No pain, No gainです。

2013年11月25日 | Competitor Running
"Competitor Running"の記事です。

私見ですが、
(1)自転車ロードのように、他人に勝つ事が目標であれば、根性練習で限界を超えることは必須です。単独練で限界を超えるのは無理なので、チームに所属して自分より”少し”強い人と一緒に走るのは大切です。
というか、その為にチームはあります。

(2)マラソンのように、自己新記録を樹立するのが目標であれば、根性練習がどれだけいるのかはちょっと分かりません。eA式のように「余裕度を引き上げる」のが良いとする考え方もありますし。
この点は、私の永遠のテーマです。

いずれにせよ、頻度との兼ね合いでしょうね。


ということで、勝手に限界を設定したがる”バカの壁”を越えるべく読み直しています。

苦痛に対する耐性がランニング能力に及ぼす影響
by Matt Fitzgerald, Nov. 19, 2013


 苦痛に対する耐性がランニング能力に於いて果たす主要な役割について学ぶ

 まず、二人のランナー(BillとTed)を仮定しよう。彼らの身体的なランニング能力(最大酸素摂取量/乳酸閾値等)は全て同一とする。また、彼らの痛みに対する感受性も同一とする。彼らには、レースではなく、苦痛に対する耐性の試験で競争してもらう。具体的には、ヒーターの上に座り、温度を徐々に上げていく。先にヒーターから立ち上がった方が負け、というルールである。

 BillとTedはヒーターの上に座り、温度を上げ始めた。彼らの臀部は同時に損傷(≒火傷?)し始めるはずだ。ここで、BillはTedに比べ苦痛に対して鈍感なので、先に立ったのはTedだった。つまり、この競争に勝ったのはBillである。

 この結果を鑑みる限り、この二人が5,000m競争で抜きつ抜かれつの激戦となった時、勝つのはどちらだと思うか?。答は当然、Billである。というのも長距離走というのは、ある意味で上記の試験と同じようなものだからだ。勿論、身体能力こそが勝利を左右する主要因であるのは間違いない。しかし、苦痛に対する耐性、言い換えると忍耐力もまた勝利を左右する主要因の一つである。

 というのも、長距離走において、自らの有する身体能力を文字通り100%発揮できる人なんていないのだ。ある研究によると、レース/タイムトライアルでゴールしたアスリートには若干の余力が残っており、それは苦痛が原因であることが明らかにされている。つまり、身体能力の限界に到達する以前に、忍耐力の限界に到達するのだ。別の研究では、被験者に一定の強度でオールアウトになるまで運動させても、その直後であれば(それ迄よりずっと高強度×ごく短時間)の運動が可能である事がわかった。これは残っていた余力によるものである。

 つまり、ランニング能力(ひいては運動能力)は苦痛に対する耐性によって上限が定められているので、同じ身体能力を有する二人のランナーが競った時に勝つのは、苦痛に対する耐性が高い方に違いない。この仮説を間接的に証明しようとしたのが、1981年に水泳選手を対象に行われた実験である。30名のエリートクラスの水泳選手を被験者とし、上腕部を圧迫して血流を制限した状態で1秒毎に拳を握らせ、虚血性疼痛を人工的に発生させた。苦痛に対する耐性は、拳を握る回数で表した(苦痛を感じた時点で自主的に実験を終了させた)。

 その結果、エリートクラスの水泳選手とホビーレベルの選手は、最初に痛みを覚える迄の時間は同じであったが、痛みを覚えてからより長い時間拳を握る動作を繰り返したのはエリートクラスの選手達だった。同様の結果は、ホビーレベルの選手と一般の水泳愛好者の間でも見られた。

 結果を簡単にまとめると、エリートクラスの選手/ホビーレベルの選手/一般の水泳愛好者の間には、苦痛に対する耐性に差が見られた。しかし、エリートクラスの選手をエリートたらしめているのは、本当に苦痛に対する耐性なのだろうか?。逆に、エリートクラスの選手として鍛えられる過程で苦痛に対する耐性が向上したのではないだろうか?。そこで実験の主宰者は、エリートクラスの選手を対象に、シーズンを通じて苦痛に対する耐性がどう変化するか測定した。その結果、シーズンが進む=トレーニング強度が次第に上がるに連れ、苦痛に対する耐性は上昇した。なので、苦痛に対する耐性はある程度は訓練で上げるのが可能と判断された。

 以下は滅多に語られないことだが、競技志向のランナーのトレーニングに於けるもっとも重要な目的の一つは、苦痛に対する耐性を引き上げることである。それは、苦痛に馴れさせることでしか実現出来ない。より苦痛に耐えられるようになり、レースで好成績を収める為には、トレーニングで苦痛の限界を超える必要がある。大半のランナーがトレーニングを考える際に重視しているのは、身体能力に対する合理性だけである。それはそれで正しい。というのも、身体能力の向上を刺激する最良のトレーニングとは、ある意味で苦痛に対する耐性を身体に教えこむ最良のトレーニングともなるからである。ただ、トレーニング計画を策定する際には、自らを苦痛に晒すことで苦痛に対する耐性を向上させる重要性を意識することも大切である。

 皮肉かもしれないが、トレーニングで苦しんでいる最中には、自らをそのような苦痛に晒すことで将来はもう少し耐えられるようになる、ということを意識してもらいたい。


故障中の過ごし方

2013年11月25日 | Competitor Running
"Competitor Running"誌からの転載です。

吾輩が見る限り、坐骨神経痛以外に椎間板ヘルニアも疑いたくなりますけど。
それと、坐骨神経痛は神経の炎症じゃなく、
(a)梨状筋が坐骨神経を挟み込むこと
(b)椎間板ヘルニア等により、坐骨神経の付け根が圧迫されること
が原因の一つに考えられます。
(a)だと、梨状筋に対する鍼治療(=梨状筋の筋緊張緩和を主眼とします)も有効です。

