなかでは、デリバティブ取引について次のように述べています。
「デリバティブ取引について、記事では、通貨スワップの取引が、昨年10月末時点で計19本と読みとれますが、事実と異なります。また、含み損について、デリバティブ取引にかかる金融商品の時価は市況により日々変動するものであり、実際の損失(実損)とは異なるものです。」
含み損の存在、金額については反論していないため、取引の状況に関してはおそらく朝日の記事は正しいのでしょう。それにしても、外貨建の取引があるとも思えないのに、なぜ通貨スワップなどをやっていたのでしょうか。
ちなみにこの大学には会計大学院もあるようです。
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