
築地場外市場の路地にある「多け乃」という食堂で一杯引っ掛けた。
2月最後の土曜日は穏やかな冬びよりとなった。
こんな日は家に居てはもったいないので、行く場所も決めずに新川崎駅へと向かった。
上りでも下りでもホームに入ってきた電車に乗ってどこかに行こうと思っていたところへ、横須賀線上り電車が停車した。
とりあえず東京で下車したが、何となく「銀ブラ」をしたくなったので、テクテク歩いて銀座並木通りまで行き、晴海方面に向かって行く。
更地になった歌舞伎座の前を通り、首都高を渡ると右手に観光客で込み合っている築地場外市場が見えた。
そうだ、市場を散策してから、美味いもんでも喰いながら一杯やろう。
市場の中も場外も寿司屋はどこも長蛇の列で、どうやら3時間待ちの寿司屋もあるようだ。
こんな状況でゆっくり呑んでいては、顰蹙を買うだろうから、落ち着いてゆっくり呑める場所を探すことにしよう。
人混みを避けて歩いていると、晴海通りへ抜ける細い路地に「多け乃」という昭和の香り漂う食堂があった。
引き戸を少し開け左目で店内の様子を伺うと、1階は左手にカウンター4席程度、右手に4人掛けテーブルが3卓というこじんまりしたお店で、ほぼ満席であったが1つ残っていたカウンターに案内してくれた。
店内はメニューの短冊が壁一面に貼られていて、酒の肴にもってこいの品ばかりだが、昼の定食以外は値段が表示されていない。
常温の富翁の徳利は1.7合程度入る大きさだろうか。
少し口を湿らせた後、セリのおひたしと鰺のたたきを注文。
セリのシャキシャキした食感と微かな苦味が春を感じさせる。
鰺のたたきは注文を受けてからさばき、毛抜きで中骨をきちんと取り、ざっくりとたたいてネギを合わせてある。
ん~、酒がすすむ。
さて、次の一品は何を注文しようか?イカゲソと独活の酢味噌和えにするか、小肌酢とお新香にするか悩んだ末、後者を注文。おっと、お酒ももう一本付けてもらおう。
かなりあっさり目の蕪と胡瓜の漬物とさっぱりした小肌酢で、酒のペースも速まる、速まる。
一見無愛想のようにも見えるが、お客様にとても親切で、おやじの問いかけにも丁寧に応えてくれた「多け乃」のご家族。
次は黒ムツの煮つけかカマスの塩焼きにイカゲソと独活の酢味噌和えを添えてもらおう。
このブログを書きながら気持ちはすでに「多け乃」へと向かっている。
築地は場内、場外とも見て歩くのは楽しいが、人通りの少ない路地で一杯やるのはもっと楽しい。
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