とにかく、痛みを覚える間はトレーニングは中止するのが賢明ですね。
焦らない、焦らない。

Q&A:故障中のトレーニングについて
by Mario Fraioli, Nov. 22, 2013



 私は数週間前から、ハーフマラソンを目標としてランニングを始めたばかりです。2週間前、ランニング中に腰部に痛みを覚え、その痛みは左下肢に拡がりました。脚が上がらなくなったので、ほうほうの体で帰宅しました。これ迄にカイロプラクターを3回受診しました。少しは症状が改善したみたいです。カイロプラクターに何時トレーニングを再開出来るか質問すると、「身体と相談して決定したらいい」と回答されました。このような私に、トレーニングについてアドバイスをお願いします。


 私の答も、カイロプラクターのものと対して変わりありません。故障の有無に関わらず、身体が発する兆候に注意するのはランナーとして出来る最良の事です。あなたが出来る唯一の事は、痛みの程度を把握する事です。痛みを感じる間は、トレーニングは中止すべきです。痛みが下肢に拡がってランニング出来ないのであれば、出来る範囲内で他の有酸素運動に取り組むのをお薦めします。

 文面から判断する限り、坐骨神経痛を発症したと思われます。坐骨神経痛とは、腰部から爪先に向かって走向する坐骨神経の炎症です。臀部に痛みを覚え、治療しなければ長期に渡りランニングが出来ない状態が継続します。カイロプラクターの治療を受けたのは賢明な判断です。そしてその結果として症状が快方に向かっているのであれば、レース迄その治療を継続するのが適切です。デスクワークが主であれば、1時間に1回(数分間)は立ち上がって歩き、腰部の筋肉をほぐしましょう。また、フォームローラー等で腰部~脚部の筋肉を揺らしてほぐすのも有効です。可能であれば、ディープティシュー・マッサージやアクティブリリース法といった、柔組織に働きかける治療を受けるのもいいでしょう。

 トレーニングに関して言えば、痛みを覚えるか否かをトレーニング再開の基準としましょう。ランニング時に痛みを覚えるのであれば、直ちに中止すべきです。ただ、水泳/水中ウォーキング/自転車等が出来るのであれば、それらを積極的に実践しましょう。これらの種目を行う際には、出来る限りランニングの際と同じ時間/強度で行います。トレーニング強度を管理する目的で、心拍計を利用するのも一つの手です。但し、ランニング時に比べ数拍/分は低くなる点に留意します。故障中に行う他種目のクロストレーニングに関する例とアドバイスについては、別稿(訳者注:別途日本語化して掲載します)を参照して下さい。

 最後に、決して焦らないように。これ迄の練習は無駄にはなりません。トレーニング、治療、そして自分自身を信じることです。
 

本日はラントレーニング休養日/ランナーが摂って損のないサプリメント7つ

2013年11月25日 | Competitor Running
雨でしたし。
月曜日は予定通り休養日と考えていましたし。

久しぶりにのんびりした朝でした。

明日は店休日です。午前中ロング走もどき(=大阪城公園×4周)→午後血液検査(という名の献血)→夕方銭湯三昧、の予定です。

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"Competitor Running"誌からの転載です。

サプリメントの摂取については、まずは普段の食事内容を適正化することが前提です。
その上で、不足分を補うという考えで取捨選択しましょう。

ランナーが摂って損のないサプリメント7つ
by Matt Fitzgerald, Oct. 28, 2013


ランナーが健康/競技能力の基礎を構築する為に必要な事の一つは、天然食品(主に野菜と果物)をバランス良く摂る食生活を実践することである。しかし、以下に紹介する7つの栄養補助食品は、そのような食生活を更に完璧なものとするために摂取を考慮する価値がある。

(1)クレアチン
 一般にクレアチンは、筋力を必要とするアスリートが摂る栄養補助食品と考えられている。クレアチンを摂取することにより、筋肉中のクレアチンリン酸(最大筋力の発揮に必要なエネルギー源)貯蔵量が増大し、筋力トレーニングと組み合わせることで筋力が増大すると無数の研究結果で報告されている。

 しかし、ランナーにとってもクレアチンは摂取する価値がある。その理由は
・ランナーであっても筋力トレーニングはある程度必要だから
・インターバルトレーニングで要求される能力が向上するから
の2つである。いずれにせよ、クレアチンを摂らないよりかは摂った方が良いだろう。

 クレアチンの摂取→不要な筋肉量の増加を恐れるランナーもいるが、ちゃんと長距離を走っていれば恐れる必要は無い。

(2)魚油
 ω-3必須脂肪酸は不足しがちな栄養成分の一つである。ω-3脂肪酸をそこそこ含有している天然食品はごく僅か(一部の魚/亜麻仁の種/クルミなど)である。その結果、健康に留意した食生活を営んでいる人においても、ω-3必須脂肪酸をきちんと摂れていない場合がある。細胞膜を健全に保つ/神経系や免疫系の機能を維持する為にも、ω-3必須脂肪酸を適量摂取することは必要である。

 仮にω-3必須脂肪酸を含む食品がきちんと摂取出来ているならば、魚油サプリメントをわざわざ摂取する必要は無い。でもそうでなければ、サプリメントで摂取すべきである。ω-3脂肪酸については、過剰摂取の害は無いと考えられる(訳者注:日本でも摂取上限量は設定されていません)。菜食主義者の場合は、亜麻仁油が選択肢となる。ただ、魚油サプリメントは、亜麻仁油に含まれていない2つの特殊な脂肪酸=EPA/DHAを含有している点で、最高のω-3必須脂肪酸源と考えられている。

(3)鉄
 鉄の推奨摂取量は
・男性 :10mg/日
・閉経期以前の女性 :15mg/日
である。生理時の出血に伴い鉄が体外に流出するので、女性で摂取量が多く設定されている。しかし、食事の摂取量が少ない関係で、一般的に女性は鉄が摂取不足気味である。鉄は赤血球の形成に必須の栄養成分なので、鉄欠乏は貧血(特徴は恒常的な疲労)につながる。

 持久力系競技(特にランニング)のアスリートでは、一般人に比べ貧血の発症率が高いことが明らかとなっている。この理由としては、発汗等競技に付随して発生する現象を通じて鉄が体外に流出する事が挙げられている。大半の場合、鉄分を多く含む食品(マグロ、鶏肉、牛肉等)を適量摂取することで、鉄欠乏状態は修正可能である。しかしながら、一部の例では、鉄サプリメントの摂取が医学的に見て必要とされる場合もある。鉄は医師の指導の下で摂取すべき唯一のサプリメントである。その理由は、体内の鉄含有量が多い状態は有害だからである。年に一度は体内の鉄含有量を測定し、必要ならば医師の指導の下で鉄サプリメントを摂取する。

