【僧侶鍛錬場:古市 道彦・川手 悠依・中城 奈津江・滝野 友紀恵】
「あ、古市君それ緑色じゃない?」
「本当だ。なんか抹茶みたい」
古市 道彦の手のひらの上に浮かんでいる光球を注視しつつ川手 悠依が叫んだ言葉に、中城 奈津江も続けた。ここは午前中の僧侶鍛錬場。本日もたくさんの僧侶が鍛錬を行っている。本日も53期の僧侶は仲良く一緒に鍛錬を行っており、現在の課題は緑色の光球を出すというものだ。この緑色の光球は毒消しの効果あり、これがないと亜獣や罠の影響で迷宮内で毒に侵された場合に、帰ってこられる保証がなくなるのだ。なので、緑色球は僧侶の光球の中でも重要度が高いが、53期はまだ第1迷宮と第3迷宮の1階を探索しているので、毒を喰らう機会はまだないのである。
「やっぱり古市くんが一番だったかー。密かに先にできるのを狙ってたんだけどねー」
多少悔しい評定を浮かべて滝野 友紀恵が笑顔で祝福する。古市は緑色球が成功したのと、3人の優しい声かけが嬉しく、3人に丁寧に礼をした。
「これで地下2階に降りても大丈夫だね。古市君のところはどう?そろそろブッチャークリアしそう?」
「うん。健介はもう終わってるからね。後2人ももうすぐだと思う」
自分が所属するザ・ワールド時よ止まれ部隊の状況を分析し、古市が答える。この後、他の部隊の状況も共有することになり、まず川手のリンネの境界部隊は第3迷宮地下1階のボスであるモグラ戦の最中であることを説明する。そして中城のゲスの極み部隊も同じくモグラ戦中であり、滝野のドラゲナイ部隊はブッチャー戦中である。話した感じでは古市の部隊と川手の部隊が同じタイミングぐらいでクリアできそうであり、中城と滝野の部隊は比較すると少しクリアが遅くなりそうだとの結論になった。