酔いどれ烏の夢物語

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夕闇

2023-08-06 17:38:16 | 日記

    

                      夕闇

夕凪の海の上を まるで滑るように

数羽のカモメが飛んでいく

遠くの波打ち際にはしゃぐ子供たち

その少し後ろにいるのは両親だろうか

僕はただじっと まだ沈みきってはいない

オレンジ色の夕日を眺めていた

僕のほほをつたう涙が 足元に落ちる

解っていた事なのに 覚悟はしていた筈なのに

それでもどうしようもなく 涙があふれる

僕を受け止めてくれた ただ一人の理解者

ほかの人とは違う僕を そのままで良いと

大丈夫だよと 抱きしめてくれた人

 

時間がない事は 最初に聞いていた

それでも良いとそう思えた

短い時間でも一緒に居られることが

ただ嬉しくて ただ幸せで夢のようだった

僕はただ彼の 優しさに甘えていたかった

神様は僕の大切な人を取り上げた

口惜しさと悲しみと切なさとが

胸の中でぐちゃぐちゃに混ざり合って

今は悲しくて どうすることも出来なくて

今だけは 泣いても許されるよね 

心の中で彼に訊いた きっと許してくれる

泣いている僕の姿が夕闇に消える時まで


夏本番!

2023-08-06 15:45:42 | ポエム

     

     夏本番!

僕らは家の近くの神社の境内に居た

周りを木々で覆われているからか

少しだけひんやりとしていた

それでもうんざりするほどの暑さに

周りから聞こえるセミの声が拍車をかける

僕らは毎年夏休みに入ると早々に

課題を終わらせるため 図書館に通う

そして残りの日々は毎日遊びつくす

今年も登山を兼ねてキャンプ場に行く予定だ

 

高校に入学して一月ほどたった時

クラスメイトに声を掛けられた

夏休みになったらキャンプに行こうよ

まだクラスになじめていない僕に

なんの躊躇もなくそう言って笑った

彼もそんなに目立つ方ではないのだが

確か成績は良かったと思う

それから僕らは時々一緒に勉強したり

休みの日には遊びに行くようになった

 

僕はあまり成績は良い方ではなかったが

彼が教えてくれるからか成績も向上した

だから夏休みのキャンプも許してくれる

彼は遊ぶことにも全力である

しっかりと計画を立て目一杯楽しむ

明日もいい天気になりそうだ 良かった

彼は階段をひらりと飛び降りて振り向いた

そして よし、夏本番!と叫んだ

これだから彼と一緒にいるとワクワクする

 

 


陽光

2023-07-09 11:04:14 | ポエム

     

雨上がりの昼下がりのオフィス街

暗く立ち込めた雲の隙間から

幾筋かの陽光が差し込む

その白く美しい光は 雲を少しずつ遠ざけ

澄んだ青空をのぞかせた

幻想的なその眺めは まるでその部分だけ

神の恩恵を受けているかの様だった

これで教会の鐘の音でも聞こえたら

天使の姿さえも見えるかも知れない

 

最近はすっかり外に出る事もなく

狭い部屋の中で過ごしていた

誰かと会う事もなく

偶然見つけた光景 空は少しずつ晴れ

オフィス街を明るくした

雲を押しのけた太陽は まるで今の僕に

このままで良いのかと問いかける様だった

まるで長い夢から覚めたみたいに

久しぶりに背筋を伸ばせたような気がした


夏の音

2023-07-06 15:19:52 | ポエム

    

カランコロンと君の歩く下駄の音

振り返ると昔のままの君が居た

嬉しそうに僕の後をついてくる

とても懐かしい思い出の中の君

蚊取り線香の匂い

どこかで鳴ってる風鈴の音

僕は君に言う やあ久しぶりと

君は笑って答える 僕はここに居るよと

ああ、なんて懐かしい夏の思い出

 

パシャパシャと川を跳ねる小魚の音

楽しそうにはしゃぐ君が居た

川を流れる草船のように

いつ沈むのか解らない旅路

現代社会のルール

抗う術のない今の僕ら

僕は君に問う まだ大丈夫?と

君は笑って答える 僕の心は変わらない

ああ、君は本当に強い人だ

 

キラキラと空に輝く花火の音

二人で見た最後の花火

いつの間にか消え去っていた

僕は僕に嘘をついて

君を深く傷つけた 僕の後悔

今一度君に訊きたい 僕は間違っていた?

きっと君は笑って 僕は平気だよと答える

僕は君を失って 僕の心は壊れた

ああ、もう一度君に逢いたい


僕らの空に花が咲く

2023-06-09 20:55:08 | ポエム

 

     

   僕らの空に花が咲く

あの日 確かに僕らはここに居た

真夏の夜空に咲く花を

みんなでそれを眺めていた

祭り囃子の音 香ばしい匂い

綿あめの甘い匂いに心が躍った

でもあの夏は帰らないと感じていた

 

学生だからこそ僕らは楽しめた

あの頃 それぞれの進む道を信じて

たゆまなくそれを全うした

大人の世界に身を投じて

初めて知った苦い思い

僕らはもう子供では居られない

 

あの日 誓った僕らの友情は

真夏の あの夜空に舞い散った

毎年減っていく顔ぶれ

夢が崩れる音 悲しい思い

せめて君だけは夢を捨てないで

僕が君を 支えていくから

 

出逢い そして別れの時を

誰もが予感していただろう

それでも僕は信じたかった

あの日 確かに僕らはそこに居た

夢と希望に満ちていた

ありふれた現実を打ち砕こうと

 

神様どうか僕らの未来を

いつか 君に話そうとしていた

僕の想いを今打ち明けよう

情けなくて恥ずかしくて

笑い話で良い 僕はピエロで良い

誰よりも君を 愛していた

 

それが 僕の真実だから

あの日 夜空に咲く花を見ていた

一人も欠ける事無く居られると

信じて疑わなかった 君はまだ 

僕の傍に居てくれるかな

今年も僕らの空に 花が咲く