会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「大蔵省銀行局」に戻るのか(日経より)

「大蔵省銀行局」に戻るのか

金融庁が目指している行政の転換は、裁量行政への逆戻りではないかと批判するコラム記事。

「旧大蔵省から銀行局など金融部局を切り離し、金融庁が独立組織として誕生した背景には、裁量的な指導行政の弊害があった。...

その反省から、裁量行政をやめ、厳正で透明なルールに基づく金融行政に転換する必要に迫られた。そのために金融庁は創設され、検査局はその柱になった。金融機関との間で一定の緊張関係が生まれることで、不良債権処理は促された。」

「金融庁が目指すのが「金融育成庁」だとしたら、国際的な金融行政の常識からかけ離れている。成長分野への融資を促し、成長戦略の一翼を担おうという発想は危険である。金融庁の指導などなくても地方銀行などは日々、融資開拓に努めている。「対話」という名の指導行政は経営介入そのものだ。新たな不良債権を発生させかねない。そうでなくても、マイナス金利下で銀行の収益環境は悪化している。

大蔵省銀行局による裁量行政は、金融行政と金融機関のいびつな関係を生んだ。それを象徴するのが各金融機関が大蔵省との折衝役として置いた「MOF担」である。金融庁創設でなくなった「MOF担」が「FSA担」として復活することになれば、まるで裁量行政時代の再現である。金融庁が目指す行政転換は、かつての「大蔵省銀行局」に逆戻りするということなのか。時計の針を逆転させてはならない。」

正論だと思います。

ついでにいえば、ガバナンスがどうのこうのといって、監査法人の経営に介入しようとするのもやめるべきでしょう。

これも同趣旨の記事。この筆者が言っていることには賛成できないことが多いのですが、これは正論。

まるで30年以上前の行政スタイル… 金融庁の検査局廃止は「いつかきた道」(夕刊フジ)

「報告書の内容を一言でいえば、これを報じた日本経済新聞の見出しにもあった「処分庁から育成庁へ」が一番ふさわしい。簡単にいえば、金融検査をほどほどにして、対話型監督行政を重視するということだ。

これは、検査局廃止後の金融庁組織をみればわかりやすい。現在、金融庁は総務企画局、監督局、検査局という3局体制であるが、検査局のほとんどは監督局に吸収され、総務企画局が総合政策局と企画市場局に分かれるという。」

「その後、大蔵省の金融行政部門が金融(監督)庁として分離されるが、そのときでも検査局が柱で検査重視の行政であった。その当時、「事前相談型の監督行政」から「事後チェック型の検査行政」への移行といわれていた。

それが、今回の金融庁の考えでは、まるで30年以上前の行政スタイルに回帰するかのようだ。

事前相談と言っても、経営に疎い官僚との対話は金融機関側の接待になるのがオチなので、官僚でもできる事後チェックの検査行政になったという経緯がある。本コラムで書いたが、官僚が経営を知らないことを考えると、今回の金融庁の組織再編はいつかたどってきた道である。実業を知らない官僚に、業界「育成」を期待することが間違っている。」

こちらはどちらかというと金融庁寄りの解説。

金融庁「検査局廃止」で銀行に自立求める
森信親長官が3年目に突入し「総仕上げ」へ
(日経ビジネス)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事