(4)マルチビタミン・ミネラル

 マルチビタミン・ミネラル剤は、必須栄養素の摂取を「保証する」目的でその摂取が推奨されている。その摂取は勿論合法ではあるが、仮に普段の食事内容に問題が無ければ摂取する必要は無く、逆にマルチビタミン・ミネラル剤の摂取によって過剰摂取の問題が生じるという疑念が湧く。この点については、過剰摂取によって問題が生じるのを防止する為に、全ての栄養素について200% RDA(=一日当たりの推奨摂取量の2倍)以上含まれているマルチビタミン・ミネラル剤は摂取しないのが賢明である。

 また、出来れば「天然食品由来」のマルチビタミン・ミネラル剤を選択しよう。それらは、天然食品からの抽出物を原料としている。そうでないマルチビタミン・ミネラル剤は、人体の免疫系によって異物と認識され得る。

 原料表示に記載されている酵素についても確認したい。酵素はビタミン/ミネラル類の吸収を促進する。最後に、マルチビタミン・ミネラル剤を摂取する時は、食事と一緒にしよう。これも消化/吸収を促進する為である。

(5)粉末青汁(訳者注:本当は「葉物野菜を粉末にしたもの」です)
 粉末青汁は、野菜の栄養素を手軽に摂取する手段となる。勿論、それらは天然の野菜の代替とは成り得ないが、ほうれん草/フダンソウといった野菜類に含まれている栄養成分の大半を含有している。粉末青汁をスムージー/スープ等に添加し、更に多くの栄養素を摂ろう。

(6)ビタミンD
 ビタミンD欠乏症は近年、憂慮すべきレベルで蔓延している。ビタミンD欠乏により、特定の癌の発生率の増大や運動能力の低下などが懸念されている。

 ビタミンDの主たる供給源は、日光浴である。ビタミンD欠乏症が蔓延している理由の一つは、人々が以前ほど日光を浴びなくなったこと、さらに屋外で活動する際にUVケアを施すようになったことである。それにより、体内でのビタミンD合成が阻害されている。現在、多くの専門家達が、15~20分間/日×数日間/週は皮膚を直射光に晒すことを推奨している。
 
 体内のビタミンD含有量を定期的に測定するのはいい考えである。それが低い場合、ビタミンDのサプリメント(ビタミンD3がベスト)を冬の間だけでも摂取する必要がある。

(7)ホエイプロテイン
 ホエイプロテインはカロリー的に見て優れた、高品質のタンパク質/タンパク質分画成分/アミノ酸の万能供給源である。誰にでも必要というのではないが、多くのランナーが必要なタンパク質を摂取する手段として食生活に取り入れている。粉末青汁同様、ホエイプロテインはスムージー/オートミールに添加して摂取出来る。最適な摂取タイミングは、筋肉を補修するのにタンパク質を必要とするランニング直後である。


 

カフェインの功罪

2013年11月24日 | Competitor Running
…という、"Competitor Running"誌の記事です。

カフェインのみならず、「やる気を引き出す!」というサプリメント(HALEOのUP!とか)も市販されていますが、これらも同じような使い方=決戦用と考えた方が良いんでしょうね。

カフェインの効果と副作用
By Steve Magness, Nov. 20, 2013


 カフェインは身体能力を向上させ得る。しかし、大半の人が気付いていない欠点もある

 確実に/常に身体能力を向上させるサプリメントは滅多に無い。だから、カフェインが常に効き、処方量を守れば安全で、入手し易く、そして最も大切なことだが合法であるということが明らかになった時、高強度のトレーニング/レースの前に摂取して好成績を収めようとするのは考えるまでもないこととなった。しかし、身体能力の向上は常に「良いこと」なのだろうか?。それとも、何かと引き換えた結果なのだろうか?。

 カフェイン自体は一般的に、2つのメカニズムで身体能力を向上させると考えられている。つまり、
(1)中枢神経系を刺激する
(2)筋肉の収縮自体を促進する
である。もう少し詳しく説明すると、(1)によって痛みの受容器に影響が及び、痛みの閾値が上昇することで身体能力が向上する。分かりやすく言えば、身体を支配している緊張が緩み、限界を超えることが可能となる。

 カフェインによって脳内のバランスが少し変わり、これまでは無理と思っていたことがそうではないと思えるようになる。また、(2)については、カフェインは筋収縮時に見られるカルシウムの放出に影響を及ぼし、結果として筋力を上げる。これらが、カフェインを摂取した時に身体能力が向上するメカニズムである。では、副作用は何だろうか?。

 実は、短期的な使用では特に問題は無い。だから、レースの時のみ使用するのであれば、副作用を気にする必要は無い。副作用は、常用した時に発生する。いわば「過ぎたるは及ばざるが如し」なのである。常用すると、身体能力を向上させるのと同じメカニズムで身体が壊れる。高強度のトレーニング/レースは中枢神経系にも負担となる。なので、理屈から考えると、カフェインを摂取することで中枢神経系が常に刺激されると、トレーニングの負荷が負担に感じられなくなる。カフェインを常用することでこの反応が常習化すると、トレーニングの負荷に耐える為に中枢神経系はカフェインに依存するようになる。

 カフェインを常用することでもたらされる幸福感によって、いわば身体の安全装置が無視/破壊され、易々と限界を超えるようになる。疲労感とは、身体に何らかの問題が発生している兆候であるが、仮にその徴候を常に無視していると、待っているのは疲労の慢性化である。

 疲労感の認知がどのような影響を受けるかについては、「カフェインの常用に関する研究」という論文で報告されている。その研究によると、カフェイン自体はエネルギー供給源では無いので、朝食時にコーヒーを常飲する(=カフェインを常用する)人は単に意識が覚醒しただけである。なので、睡眠時間が少なければ、次第に疲労が蓄積するのは当然の帰結である。

