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旅費「西高東低」、客離れ懸念 高速道1000円終了、東北は無料開放 (サンケイビズ)
2009年3月に始まった「高速休日1,000円」と高速道路の無料化実験が6月19日をもって原則終了となり、今後は無料化が行われる東北地方を除いて、現行の料金に戻ります(一部の割引制度は残ります)。そもそもこの制度は正しかったのでしょうか。
「休日1,000円」はリーマン・ショック後の経済不況時の起爆剤のひとつとして麻生政権が始めました。一方で民主党は1,000円すら高いと考えたのか高速道路の無料化を政権公約に入れ、その方向で進みそうになっていました。しかし、日本の高速道路は元来、高速道路の利用者(つまりドライバー)から徴収する料金を建設費に充てる方式がとられてきました。ドライバーが高速道路を利用するという利益を得るために、その対価を払うという元来の制度は、資本主義の中では当然なものだったはずです(その高い料金はともかく)。
しかし休日1,000円により、もともと多くの自動車道が赤字を抱える中、高速道路が出血大サービス状態で渋滞が多発し、おまけに民主党は無料化を標榜し、その分を税金で穴埋めすると言い出すようになると、高速道路だけでなく日本において、資本主義で当たり前の「使用利益と対価」の関係が崩れてしまったように感じます。高速道路を直接利用しないどころか運転免許を持っていない人までもが料金を払わされるというのが正当な考え方なのでしょうか。
確かにこの制度のおかげで盛り上がった観光地があったことも確かですが、正直なところ、「休日1,000円」はそれ以上の効果はなかったように感じます。物流コストが下がりモノの値段が下がったという印象も受けませんし(トラックは平日昼間にも走っている)これが「経済不況時の起爆剤」になったとも思いません(もし高速道路の料金を変えて景気が回復するなら、自民党政権は名神高速の完成当時から料金を驚くほど安くしておけばよかった)。むしろ自民党も民主党も、蓄積された高速道路の赤字から国民の目を逸らしたかっただけではないのでしょうか。
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