43の事例が取り上げられていますが、その中のひとつを紹介します。
事案の内容(一部)
「親会社、連結子会社及び取引先数十社を巻き込んだ在庫の名義書換等による長期にわたる不正循環取引が発覚した。」
実施した監査対応(一部)
「監査人は滞留品の賞味期限や商品単価の異常性を認識し、会社に質問をするも、担当者の事実を隠した説明に疑問を抱きつつ追及しきれないまま監査を終了して無限定適正意見を表明した。」
改善すべき点
「ワンマン経営者が連続増収を強く指示する社内風土や、業界特有の張合取引そのもののリスクを明確に認識し、分析的手続、取引頻度、反復性、取引価格の異常性などを総合的に検証すること等、より深度ある監査手続を実施する必要があった。」
提言(一部)
「・・・担当者の説明を安易に信用してはならない。」
今から振り返れば、提言のとおりかもしれませんが、取引先との共謀があり、書類もそろっている、債権や在庫も完全にストップしているのではなく動きはあるというような状況であれば、会計士は検事ではないのですから、会社担当者を責め立てて自白させることなどは困難です。誰が監査人でも、追及しきれない可能性はあったと思います。
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