 カフェインを常用することによる副作用は斯くの如し、である。

 また、カフェインを常用してトレーニングを継続していると、免疫系にも悪影響が及ぶ。最近の研究では、カフェインは抗原によって刺激されたNK細胞(先天性免疫を調節する細胞)の活性化を促進する。先天性免疫は基本的に遺伝によって決定され、あらゆる要因に対し反応する機構である。NK細胞が活性化するのは、一般的には良い事な筈である。一体、何が問題なのだろうか?。

 同じ研究によると、カフェインを常用しつつトレーニングを継続すると、免疫系を構成するもう一つの主要因=T細胞が減少する。T細胞は適応免疫系の一部を構成する。なので、(カフェインの常用+トレーニングの継続→T細胞の減少→適応免疫系の機能低下)が恒常化すると、免疫系の弱体化に伴う諸症状(病気の発症/感染症への罹患など)が発生するようになる。

 これまで見てきたように、カフェインは効能を発揮する一方で、余り知られていない副作用も有する。副作用を発生させずに身体能力を向上させたいのであれば、カフェインは必要な時のみ摂取するべきである。毎トレーニング時に摂取してはならない。というのも、カフェインを常用すれば、副作用によって疲労が蓄積する結果、身体能力の向上がどこかで頭打ちになるからである。極言すれば、レース時のみ摂取するのが望ましい。
 

人工甘味料は砂糖類より優れているのか?

2013年11月22日 | Competitor Running
"Competitor Running"誌からの転載です。

飲料だけをゼロカロリーにしたからって、痩せる訳無いですね。
食事全体を見直す一環として考えるべきです。

それに、人工甘味料は長期的な安全性が立証されているかどうか疑問ですし。

人工甘味料は砂糖類より優れているのか?
By Matt Fitzgerald, Nov. 21, 2013


 まだ結論は出ていない

 砂糖類は、本質的には悪者ではない。しかし砂糖類は摂取しやすいので、大半のアメリカ人は砂糖類を摂り過ぎている。ある調査によると、平均的なアメリカ人の摂取カロリーの17%は砂糖類由来である。砂糖類を摂り過ぎる弊害は、満腹感を覚え難いので、結果としてカロリーを過剰に摂取してしまうことである。場合によると、一食で砂糖類から数百kcalを摂取するのも容易である(しかも満腹感を覚えずに!)。この点から、砂糖類は他の食品に比べ脂肪の蓄積を促進すると考えられている。

 アメリカ人摂取する砂糖類の約半分は飲料(スポーツドリンク/炭酸飲料/コーヒー飲料等)由来である。そこで、飲料から摂取するカロリーを減らす目的で、カロリーゼロを標榜する人工甘味料(アスパルテームなど)が開発された。しかし、それらは本当に「有効」なのだろうか?。この問いに対する答えは、「有効」をどう定義するかで異なる。「有効」を「飲料から摂取するカロリーを減らす」ことだけに限定すれば、カロリーゼロを標榜する人工甘味料は「有効」である。ペプシ350ml缶は150kcalに相当し(注:日本国内で発売されているペプシは168kcal)、それらは全て砂糖類(注:日本国内で発売されているペプシの原材料表示では果糖ぶどう糖液糖、砂糖となっている)由来である。一方、ダイエットペプシ350ml缶(甘味料はアスパルテーム)(注:日本国内で発売されているペプシネックスではアスパルテーム/アセスルファムカリウム/スクラロースが使用されている)は0kcalである。しかし、「有効」を「食事全体から摂取するカロリーを減らす」=「過剰な体脂肪を減らす」+「健康的な体重を維持する」ことを対象とすれば、余り「有効」とは言えなくなる。

 2011年に発表された科学的レビューでは、人工甘味料の効果を調査した過去の研究結果(研究数:53,被験者総数:1,126名)をまとめ、「有効」を後者の意味で解釈した上で「有効かどうか」を検討した。その内の2つの研究では、食事の際に摂取する飲料を砂糖類/人工甘味料で被験者を分け、それぞれにおける一日当たりの総カロリー摂取量を比較した。その結果では、人工甘味料を用いた飲料を摂取した被験者では、総カロリー摂取量が250~500kcal少なかった。また他の研究では、飲料の甘味料がショ糖or人工甘味料で被験者のBMIがどう変化するかを数週間に渡り調査した。その結果では、人工甘味料を用いた飲料を摂取した被験者群ではBMIが僅かに減少した一方、ショ糖を用いた飲料を摂取した被験者群ではBMIが僅かに増加した。

 勿論、これらだけでは何らかの結論は導き出せないが、それでも人工甘味料を用いた飲料を摂取することで総摂取カロリー量が減らせ、体重がより健康的なものになるという考えは正しいように思われる。しかしながら、上記の結果はあくまでも臨床試験のものであり、実際の生活状況とは大きな違いがある。食事と体重の関係について調査した大規模な疫学的研究によると、甘味料の種類に関係無く、清涼飲料を定期的に摂取する人は、清涼飲料を摂取しない人に比べて太っている。

 この理由については、2つある。つまり、
(1)清涼飲料を摂取する人は、食事内容が全体的に良くない
(2)人工甘味料は脳を”騙す”=食欲を増進させるので、結果的に体重増を促進する
である。
 (1)が正しいとすれば、肥満の原因はカロリーゼロを標榜する清涼飲料自体では無く、清涼飲料とセットで摂取する食事である、となる。言い換えると、清涼飲料を摂取する人はそうでない人に比べポテトチップスを好んで摂取しているのだ。

 となれば、どう対応すればいいのだろうか?。体重をコントロールするために出来る最適な事は、清涼飲料そのものを摂取しないようにする事である。しかし、現時点で既に砂糖類を原料に用いた清涼飲料を定期的に摂取している人が、人工甘味料を用いた清涼飲料に切り替えるのはどうなのだろうか?。ここで言えるのは、そのような行動は害が無く、少しは「有効」かも知れない。しかし、過度に期待することは禁物である。やはり甘い清涼飲料を徹底的に排除すると共に、食事内容全体を改善することが必要である。


