これは江戸の時代に似た頃の、江戸の町にちょっぴり似た町でのお話
町はずれにある小楢長屋は、人情長屋とも呼ばれるくらい、
人々は情け深く、助け合って皆楽しく暮らしていました
ところが、今日は、なんだかいつもと違います
いつも太っ腹なおかみさんたちが、怖い顔をしている
「ともかくさ、いつもプープー、ブーブーうるさいんだよ」
「真面目にお経読んでるお坊さんも、あのプーで笑い出しちまうし」
「うちのうるさいガキたちを叱りつけてる時にゃ、あのプーで台無し!
みんなバカ笑いしちまうのさ」
みんな寄ってたかって、お風ちゃんに詰め寄ります
お風ちゃんは先年この長屋に越してきて、
病いに伏せっているおとっつぁんを甲斐甲斐しく面倒見ている、おとなしい娘です
ただ、お風ちゃんは、生まれた時から、なぜだか、笑っても怒っても泣いても、
その声がぷーぷー、ぶーぶーと響くのです
そう、それはまるでオナラのよう
オナラのぷーちゃん、いつしかお風ちゃんと呼ばれ、
時に周りからいじめられることもありましたが、
人情に厚いこの長屋では、みんなから可愛がられていたのでした
それなのに、今日はみんなでそれを責め立てている
どうにもそのぷーぷー、ぶーぶーが許されなくなっているようです
「こないだなんて、夜中にデカいブーさ!
やっと寝た赤子もびっくりして、泣き出したさ」
怒るおかみさんたちを、こっそり物陰から見ていた坊やがいました
いつも元気いっぱいの島坊です
島坊は我慢が出来なくなったか、飛び出して、叫びました
「それはあんたの旦那のオナラだい!なんでもお風ちゃんのせいにするな!」
いつもはにこにこ笑顔の島坊が怒る勢いに、おかみさん連中は驚きましたが、
お風ちゃんに詰め寄る姿は変わりません
「とにかくさ、みんなこんだけ困ってんだ。
このままじゃ、長屋の暮らしが成り立たないよ
悪いけど、明日にでも出てっておくれ」
長屋の大家さんの言葉に、お風ちゃんは声も出ません
びっくり顔で、震えています
その震えた手を、島坊はそっと繋ぐと、
「お風ちゃん!こんなくそばばあの言うことなんて、聞かなくていいよ!
お風ちゃんは何にも悪いことしてないんだから、絶対出て行くな!」
島坊がちっちゃな体で精一杯叫び、お風ちゃんを守ろうとしたので、
おかみさんたちは、島坊の腕や肩を掴み、
お風ちゃんから引き剥がそうと、大騒ぎになりました
もみくちゃにされる島坊にお風ちゃんはびっくり、怖くなって、
「どうか島坊を離してあげて。
ごめんなさい、私がいけなかった。みんなに迷惑かけた。
明日にもおとっつぁんと出ていきます・・・」
そう言うと、島坊の止めるのも聞かず、長屋に戻り、荷物をまとめ始めました
しくしく泣きながら・・・・
しくしく、しくしく
その悲しげなお風ちゃんの声は、
やがて、ぷーぷー、ぶーぶーと愉快なオナラの音になって、長屋に響き渡ります
「や、お風ちゃん、泣いてるのかい・・・・くすくす」
「お風ちゃんには悪いことしたけど・・・あはは」
「ってか、ぷーぷーぷーぷー、笑っちまうじゃないか!ガハハ!」
「あたしら何に怒ってたんだっけ、あっはっは!」
一度笑い出した人たちは、もう止まりません
お風ちゃんのぷーぷーぶーぶーとアハハガハハの大合唱
泣いて怒ってた島坊が、顔を真っ赤にして誰よりも笑っています
「そういや、こないだダンナと大喧嘩したのさ
あん時も、お風ちゃんのぷーぷーが聞こえてきたら、
ダンナと笑っちまって、喧嘩のことなんて忘れてたよ」
「あたしも、やな事あって泣いてた時、お風ちゃんのぷーぷーで、
なんだか馬鹿馬鹿しくなって、気づいたら笑ってたことあったな」
おかみさんたちは、口々に、お風ちゃんのおかげで笑ってしまったことを話し出し、
さっきまでの怒りはどこへやら、優しくお風ちゃんを見つめています
