朝の光(聖書の言葉)

M牧師 俳句集「野の菫」から 2009年

M牧師 俳句集「野の菫」から 2009年

(わたしの敬愛する牧師の俳句を許可を得て掲載)



(一月)

朝日射す牧師館より事始め

新春の光溢るる牧師館

公園の柔らかな土春を待つ

荒れ野よりヨハネの叫び春隣り


(二月)

早春の太陽に向き深呼吸

蓬餅搗きて香りを楽しめり

草萌える園児らの声 野に満てり

光り増す朝の清掃草萌える

山積の課題と取り組む聖灰日


(三月)

便り出すポストへの道初音聞く

春うらら無人の長き駅ホーム

桜咲く朝の公園人の声

裏切りのユダの接吻春の宵

葬送の調べ仄かな春の宵


(四月)

復活祭祝う教会アヤメ咲く

卓上に持ち寄り料理復活祭

イースター鴉見つけし色卵

シベリアの抑留経し人春日浴ぶ

蕗を剥ぐ香り溢れる厨かな


(五月)

手をつなぐ下校の児童風薫る

グローバー捜す少女ら幸祈る

山峡の青田に雨の静なり

五月晴れ早朝の海島近し

新緑の森の教会新牧師



(六月)

明け易し白夜をしのび便り書く

明け易し一番電車軽やかに

明け易し朝の祈りにヘブライ教え

校門の泰山木の花薫る


(七月)


梅雨ただ中聖堂に満つるテゼの歌

梅雨重し聖堂の灯の揺らめかず

すっぽりと梅雨のただ中聖書読む

梅雨重し見舞いの電話声やさし


(八月)

父よりの遺品の帽子夏旅行

健診の結果良好秋立ちぬ

ベランダーの香り身に染む今朝の庭

日課終え深夜の風鈴心地よし

感謝もて朝の食卓に薔薇活けぬ


(九月)

聖書読む集い終われば虫の夜

眠られぬ夜を慰めちちろ鳴く

蟋蟀(こおろぎ)の音色とりどりどれもよし

朝採りの茄子を味合う敬老の日

亡き友に捧げる讃美歌秋の宵


(十月)

客室の布団干しけり秋日和

行李開け日に干す衣類冬支度

シベリアの体験聞き入る秋の午後

フィナーレは旅愁の合唱秋深し

銀杏を掃き寄せ仰ぐ高き枝


(十一月)

聖堂で幼児祝福七五三

時雨るるや最終電車駅目指す

時雨るるや生八橋に熱きお茶

黄葉に染め上げ銀杏に憩いあり

朝採りの小菊を備前の壷に活く


(十二月)

教会の夜の集会干菜汁

愛なくばすべては空し銀杏散る

寒き日に善哉振まう惣菜(そうざい)屋

ミニバラの寒気の中に一つ咲く

クリスマス挙式を待つ人礼拝に

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