ランナーのアキレス腱痛対策

2013年11月22日 | Competitor Running
"Competitor Running"誌の記事です。

余談ですが、裸足ランニング≒前足着地なので、取り組む際には十分注意する必要があります。吾輩はいきなり裸足ランニングに取り組んでえらい目に遭いました。

Q&A:アキレス腱痛を克服するには?
By Matt Fitzgerald, Nov. 20, 2013


質問:
 私はここ数ヶ月、右アキレス腱痛を患っています。休むと改善しますが、ランニングを再開するとすぐに痛みが再発します。これは治るのでしょうか?。

解答:
 ランニングでのオーバーユースに伴う故障の中で、アキレス腱痛は最も治り難いものの一つである。そして残念なことに、アキレス腱痛はランニングを止める理由の一つになり易い故障である。しかし慌てる必要は無い。アキレス腱の故障に対する有効な治療方法は複数ある。

 アキレス腱痛が慢性化し易い理由の一つは、アキレス腱の組織が独特で、回復過程においてより硬く/伸展性を失うようになり、その結果、治癒後にはランニングによって受けるダメージにより敏感になることが挙げられる。また、アキレス腱は加齢に伴って硬化する。なので、アキレス腱痛は高齢のランナーで特に普遍的になる。

 アキレス腱痛のランナーで共通して見られる特徴は「前足着地」の走法である。この走法では、アキレス腱に過大な/偏ったストレスが掛かる。ランニング時のスピードが増大するに連れ、アキレス腱に掛かる負荷が増大するので、スピードの速いランナー(≒大抵は前足着地である)にはアキレス腱痛が発生し易い。ただ、このスピードの速い/遅いはあくまでも相対的なものであり、スピードの遅いランナーでもスピード練習をすれば、アキレス腱痛が発症し易くなる。

 他にも様々な走法の異常/筋肉の不均衡等がアキレス腱痛の原因になり得ると考えられている。例えば、股関節の柔軟性が低いと、着地脚が地面を離れるタイミングが早まり、股関節の伸展が不十分なことと相まって、アキレス腱に過渡の負荷がかかることになる。

 損傷した組織を回復させるには休養が必要であるが、ただ休ませるというのは最も機能的な回復方法ではないし、アキレス腱痛の根本的な原因を治すことにならない。なので、アキレス腱痛の治療過程ではランニングを中止する必要があるが、ただ休んでいては駄目である。下腿三頭筋(ふくらはぎ~アキレス腱)を3回/日はストレッチングで伸ばして、修復過程に於ける組織の伸展性の減退を最小限に留めると共に、隔日にヒール・ディップ等の筋力トレーニングを行い、下腿の筋肉の不均衡を修正する必要がある。

 治療に際しては、ランナーを治療した経験がある理学療法士の指導を受けることを強く勧める。目的は、アキレス腱痛の原因である筋肉の不均衡/ランニングフォームの異常を同定/修正する為である。一般には前足着地はフォーム上の欠点とは考えられていないが、アキレス腱痛の再発を予防する為には前足着地を修正する必要がある。これは、世界記録保持者だったハイレ・ゲブレシラシエにも当て嵌まる。

 ロルフィング/アクティブリリース/グラストンテクニック等のボディワーク治療法が有効という場合もある。これらを行っても故障が悪化することはないので、試してみるのもいいかもしれない(筆者は余り勧めないが)。

 アキレス腱組織の回復スピードが遅い理由の一つは、血流が乏しいことである。最近では、多血小板血漿療法という新しい治療法がアキレス腱組織の治療目的で開発されている。この多血小板血漿療法は大々的に宣伝されているが、その有効性を支持する科学的証拠は未だ乏しい。上記のボディワーク治療法同様、初期の治療が上手くいかないのであれば試してみる価値はあるかもしれない。

 アキレス腱痛が重篤な場合は、MRIで断裂しているか否かを調べる必要がある。断裂が酷い場合、手術が必要となる。アキレス腱痛の治療法としての手術には否定的な意見もあるが、治療後の成績は極めて良い。事実、ゲブレシラシエも2度のアキレス腱手術の後に世界記録を出している。

 アキレス腱痛が治まってランニングが再開出来るようになっても、暫くの間はスピード練習は控えるべきである。スピード練習を再開する場合は、十分注意するように。


 

 

規則正しい生活を送る

2013年11月22日 | Competitor Running
"Competitor Running"誌の記事です。

「成功に王道無し」、当たり前のことを当たり前に実行することが大切、という話です。

ランニングのみならず、人生全般に当て嵌まることですね。
耳に痛いですが…。

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規則正しい生活のすすめ:身体能力を向上させる為に
by Jeff Gaudette, Nov. 20, 2013


 規則正しい生活習慣を確立/継続することは、トレーニングの継続性を維持し、その結果として身体能力を向上させる最も簡単な手段の一つである。


 私の大学時代のコーチは、クロスカントリーのシーズンが始まる頃になると、情熱的なスピーチをし、来るシーズンの基礎を構築するのを手助けしてくれた。そのスピーチの中で彼は、毎日小さなことを積み重ねるのが成功の秘訣だと主張した。彼が言ったことで今でも私の頭に残っているのは、「規則正しい生活を送る」ということである。これは、生活スケジュールをきちんと策定し、それをまるで宗教的儀式の如く出来る限り正確に実践することを意味する。私が大学からプロに至る現在迄、ランナーとして成功した大きな理由はこの教えに従ったから、と考えている。

 規則正しい生活習慣を確立/継続することは、トレーニングを継続して実践する為の最も簡単な方法であり、その結果として身体能力が向上する。「規則正しい生活を送る」ことで、ラントレーニングがきちんと実践出来、トレーニングに対し身体が適応し、回復が進み、そして食事/睡眠を始めとした生活習慣が改善される。

 以下に、”実践可能な”規則正しい生活を送る秘訣&メリットを紹介する。

(1)継続性を維持する為に、生活習慣を改善する

 短期/長期いずれの観点においても、ランニング能力を向上させる上で最も重要な要因は「継続性」である。トレーニング計画をきちんと実践し続けられれば、次のレースで成功を収める可能性が増す(はずである)。トレーニング計画をきちんと実践し続けるには、規則正しい生活を送る事が不可欠である。