「そうだね、お風ちゃんのおかげで、思わず笑ってしまったこと、
それで助かったこと、いっぱいあったんだ
追い出すなんて言ってごめんよ
これからもあんたのぷーぷーぶーぶーで、あたしらをいっぱい笑わせておくれよ」
おかみさんの一人がそう言い、みんながこっくりうなづくと、お風ちゃんも泣きながら微笑み、
小さくはい、と答えました
が、その声はみんなにはぷうと聞こえ、ますます大笑い
「やった!これでお風ちゃんはずっとおいらと一緒だい!」
島坊が叫ぶと、同時に島坊からも、可愛いぷーが
ますますぷーぷーぶーぶーアハハガハハの大合唱で、
小楢長屋は今日も平和です
(おしまい)
はあ・・・・
とうとうまたやってしまいました
小楢風子(おならぷうこ)さんのお話です
こんだけダラダラと書いていて、「」←この表情
ご存知ない方のため、説明させて頂くと、
小楢風子さんとは、私の生み出した架空の人物です
そもそも、私はある時期ブログを毎日更新してたのですが、
そのきっかけは、ある方に自分の今の状況を相談したことからでした
その頃、心理的環境的な悩みもありながら、
身体的に「お腹が張っている」という悩みもありまして
で、その方に、
「言いたいことを溜めていると、胃が痛くなって、お腹が張りやすい」
と言われたんです
そして、その方のその時のお言葉
「上からも下からも、ぷっぷっぷっ〜と愉快に出していきましょう」
この辺りのお話は、
で書いている通りでございまして、読んでいただけると一番わかりやすいと思いますが、
(単にまた説明するのがめんどくさいとも言える)
なんだかクサいお話ねと思われそうですし、
読み返さなくても、大丈夫です
まあそんなこんなで、私のいろんな思いから生まれた小楢風子さんではあるのですが、
私も一応乙女(昔の)であるし、女性として、「オナラ」なんてブログ、書きたくないんです
断固拒否なんです
「さよおならオナラぷー」なんて言う小学生男子のギャグ言うより、
「さようなら奈良へ行くなら、今日より明日か(京より飛鳥)」なんて言うオッサンギャグを嗜む、大人なわたくしなのです(キリッ)
実際、そんな下品なネタ、引いてしまわれる方も多いでしょうし
本当ごめんなさい
ですが、
そんな中、小楢風子さんをことの他気に入って下さってる、奇特な(失礼)お方様もいらっしゃって
それが、今回「島坊」ちゃんとして登場した、元気炸裂shima様
(shima様の元気炸裂ブログは👇
)
shima様はいつも優しく私を褒めてくださり、何度か小楢風子さん呼び出しをいただいても、
しれっと拒否、小楢風子を封印(ふーだけにw)してた私でしたが、
実は、近頃、また何かと体調が悪いんです・・・
お腹は張る、気持ちは沈む、夢に小楢風子が出せ出せと出る・・・(これは嘘です)
小楢風子を封印したことで、「風」前の灯となったのは、我が命の方か・・・
ってことで。
嫌なものを、見ないこと、ないことにして、出ていけ〜って言うより、
いっそドーンと受け入れちゃえば、その良さも見つかるかもよ??
そんな思いで書いてみた、お風ちゃんのお話なのでした
長い長い裏話までお読みくださり、本当にありがとうございました!
更に裏の裏の話
実はここから現在2025年でございます
この上までのお話、1年半前に書いて寝かしていたのでした
これだけ書いてなお、踏ん切りつかず封印してしまっていたヘタレな私・・・
しかーし!
今年は奮発して、逡巡も吹っ飛ばし、とうとうお風ちゃん(小楢風子さん)登場させてやりました
今年は不規則ながら、不可思議な感じでとにかく下書き記事アップする予定
ふてぶてしくふざけたお話から、ふっとセンチメンタルになるお話まで取り揃えておりますので、
「ふーん」と呆れずにお付き合いいただければ幸いでございます
…ふぅ(ため息)