金融担当大臣の私的懇談会である「金融市場戦略チーム」は、サブプライムローン問題に関する議論の結果をとりまとめた「第一次報告書」を、2007年11月30日に公表しました。金融庁が調べたわが国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品の保有額や評価損益の状況も、同日付で公表されています。
報告書の中では、市場正常化に向けた道筋として、ディスクロージャーの重要性についてもふれています。
「各市場が正常化への道筋を辿る過程においては、市場の不安を沈静化させるため、サブプライムローン関連商品を保有する各金融機関が、実際の保有商品の格付け等の詳細も含め、その具体的なエクスポージャーや評価損失を明らかにすることが重要である。また、そのような評価損失は、正確なプライシングによって、先送りすることなくできる限り速やかに引当の計上などの適切な処理がなされるとともに、適切なディスクロージャーがなされる必要がある。」
わが国の金融機関にはそれほど大きな影響はないとも言われていますが、そうだとしたら、欧米の金融機関以上に厳しい会計処理をするよう監査人も求めることができるはずです。欧米の金融機関が処理を終えたころにようやく損失が出てくるという醜態をさらすことのないよう期待します(会計基準は欧米と同等のはずなので会計基準のせいにするわけにはいきません)。
また、証券化商品の会計処理についても、以下のようにふれています。今後、証券化商品の評価の問題と証券化にかかわっている特別目的会社の連結問題について、(「議論に貢献していくことが望まれる」といったひとごとのような書き方ですが)検討するようです。
「8.証券化商品の価格評価・会計処理について
証券化商品の価格評価については、当戦略チームの検討においても、監査人からヒアリングを行なうなど実態把握に努めてきた。今後、わが国として引き続き価格評価の実情を把握するよう努めるとともに、適切な評価と会計処理のあり方についてFSF等の国際的な場において行なわれる議論に積極的に貢献していくことが望まれる。
また、コンデュイット等の連結の問題の関連では、わが国においては、特別目的会社の連結について、会計基準のコンバージェンスの観点から、わが国の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ、Accounting StandardsBoard of Japan)において、基準の見直しが検討されている。こうした取組みを着実に行なうとともに、コンデュイット等の連結に関する国際的な分析作業に参画することにより、実態把握や認識の共有化を行なうことが重要である。」
わが国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品の保有額等について(金融庁のサイトより)
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