 規則正しい生活を送ることで、身体が高強度のランニングに慣れるのみならず、考え方/スケジュール/一週間が変わる。規則正しい生活を送ることで、身体が本能的に調い、時間間隔が適正化される。また、家族/友人/同僚達は、あなたがいつ高強度のトレーニングをしているかを理解するようになる。最初は苦労するだろうが、その内にあなた自身/家族/同僚達があなたのスケジュールに合わせてくれるようになるだろう。

(2)適応≒最適化である
 高強度のラントレーニングを行うのは午後が理想的であることは既に立証されているが、ある研究によると、毎日決まった時間にトレーニングを行うと身体が次第に適応する。

 つまり、毎朝決まった時間にトレーニングを行うようにすれば、たとえ早朝であったとしても、身体が適応し、ベストパフォーマンスが発揮出来る様になる。逆に、トレーニング時間が毎日バラバラであれば、調子の上がらないトレーニングの頻度が高まってしまう。

(3)睡眠パターンが適正化される

 毎日決まった時間にラントレーニングを行う利点の一つに、睡眠パターンが改善されるというのがある。仮に夕方にトレーニングをするランナーでも、そのパターンを定期的に継続すれば、身体はコルチゾール(高強度のトレーニング中に放出される脳内物質)の濃度増大に適応し、夜もちゃんと眠気に襲われる。逆にトレーニング時間がバラバラであれば、コルチゾール濃度が高い状態で就寝するのに適応出来ず、眠れなくて寝返りをうつ破目に陥るだろう。同様に、定期的に朝にラントレーニングをすれば、早起きも苦にはならなくなる。

(4)回復が促進される

 トレーニングスケジュールが一貫すれば、高強度のトレーニング間にもきちんと身体が回復するようになる。トレーニングスケジュールがバラバラであれば、時にはトレーニングの間隔が12時間以内となってしまう場合も生じる。人体は一晩では回復し難いので、仮に日曜日の夜にラントレーニング→月曜日の早朝にラントレーニングというスケジュールになると、充分に回復しないままに月曜日のラントレーニングを迎えることになる。これが時々(もしくはスケジュール化されたもの)であれば大した問題にはならないが、度々発生するようだとトレーニング自体の一貫性が損なわれ、疲れが取れない脚で走ることで故障が発生する確率が高まる。

(5)食習慣がより適正=健康的になる

 最後に、規則正しい生活を送ることで食習慣が改善され、トレーニング中にトイレ休憩を余儀なくされる/胃痙攣が発生する等が発生する危険性が低下する。毎日決まった時間に走るようにすれば、いつ空腹になるかが正確に予測でき、より適切な食品が選択出来るようになる。逆に走る時間が毎日バラバラであれば、消化→吸収パターンが変動し、いつ空腹になるかは予測出来ない。こうなると準備が出来ないので、空腹を覚えた時につい準備しやすいドーナツに手を伸ばしたり、便利なドライブスルーに頼ることになる。

 また、毎日決まった時間に走るようにすれば、それに合わせて食事スケジュールを確定出来、必要なエネルギー源が適切に摂取出来るようになる。更に、2~3週間もすれば、トイレに行く時間も一定となるので、ランニング中にトイレに駆け込むことも無くなるだろう。

 「規則正しい生活を送る」というのは簡単なことではない。努力と忍耐が必要である。しかし「身体能力を向上させたい」とか「ランニングを始めたばかりだけど、きちんと続けたい」と願う人は、まずは規則正しい生活を送ることから始めるのが最適である。


身体能力を高める為の、インドアトレーニング5種目

2013年11月21日 | Competitor Running
"Competitor Runnning"誌の記事です。

フィットネスクラブ等に通える環境にある方、お試しあれ。

身体能力を高める為の、5つのインドアトレーニング
by Linzay Logan, Nov. 13, 2013


 屋外でトレーニングが出来ない時期は、これらを試してみよう。

 真冬=屋外でランニングしたくない、というのは本心である。玄関を出た瞬間に雪だるまになったかのような思いがしたら、歩道を走ろうという気はしなくなるだろう。そのような季節、屋内でのトレーニングを選択するのは賢明である。いつもとは異なるトレーニングに取り組むことは、気分転換にもなる。

 以下に5種類の屋内トレーニング種目を挙げた。これらを実践すれば、万全の体調で春を迎えられることだろう!。

(1)トレッドミルでのスピード練習
 大半のランナーにとってトレッドミルで走るというのは、まるで黒板を爪で引っ掻く音を聞くのと同じ位不愉快だろう。あの決して止まる事の無いトレッドミルのベルトに乗った途端に降りたくなる。しかし、トレッドミルでスピード練習をするのは別である。トレッドミルを用いると、心拍数を上げるのは朝飯前くらい簡単なことである。そして、ストップボタンを押したら、いつでも休憩となる。

(2)ボート漕ぎ運動(ロウイング)

 ロウイングはランニングと同じ効果を有する一方で、ランニング程関節に負担がかからない。なので、ロウイングは特にリハビリ中のランナーにとって素晴らしいトレーニング種目である。また、ランニングと同じ位心拍数を上げられるし、ランニングでは使われない筋肉が動員される点で優れている。

 Crossfit Enduranceの創設者であるBrian MacKenzieは「ロウイングはランナーにとって素晴らしいトレーニング種目である。ランナー/サイクリストにとっては、普段使わない筋肉を鍛えることが出来る」と語る。

(3)スピニング・レッスン
 オフシーズンの目的の一つが、体重を落とすことで身体能力のレベルを高めることであれば、インドアでのスピニング・レッスンは適している。60分間のレッスンで約800kcalを燃焼できる。グループレッスンだったらやる気も湧いてくるだろうし、思っている以上に追い込むことも出来る。

 シカゴでGo Cycleスタジオを主宰するEmmy Blumeは「(インドア・サイクリングは)関節に負担をかけずに筋力/持久力を強化できる点で優れたトレーニングである。サイクリングでは脚の切り返し能力を向上させられるので、ランニングでのスピードを上げる役に立つ」と語る。

