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財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ (電通)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)

電通が、2016年12月期の内部統制報告書において、開示すべき重要な不備がある旨を記載するというプレスリリース。

ネット広告の不正の関係かと思いましたがそうではなく、海外会社の買収に関連する会計処理の誤りがあったようです。

「当社は、2016年12月期第3四半期に買収したMerkle Group Inc.に関連して発生した負債を金融負債(その他の金融負債)として、その取得日時点における公正価値で認識するとともに、同額の利益剰余金を減額しました。

2016年12月期の通期決算手続におきまして、当該公正価値を精査したところ、第3四半期に認識した公正価値の評価が過大であることが判明しました。そのため、取得日時点における金融負債(その他の金融負債)の過大計上分を減額修正するとともに、相当額の利益剰余金を増額修正すべきであると判断し、第3四半期要約四半期連結財務諸表を訂正いたしました。

本件は、買収に関連して発生した金融負債の公正価値を評価する際に適用した前提条件の検討が不十分であったこと、および当該見積結果に対する連結グループ内のモニタリング体制が不十分であったことに起因しており、買収に関連して発生する非定型の見積項目に関する内部統制が必ずしも十分に整備・運用できていなかったことによるものであります。」

訂正された会計処理については、プレスリリースを読んでもよくわかりません。買収先の会社の資産・負債の時価評価のところで間違えたのなら、のれんに影響するような気もするのですが...。それとも、海外会社の買収関連なので、為替に関係するヘッジ取引か何かなのでしょうか。

また、決算日までに是正できなかったのは、本決算の決算作業まで、誤りに気付かなかったためだそうです。(監査人は、第3四半期レビューの際に、この買収取引について重要取引として見ていたはずですが、見落としがあったのでしょうか。)

第3四半期の決算訂正は、今年2月に公表しています。

「平成28年12月期第3四半期決算短信[IFRS](連結)」の一部訂正について(2月14日)(PDFファイル)

訂正の影響は以下のとおり。損益への影響は軽微ですが、BSでは、純資産が5百億円以上も訂正されています。



ちなみに、2月に監査人交代を発表していますが、グループの監査人統一を理由としていました。タイミング的には、決算訂正とは関係なさそうです。

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