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[MLB短評]No respect, much clamor

2012-04-02 08:43:02 | MLB
Tulo injures elbow after plunking by Ubaldo (MLB.com)
Ubaldo Jimenez drills Troy Tulowitzki, benches clear, Tulo leaves with elbow injury (Denver Post)
Jimenez looks to rediscover winning form (FOX Sports)


ウバルド・ヒメネスがロッキーズ史上初のノーヒッターを達成してから約2年が経とうとしています。あの当時、ヒメネスのノーヒッターは偶然の産物ではなく、その能力の向上途中の結果だったと言われています。2010年シーズンの特に前半戦のヒメネスは全くもって手を付けられないほどで、オールスターでは先発を務めました。ヒメネスは19勝8敗という素晴らしい成績でシーズンを終えます。しかし、チームはトロイ・トロウィツキーとカルロス・ゴンザレスという攻撃のスター選手に対して長期契約を結んだ一方、ヒメネスとは大型契約を結ぶことを拒みました(ゴンザレスいわく「トロウィツキーとゴンザレスは2010年に素晴らしいシーズンを送ったので大型契約を結ぶことができた、でもヒメネスはまだ契約期間中だったからチームは大型契約を提示しなかった」)。

それ以来、ヒメネスのロッキーズに対する不満が高まり出します。それと反比例するかのように、ヒメネスの持っていたメカニックの高さは伸び悩み、2011年シーズンの公式戦では打たれる場面が多くなりました。このような事情の中、ヒメネスは半ば放出される形でロッキーズからインディアンズへトレードされました。

そしてこの春、インディアンズで開幕を迎えるヒメネスのロッキーズへの不満はいまだに燻っていました。それどころか、クリーブランドを「天国のような場所」と評し、ロッキーズ及びデンバーを見下すかのような発言もしています。それに対して、トロウィツキーが地元紙を通じてヒメネスへ以下のように言い返しました。

If someone doesn't want to be here we always say, 'Please, go up to the manager and tell him you want to leave or that you don't think this is the best place for you.' That was kind of the case with him.

つまり、「チームにいたくないのであればどうぞご勝手に出て行ってください、それがヒメネスの立場だったんだよ」というものです。ただしトロウィツキーはもともとヒメネスを嫌っていたわけではなく、ヒメネスがロッキーズ在籍時にあからさまにチームへの不満を述べていたことを憂いていました。だからこそ、嫌なら出てけば、というコメントに出ています。

これがヒメネスの違った闘志に火を付けてしまいました。現地日曜日、ヒメネス先発のインディアンズがロッキーズと対戦しました。そこでヒメネスがトロウィツキーの左肘に対して速球、というより危険球気味なボールを投げました。デッドボールとなったトロウィツキーは直後にベンチへ下がり、もしかしたら守備でも攻撃でも、そして客入りにとってもデンバーにとって重要な選手は開幕を故障者リスト入りで迎えるかもしれません。仮にそうなれば、ロッキーズにとっては単なる口ゲンカから発展した不仲以上の状況に陥ります。一方のヒメネスは即座に退場処分にはなりませんでしたが、一部のファンからのブーイングを浴びつつマウンドを降りました。インディアンズは今後の処分を検討するとしています。この時の状況をデンバーポストのTroy Renck氏はこのようにTwitterで書いています。

Ubaldo leaves mound to a scattering of boos. Hard to believe it's come to this. Greatest Rockies' pitcher ever now Public Enemy No. 1

まさにこのとおりで、このような時が来るとは2010年シーズンには考えられませんでした。ロッキーズの絶対的な投手だったヒメネスは、今やデンバーへ行けば間違いなく生卵を投げつけられるような存在になりました。

ヒメネスは制球力同様に自制力も失いつつあるように感じます。アメリカでは今話題の「メガ・ミリオンズ」のような巨額宝くじを当てた人が、その後の人生が間違った方向へ行き破産するという人もいると言われています。もしかしたら、それと似たようなもので、ノーヒッターを達成して世間から注目を浴びてしまったことが逆作用してしまったのかもしれません。プロ選手である以上、自分の契約及びチームからの見られ方を非常に気にするのは理解できます。しかし、チームを移ってからも以前のチームへの不満をぶちまけるのは大人気ないというべきでしょう。不満の中で慣れ親しんだチームを離れて、新天地で活躍せざるを得ないことはプロである以上仕方ないことです。ヒメネスが集中すべきは、ロッキーズの過去の対応やトロウィツキーの発言ではなく、これから迎えるインディアンズでのフルシーズンではないかと思います。

ちなみに、両チームがワールドシリーズに進出しない限り、ロッキーズとインディアンズが今シーズン対戦することはありません。


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