酔いどれ烏の夢物語

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蒼月に問う

2024-03-26 10:56:41 | ポエム

 

どうして僕は生きるのだろう

生きていく為には 仕事をしなければならず

仕事をする為には 衣食住を整えねばならず

衣食住を整える為には 仕事をしなければならず

どうして僕は生きるのだろう

眠れずに見上げた夜空には

蒼く冷たく輝く月が

静かに ただ静かに 僕を見下ろしていた

 

どうして蝉は生きるのだろう

その生涯の大半を 土の中で過ごし続け

ひと夏だけの晩生を森の中鳴き続け

果ては抜け殻だけを残し土へと返っていく

どうして蝉は生きるのだろう

寝苦しくて見上げた夜空には

蒼く冷たく輝く月が

静かに ただ 静かに 僕を冷笑していた

 

どうして僕は生きるのだろう

目的地も見失い

誰かの為だとか何かを成す為だとか

それすらわからずに命を燃やし続ける

どうして僕は生きるのだろう

眠れずに見上げた夜空には

蒼く冷たく輝く月が

静かに ただ 静かに美しく輝いていた

 


告白

2023-12-31 23:59:05 | ポエム

      

好きです たったその一言で僕の人生は一転した

一つ年下の 華奢な身体に澄んだ瞳の少年

彼は僕の瞳をじっと見て 臆することなくそう言った

冬の始まり 放課後の美術室 既に陽は落ち始めていた

面食らった僕はただ 彼の顔を見ていた

細い首を少し傾げて 可笑しいですか?と言った

そもそも 今この美術室に二人で居るのは

珍しく彼が僕に絵のモデルを頼んできたからだった

 

好きです それはいったいどういう意味なのだろう?

僕の頭の中を 何かがぐるぐると回っていた

ずっとずるいなって 思っていたんです 彼は続けた

先輩には 僕に無いものが たくさんあるんですよ

人は自分には無いもの それに憧れる ですよね

先輩は 僕の憧れだけどそれだけじゃ嫌なんです

これは僕の我儘です でも、もっと傍にいて欲しい

 

好きです その言葉を言われるのは初めてではない

それなのに どうしてこんなにも動揺しているのだろう?

僕の心の中で 何かが弾けたような気がした

入部した時から 気にはなっていた 大人しそうで

それでいて自己主張は しっかりとしている

なんだ…僕は僕でこの後輩の事が気になっていたのか

彼の言う我儘は ちょっと嬉しいようなそんな気がした

 

 

 

 


ラブストーリー

2023-12-10 14:04:48 | ポエム

 

    

何が間違っていたのだろう?

どこで間違えたのだろう?

何度も何度もくり返し問いかける

けれども僕は知っている

どこにも答えなんて無いと

見上げた澄んだ青空は

じきに来る冬の寒さを思わせる

君は今 幸せなのかい?

僕の隣でうたた寝する君の

細くて柔らかな髪の毛を

起こさないように そっと撫でる

 

日が傾いて夕闇が近づく

高らかに響く烏の鳴き声

何度も何度も湧き上がる想い

この感情は何だろう?

本当は知っているのに

認めたくなくて 信じたくなくて

夕闇の空に 輝く一番星

指を指して笑う君の頬に

僕はそっとキスをする

照れくさそうに僕を見つめる

 

長い長い冬が来て

山に白い雪が降る頃

二人で一緒に生きると決めた

けれど僕は知っている

それはとても険しい道だと

それでっも良いと君が微笑む

どんなに寒い夜も二人なら

乗り超えられるから

二人で綴る ラブストーリーは

これから始まって行くのだ


向日葵

2023-08-08 20:06:17 | ポエム

                    向日葵

僕は向日葵が苦手だ 人の顔みたいで

それは舞台の上から眺める客席のようだ

僕は幼いころから日舞を習っていた

母が若いころ習っていたらしいが

交通事故で足を怪我してやめてしまった

だから僕がまだお腹にいる時から

男の子でも女の子でも日舞を習わせると

強く父に断言していたらしい

そして生まれた僕は 人形のような

肌も白く眼がぱっちりとした赤ん坊だった

 

僕は自分の顔が嫌いだ 僕を見た人は

まるで女の子みたいねと必ず言うから

それなのに母はとても嬉しそうだった

出かける時にはいつも僕を連れて行く

髪も伸ばし可愛い服を着せていた

それでも母が喜ぶのならと思った

小学校に入ってからは随分と

クラスの男子にからかわれた

それでも僕は気にしてなかった

だって僕は舞台の上で踊る人形だから

 

中学に入るとすぐに 成長痛がひどく 

稽古もできなくなった 母はとても心配した

治まるころには僕の身長は170cmを超えた

けれど身長と手や足は長くなっても

男らしい体つきにはなれなかった

顔も顎がほっそりとして目が切れ長になった

姐さんたちからは化粧映えのする顔だと言われた

これはきっと母の呪いだと僕は思った

高校の入学式の日 お前って凄いなと言われた

振り向くと小学生の時僕をからかっていた奴だった

 

僕は向日葵が苦手だ 人の顔みたいで

けれど小さい頃のように眼を背けることはない

高校に入って新しい友達もでき

いじめっ子だった奴から 凄いと言われ

なんだか少し恥ずかしかった

鏡に映る姿は僕の望んだ姿ではないけれど

いつの間にかそれに慣れてしまったのか

或いは自分自身を認められたのか

空っぽだった僕の心の中に何か温かい

そして懐かしい感情が芽生えた気がした

 

 

 

 

 

 


夏本番!

2023-08-06 15:45:42 | ポエム

     

     夏本番!

僕らは家の近くの神社の境内に居た

周りを木々で覆われているからか

少しだけひんやりとしていた

それでもうんざりするほどの暑さに

周りから聞こえるセミの声が拍車をかける

僕らは毎年夏休みに入ると早々に

課題を終わらせるため 図書館に通う

そして残りの日々は毎日遊びつくす

今年も登山を兼ねてキャンプ場に行く予定だ

 

高校に入学して一月ほどたった時

クラスメイトに声を掛けられた

夏休みになったらキャンプに行こうよ

まだクラスになじめていない僕に

なんの躊躇もなくそう言って笑った

彼もそんなに目立つ方ではないのだが

確か成績は良かったと思う

それから僕らは時々一緒に勉強したり

休みの日には遊びに行くようになった

 

僕はあまり成績は良い方ではなかったが

彼が教えてくれるからか成績も向上した

だから夏休みのキャンプも許してくれる

彼は遊ぶことにも全力である

しっかりと計画を立て目一杯楽しむ

明日もいい天気になりそうだ 良かった

彼は階段をひらりと飛び降りて振り向いた

そして よし、夏本番!と叫んだ

これだから彼と一緒にいるとワクワクする