(4)インターバル・ウェイトトレーニング

 より強く/効率の良い/故障知らずのランナーになるには、ウェイトトレーニングは大切となる。しかしながら、そのやり方は一つではない。高強度のウェイトトレーニングと高強度の循環器系インターバルトレーニングを交互に繰り返して行うことで、ランニングと同じ位心拍数を高く保ちつつ、筋力の強化/脂肪の燃焼が図られる。

 以下の種目を組み合わせてやってみよう。

※ウェイトトレーニング種目
・スクワット
 負荷 :4.5kg
 反復回数 :12回/セット×3~4セット
 鍛えられる部位 :大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋群

・ランジ
 負荷 :4.5kg以上
 反復回数 :12回/セット×3~4セット
 鍛えられる部位 :大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋群、下腿三頭筋

・上腕二頭筋のカール
 負荷 :片手に2.25kg以上
 反復回数 :12回/セット×2~3セット
 鍛えられる部位 :上腕二頭筋

・オーバーヘッド・プレス
 負荷 :片手に2.25kg以上
 反復回数 :12回/セット×2~3セット
 鍛えられる部位 :肩、三角筋、上背部、上腕三頭筋

・腕立て伏せ
 負荷 :(自体重のみ)
 反復回数 :12回/セット×2~3セット
 鍛えられる部位 :胸部、肩部、上腕三頭筋、体幹

※循環器系トレーニング
・ジャンピング・ジャック(Jumping Jacks)
・縄跳び
・バーピー(Burpees)
・マウンテン・クライマー(Mountain Climbers)
・ハイ・ニー(High knees)
・ストレートレッグ・キック(Straight-leg kicks)
・バット・キッカー(Butt Kickers)
(詳しくは各々英語で検索して下さい。Youtube等で動画が見られます)

(5)水泳
 ロウイングと同じく、水泳は関節に負担をかけずに血流を促進し、肺呼吸を促進する運動である。往々にしてランナーは上半身の強化を無視しがちだが、水泳は肩部/背部/体幹部を強化し、それによってランニングにも好影響が及ぼされる。

 サンディエゴを拠点とする水泳コーチBrian Jenkinsは「水泳は、ランニングとは異なる筋肉群を動かすという点で優れた持久力系競技である。特にリハビリ中のランナーにとっては極めて有益である。水泳はランニングと同じ位きついスポーツだが、一方で身体にあまり衝撃がかからないのが特徴である。なので、若かりし頃と同じように走られない高齢者にもお奨め出来る」と語る。



ランニングの基本中の基本ルール3つ

2013年11月21日 | Competitor Running
"Competitor Running"誌の記事です。

ホント、基本中の基本なんですが、意外と忘れがちです。

全てのランナーが座右の銘とすべき3つのルール
by Linzay Logan


 「ただひたすらに走る」は外しています。

 多くのランナーが、ただひたすら走っている。中にはより速く/効率良く走られるようになる人もいるが、痛みに耐えつつ走り、故障からの解放を願う人もいる。より速く/効率良く走られるようになり、故障知らずのランナーとなりたいのであれば、ただひたすらに走るだけでは駄目である。

 勿論、マラソン(フル/ハーフ共)に向けたトレーニングの根幹を成すのはランニングである。しかし、「走行距離を延ばすために走る」というのは論外である。

 今回、本稿では、サンディエゴ在住のランニングコーチであるJennifer Gillに、ランナーが座右の銘とすべき3つのルールを教示してもらった。筆者が予想した通り、「ただひたすらに走る」というのは外れている。

ルール(1):コツコツ継続する

 トレーニングは毎日コツコツと継続するのが大切。しょっちゅうサボったり、逆にサボった分を取り戻すべく纏めてドカンとするのは良くない。短時間のトレーニングを高頻度で行うのは、長時間のトレーニングを1~2回/週行うよりか格段に有効である。長時間のトレーニングを1~2回/週行うと、身体が回復するのにより長い時間を必要とし、その間に身体能力が低下してしまう恐れがある。

ルール(2):休む時は休む
 トレーニングにおいて最も重要かつ見過ごされ易いのは、休むことである。休まなければ身体は壊れてしまう。

ルール(3):身体の声に耳を傾ける
 多くのランナーは、ランニングに苦痛は付き物だと考えている。しかし、本来はそうではない。痛みとは、身体の何処かがおかしいという兆候である。ちょっとした痛みも放っておけばやがて大きな痛みとなり、ひいては慢性痛となってしまう。最初に痛みを覚えた時点で1~2日間休んで身体を回復させてやれば、将来においてその痛みが酷くなってより長期間の休養を余儀無くされる、ということは発生しない。1~2日間休んで症状が改善しないのであれば、医師の診断を受けよう。怪我が発生している間は、決して走ってはならない。走ることで症状が改善することは決して無い。





ランニングの真髄

2013年11月20日 | Competitor Running
…という、"Competitor Running"誌の記事です。

いずれも、大切だと思います。忘れがちですが。

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ランニングの真実を14語で表現する
by Matt Fitzgerald, Nov. 11, 2013


 本当に簡潔に表現してみた。


 以前、Bill Rodgersが1980年に出版した” Marathoning “を読んだことがある。1980年というのは、Rodgersが最後にボストン・マラソンで優勝(通算4勝)した年であり、”Marathoning”は自伝と他のランナーに対するアドバイスを綴った本である。これを読むと、Rodgersはマラソンという競技に対し直感的≒非知的に取り組んだことがわかる。彼は、マラソンとは非常に単純なスポーツであり、単純な方法で取り組むのが最適だと考えている。彼は最初のページに「時に人は、ランニングを複雑に考え過ぎている」と記している。
 
 彼の考え方に従うと、ランニングと食事は似ている。食事=栄養についても、時に人は複雑に考え過ぎる傾向が見られる。この問題について、栄養ジャーナリストのMichael Pollanは有名な「7語の食事哲学」=「食品を摂る。食べ過ぎない。野菜類を主体とする(Eat food. Not too much. Mostly plants)」で応えた。

 RodgersとPollanに触発されて、私もランナーが知っておくべき「ランニングの真実」を14語で表してみた。それは、
「段階を踏んで体を鍛える。意志の力で走る、但しハードに追い込み過ぎないように。学習せよ。楽しもう」=” Build step by step. Push yourself, but not too hard. Learn. Keep it fun”
である。

