朝の光(聖書の言葉)

M牧師 俳句集「野の菫」から 2010年

M牧師 俳句集「野の菫」から 2010年

(わたしの敬愛する牧師の俳句を許可を得て掲載)


菜の花のホームに満開無人駅


(一月)

卓上の水仙の香り年を越す

新年の献花に千両添えてあり

家族集い新年礼拝和やかに

新年の礼拝和服の似合う人

人住まぬ家屋の庭の福寿草



(二月)

芥子菜の苦き風味や春浅し

鳥去りて川辺のベンチに人の声

春霞川面の流れゆるやかに

教会の清掃の集い芹も分く

春一番吹く暇も無く時移る


(三月)

回覧を届けし先に沈丁花

傘持たぬ人に傘差す春の雪

春日浴び少年の歩み伸びやかに

赤青黄子どもらの傘春の雨

花冷えや小学校の卒業式


(四月)

畑中の道を辿(たど)りて桜狩り

対岸の桜満開海光る

新緑の勢いかりて旅立てり

菜の花のホームに満開無人駅

火の国の誇りの伝授菖蒲(しょうぶ)咲く


(五月)

食卓に鈴蘭を活け聖書読む

庭いっぱいに枝を張り柿若葉

蒼天(そうてん)の広がりこその麦熟るる

長堤の散歩コースに風薫る

乗り継いで礼拝に行く五月晴れ


(六月)

朝風の通り過ぎ行く夏座敷

燃え尽きて地球への帰還天の川

梅雨晴れ間住民税の振込みに

緑陰の東屋風のこころよし

風鈴売りゆうらりゆうらりと通り去る


(七月)

主は牧者青草の原に療養所

万緑の林の中から鳶の声

病棟に静寂のあり夏の午後

陽を受けて揺ぐ木立に夏は来ぬ

初蝉のしきりに鳴いて静まりぬ

微熱の身に水羊羹の甘さかな


(八月)

草原で少年犬を遊ばせて

海に開く藤棚の下の展望台

立秋や甲子園球児はつらつと

牙むきて唸りに寄せ来る土用波

刈草の撒かれし草原秋暑し


(九月)

病舎出て草原(くさはら)行けば飛蝗飛ぶ

草むらに鳴く蟋蟀のさびしさよ

潮引けど人影見えぬ秋の浜

秋の野に子どもらの声響き合う

秋日和沖に白帆の島影に


(十月)

嫁ぐ娘に絹縫う母の夜なべかな

心地よき眠りに入るや虫時雨

コスモスに招かるるごと散歩道

病棟の庭にも咲ける蔓珠沙華

療友の退院続く秋日和


(十一月)

病い癒す帰りし家にお茶の花

古里の訛りことばや冬隣り

放置田は公園となり秋桜

水源に老人憩う秋の暮

冬めきて庭の小鳥の声静か


(十二月)

我が家もツリー飾りてクリスマス

導きの星見つけたりクリスマス

クリスマス友に囲まれ転入式

クリスマスお久し振りと友の声

教会と住む家賜わり年暮るる


☆彡

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