ただいま金沢! 3年ぶりに戻って参りました、雑草系女医らくだです。
梅雨も明けた今日この頃、どうしても言いたいシリーズの1つ、「泌尿器科 名前どうにか ならんのか」問題を投下せざるを得ない。
当科は日頃のちょっとした健康相談から難病まで、救急から緩和まで、男性も女性も、子供も高齢者も、幅広く対応している科です。
扱う臓器も多く、腎・尿管・膀胱・前立腺・尿道・陰茎・精巣・副腎・後腹膜など多岐に渡ります。
診察、検査、手術、術後管理の一連の流れを自分たちでほとんど完結できる一方、内科・外科・その他さまざまな科とも連携して診療にあたっており、そのやりがいは計り知れないものがあります。一人で行える手技手術がたくさんありどこの病院でも頼りにされますし、他科の手術前に尿道バルーンが入らないときなど、颯爽と現れて華麗にバルーンを入れて去っていく泌尿器科医はまさにヒーロー(ヒロイン)です。
さらに、ロボット手術の先駆けであったり、移植医療が発達していたり、新しい抗癌剤が次々に発表されたりと、目まぐるしくアップデートされる内容に日々刺激され、全く飽きることのない科の代表格といっても良いと思います。
さて、研修医の先生に向けた集まりでお仕事をさせて頂く機会があるのですが、そこでは大体上記のようなことをお話ししています。研修医の先生達も概ね同じ思いのようです。最近は昔と違って皆さんよく下調べをして来られますから、科の特性なんかも大体理解した上で参加されます。泌尿器科という科の将来性を確信し、期待に目を輝かせています。
しかし。
泌尿器科を目指す研修医のほぼすべてが、ある問題をぶつけてきます。それは
名前どうにかならんのか問題
です。
そしてどうにもならんです。
数年前、ある研修医の先生に「泌尿器科って『泌』も『尿』も『器』も卑猥ですよね」と言われたときには思わずなるほど、と言ってしまいました。
かくいう自分も、親に進路を説明するときには何とも言えない気持ちだったのを覚えています。
医者でもない素人の両親にとって、泌尿器といえば頻尿・尿漏れ・性病のイメージしか湧き得ないからです。
本当はカッコいいのに。カッコいいからこそ、伝わらなくて、悔しい。
患者様に、「手術は外科の先生がしてくれるんですよね」と言われるたびに、認知度の低さを思い知らされます。
心臓外科とか、救命救急とか、最近は病理科や放射線科もドラマ化される時代、泌尿器科がドラマ化されることは無いのですよ。
もっと合コン映えするようなネーミングにならないかしら、と常日頃思っていたところ、勉強会で出会った他大学の先輩Dr.がこの問題に終止符を打ってくださいました。
それは…
我が科にはこのネーミングに耐えられる人材のみが集まっている
ということ。これが当科の最大最強の魅力であります。当科のキャラクターを決定づける要素といっても過言ではない。
面白いことに、これうちの大学だけじゃなくて日本全国みんなそうなんです。勉強会のバックヤードで大盛り上がりでした。
これ、泌尿器科に入った人にしか分からないだろうな。この科に入って正解だったな。うふふ。
これを読んでほくそ笑んでいる研修医の諸君、泌尿器科、何が良いって、人が良いんです。薄々気づいてたでしょ?
今年は専門医試験。プライドをもって『泌』『尿』『器』科医を名乗れるよう、精進します。