片月共和国では、
最近頻繁に起こる大嵐に頭を抱えています。
それは自己否定の嵐。
その大嵐が吹くと、
国土の大半はやられ、まさに焦土と化すのです。
荒れ果てた国土、疲弊する民のために、
皇帝は立ち上がりました。
それは夜の始まり、
晩ごはんの支度の頃。
この時間、大嵐が一番良く吹き荒れます。
「もっと〜もっと〜早く〜
早く作らないと〜
さっさと作らないから、ダメなんだ〜」
ゴーゴーと嵐は恐ろしい音を立てます。
皇帝は嵐に立ち向かいました。
「国民たちは、一生懸命夕餉の支度に勤しんでいる。
それなのに、なぜ嵐が吹くのだ」
すると、妖怪デモデモダッテちゃんが現れました。
自己否定の嵐を操るのは、
妖怪デモデモダッテちゃんなのです
「だって〜もっと早く作らないと!
もっと早くしなければ!もっと頑張らなければ!の
民の気持ちが、
この嵐を呼び起こすのだ〜」
「なんと!
毎日勤勉に夕食の支度をしているのに、
我が民は、まだもっと早くしなければと望んでいるのか。
なんと健気な民たちであることか」
「でも、出来ないんだよ?
もっと早くしたいんだけど、出来てないんだって!
その焦りが嵐になるんだって!」
「出来ないのに、更に上を望んで嵐を起こす、とな!
なんと向上心あふれた民たちであることか」
「でも!出来てないんだよ。。。
向上心あってもさ・・・」
「ということは、出来れば最強!
今出来てないけれど、それを強く望んでいる、
しからば我が民は、
最強一歩手前ということなり!」
「我々は、最強一歩手前の国民である!」
大臣が感激して叫ぶと、
国民たちの顔も、喜びにあふれました。
「最強の一歩手前かぁ・・・・」
デモデモダッテちゃんも呟くと、
なんだか嬉しそうに去っていきました。
また別のある日。
国民は、妹国である片梨王国へ送る荷物を前に、
ぐったり沈み込んでいます。
そこへまた大嵐がやってきます。
ますます疲れ果てる国民たち。
「早く〜早く〜荷物を送るんだ〜〜!!
さっさと送らないから、ダメなんだ〜」
「我が民は心優しくも、妹国へ物資を送ろうとしている。
それなのに、なぜ大嵐が吹くのだ」
問いかける皇帝に、
妖怪デモデモダッテちゃんが答えます
「だって〜いつまでも送らないんだよ〜
もう3ヶ月も経っているんだよ〜」
「では早く送れば嵐は止むのだな」
「でもいつまでも送らないんだよ〜」
「なぜ送らないのか」
「だって〜めんどくさいんだよ〜〜」
「なんと!
めんどくさいのに、頑張って送ろうとした!
我が民は、なんと心優しい人たちであることか」
「でも出来ないんだよ!
出来ないのに送ろうとして、送ってないんだよ!」
「しからば、送れば最高の優しさ!
最強の民!
出来ていないけれど、それを望む今は、
最強一歩手前の民なり!!」
「我々は、最強一歩手前の国民である!」
大臣と共に国民も叫びました。
「最強の一歩手前かぁ・・・・」
デモデモダッテちゃんもそう呟くと、
やっぱり嬉しそうに去っていきました。
その後も自己否定の嵐が吹き荒れると、
皇帝の呪文、
「我々は最強一歩手前である!」
を唱えると、
妖怪デモデモダッテちゃんは少し嬉しそうになって、
嵐も静まったということです。
おしまい。
えへへ。
相変わらず、自己否定に悩まされているお話でした。
向上心の暴走だとすると、
その向上心を認めたら、
嵐は収まるのかな・・・なんて。
ここで一つ、お詫びと訂正があります。
なんと、
妹国へ送る荷物・・・・
それは春からほったらかし
3ヶ月どころちゃうやろ
スミマセン。
少し見栄を張りました・・・
明日こそ送って最強の自分に、私はなる!!
今日は溜まっていた家事を片付けていたので、
15分片付けはその延長でした。
シュレッダーとかもしてました
写真は、
お話のイメージで、
嵐とお日様っぽいのにしてみましたが、
どうでしょうね?