【済々黌:富田 正継・前田 綺羅・原田 祐一・村川 学】
「良し、全員合格やな」
「これでまた1歩冒険者に近づいたかなー」
全員の受験番号が有るのを確認して言葉を漏らした富田 正継の横で、嬉しそうに前田 綺羅もこう口にした。ここは済々黌高校の正門から入ってすぐの場所にある広場。ここに今年の後期試験の合格者一覧が掲示されている。富田と前田、原田 祐一、村川 学は父親が冒険者か元冒険者であり、自宅も黒髪近辺にあるので、小さい頃から冒険者組織が身近な存在であった、その様な環境で育ったので、将来は冒険者になることを目標にしているのである。それに対して両親達は、冒険者になるからと言って勉学が疎かになることを嫌い、冒険者になるためには、桜山中学卒業後、済々黌に進学し、熊大に進学することを条件としているのである。そして本日、第一条件で有る済々黌進学をクリアしたのだ。
「高校でも一緒のクラスになるといいなー」
ルンルン気分の前田が笑顔で言葉を発する。富田はその様子を何気なく眺めていたが、何やら周りが少しざわついている。どうも前田の余りの可愛さに気づいた連中が、そこかしこで話題にしているので有る。
「じゃあ、そろそろ戻ろうか」
このような状況は慣れっこではあるが、今日は高校の合格発表なので、余り目立たない方が良いと思い、富田がこう提案し、全員で校門から外へ出た。そのまま歩いて黒髪方面へ向かい、富田の自宅である『ゲーム&喫茶アクシズ』へ向かう。全員合格していたら母親の富田 さやかが全員にご馳走してくるという話をしていたからだ。
「ただいまー」
「お帰りなさい。どうだった?」
さやかの声かけに対して全員でサムズアップで帰す。それを見て、大きく息を吐いて、笑顔を浮かべる。
「みんな、おめでとう。頑張ったわね。じゃあ好きなものたくさん作ってあげるから、何でも注文して」
そう言われて、全員でテーブルに座り、何を食べるかで盛り上がる。この後、全員で大量の料理を注文し、皆んなで和気藹々と食べ尽くす。食べ終わった後は丁寧にお礼を述べ、全員で合格を伝えに、この後前田家、原田家、村川家を順番に回った。
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