 以下は、その詳細である。これらは重要と思うが、余り囚われる必要も無い。参考にして頂ければ幸いである。

(1)段階を踏んで体を鍛える。

 「忍耐」と「漸進」は、ランニングの第一原則である。走る能力はランニングによって向上する。しかしそれは「一夜にしてならず」である。時間を要するのだ。勿論、過去に比べて少しでも負荷を増やすことで、進歩が刺激される。そうすることで、壁を突破出来る。だから、一歩づつ階段を登ることが大切となる。

 段階を踏んで体を鍛えるには2つのレベル=短期/長期がある。短期的な強化とは、次の目標とするレースに向けた、段階的な体力強化の必然的な結果である。経験しないことには、自らの潜在的な限界には気付けられないだろうし、勝手に自らの限界を設定してはならない。短期的な強化とは、時間が限定された中で出来る限り現実的なレベルまで身体能力を向上させるということを意味する。自らの限界に到達するには、数年間に渡り定期的にランニングを続ける必要がある。

 Rodgersは高校&大学時代、56km/週以上は決して走らなかった。そしてその程度の練習量に甘んじていたことを決して後悔していなかった。練習量をその程度に止めていたからこそ、結果として長期間に渡りトップランナーとして活躍出来たのだと考えていた。

(2)意志の力で走る、但しハードに追い込み過ぎないように
 ランニング界では、努力は賞賛される。事実、成長する為の王道とは、努力である。努力せずにランナーとして成長しようと考えるのは、いわば銀行口座に残高が殆ど無いのにもっとお金を引き出そうと考えるようなものである。なのに、本当に多くのランナーが、努力する以外の手段で成長出来ると考えたがっている。そんな連中は「科学的トレーニング」をちゃちゃっとするだけでより速く走れるようになれると信じている。それは言い訳、もしくは現実逃避に過ぎないのだ。

 Bill Rodgersは、全くと言っていい程「科学的トレーニング」をしなかった。Greater Boston Track Clubに所属していた彼の友人は、彼に逐次トレーニングメニューを伝えていた。というのも、Rodgersはそんなことに無関心だったからである。そのトレーニングメニューが功を奏するようになるまで、彼にとってそれはどうでもいいことだったのだ。

 但し、誰にだって能力の限界は存在する。マラソンに真剣に取り組むランナーの中には、自らの限界を認めず、頑張り過ぎ、その結果として故障したりオーバートレーニング状態に陥る例が見られる。Rodgersは自らの能力の限界を意識していた。彼は時には240km/週も走ることがあったが、一方で身体が休養を欲していると感じれば、躊躇無く休養をとった。

 彼は「仮に大腿四頭筋に軽度の故障が発生して、1週間以上休養することを余儀なくされた場合、練習再開後は3~5km走から始めて様子を見た。そこで故障箇所に痛みが再発すれば、躊躇無く練習を中止して帰宅した」と記している。

(3)学習せよ
 トレーニングには、多少なりとも効率の良い方法が存在する。自らの能力の限界を極めたいと欲するならば、最も効率の良いトレーニング方法を学習する必要がある。例えば、マラソンで自己新記録を出したいのであれば、トレーニングではスピード練習をする必要がある。マラソンランナーとしてのキャリアを始めだした頃、Rodgersはスピード練習をせずにマラソンに出場し、結果として失敗した。しかし彼はそこで学習し、同じ失敗を二度と繰り返さなかった。

 学習の原則は2つのルールから成る。その1つ目は「分かり切ったことはやり直さない」である。何度も試行錯誤をした結果、ランナーは自分にとって何が有効で何が無効かを学習する。その結果として、一般的なトレーングメニュー(LSDやテンポ走等)が確立している。なので、新しくランニングを始めたビギナーは、まずはそのようなトレーニングメニューをなぞることから始めるべきである。同様の事は、基本的なトレーニングスケジュール(例えば高強度/低強度の練習を交互に行う、といった)についても当て嵌まる。

 ルールの2つ目は「自分にとって有効な方法を見つけ出す」である。ランナーには個人差が有るので、トレーニング方法もある程度は自分流にカスタマイズすべきである。Rodgersが240km/週も走るからといって、普通のランナーが真似する必要は無い。

 ランニングにおける真の学習とは、各人の個人的な経験から導き出されるものである。ランナーとしては、何が有効で何が無効かということについて常に注意を払い、そこから有効なものを見つけ出すべきである。この点についてRodgersは著書の中で「人は経験から学習する。これは真実である。自分の身体について最も理解しているのは、自分である。自分の身体については、整形外科医/循環器外科医/足治療医以上に良く理解しているはずである」と主張している。
 
(4)楽しもう

 「楽しむ」ということはランニングにおいて最も重要な事である。楽しむこと自体が楽しいだけでなく、結果として成績も良くなるからだ。Rodgersは著書の中で、マラソンにおける成功を決定づける要因は「遺伝」と「動機」と主張している。ただ残念ながら、遺伝は自分ではどうしようもないことである。しかし、動機は自分自身でコントロール出来る要因である。ランニングを楽しむ程、高強度のトレーニングに取り組もうとする動機も高まるし、その成果がもたらされる。トレーニング方法を検討する際には、それが身体能力にどのような影響を及ぼすかを考慮する以前に、それがランニングを楽しむという事にどのような影響を与えるかを考えよう。

 実際、Rodgersはそうしたのだ。彼は著書の中で、彼にとって最も輝かしい時代だった1975~1979年において、ランニングの大半をクロスカントリーのコースで行い、ペースだって自分が楽しいと思う範囲で実践していたと告白している。そこには、きちんとした計画なぞなかった。彼は「楽しいから」というだけでそうしており、子供の頃にチョウチョを追っかけてコネチカット州の田舎を走り回ったことを思い出していたとさえ言っている。

 もう一度、話を元に戻す。Rodgersはランニングを楽しむという点について、「多くの人にとって、ランニングは複雑になり過ぎている。そしてその結果、ランニングが『辛いもの』となり、目指す方向性を失っている」と記している。