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外来種を悪とする「池の水ぜんぶ抜く」の疑問点

2020-10-17 14:44:00 | 外来魚関連
外来種を悪とする「池の水ぜんぶ抜く」の疑問点


身近な池や川で見られるミシシッピアカミミガメにアメリカザリガニ。ブラックバス、コイ、カミツキガメ……これらはすべて人によって持ち込まれた外来種。この外来種という言葉をお茶の間に広めたのがテレビ東京の人気番組「緊急SOS!  池の水ぜんぶ抜く大作戦」だろう。
しかし番組を観ているだけではわからない問題点もある。朝日新聞科学医療部の小坪遊記者の新著『「池の水」抜くのは誰のため? ――暴走する生き物愛』より一部・抜粋、再構成して紹介する。

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孤立した湖に、なぜ魚がいるのか

2020-07-03 04:41:00 | 外来魚関連
孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようやくプロセスが明らかに
7/2(木) 17:40配信より
これまで仮説はあったが証拠がなかった......
──孤立した湖に、なぜ魚がいるのか......
極乾燥地域に囲まれた孤立した湖や池に、魚はどのように入植するのだろうか。「魚の卵が鳥の足やくちばし、羽に付着し、鳥によって遠方に運ばれるのではないか」との仮説が長年唱えられているが、2018年に発表されたスイス・バーゼル大学の文献レビューでは「この仮説を示す証拠はこれまでに見つかっていない」とされていた。
■ 植物の種は、鳥獣に食べられ運ばれるが......
ハンガリー・ドナウ研究所(DRI)生態学研究センター(CER)の研究チームは、外来種として広く知られるコイとギベリオブナの卵をマガモに与える実験を行い、「マガモに与えた魚卵のうち0.2%が消化器内で生き残り、糞として排泄され、さらにその一部は孵化した」との研究結果を2020年6月22日に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」で発表した。
鳥獣に食べられ、糞として排出されることで種子が運ばれる「動物被食散布」は植物でよくみられ、2017年に発表された蘭ユトレヒト大学の研究論文でも、植物の種子がマガモの糞として排泄され、遠方に運ばれることが示されている。今回の実験では、魚の卵にも同様の性質があることが明らかとなった。
■ 消化器内で生き残った卵の割合は0.2%
研究チームは、マガモ8羽にそれぞれコイとギベリオブナの卵500個を与え、75%のマガモの糞から合わせて18個の卵を検出した。そのうち12個は生長可能な状態で見つかり、さらにそのうちの3個が孵化に成功した。
マガモの消化器内で生き残った卵の割合は0.2%と低いが、コイの産卵数は1回あたり最大150万個にのぼり、1シーズンに数回、産卵する。タンパク質と脂質が豊富な魚卵は、マガモをはじめとする水鳥の好物だ。シロカモメシロカモ1羽から6万3501個もの魚卵が見つかった例もある。
これらをふまえ、研究論文では「自然界でのカモの個体数の多さや採食、移動をかんがみると、カモの『動物被食散布』が淡水生態系の生物多様性の保全や外来種の移入に影響をもたらしているのではないか」と考察している。


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神奈川県淡水魚増殖試験場報告

2007-09-27 16:26:41 | 外来魚関連
神奈川県淡水魚増殖試験場報告

表 題
温水性魚食魚の資源生態的研究(芦ノ湖におけるブラックバス、マス類の資源生態学的研究?)
号 数 第18号 
ペ<W P107-122

摘 要
近年急速に生息域を拡大しつつあるブラックバスは、魚食性が強いという社会的批判があることから、同じ魚食性魚であるマス類と比較研究することは興味深いと考え・芦の湖における、ブラックバス・ニジマス、ブラウントラウトの漁獲量調査、食性調査を54年度に実施した。そして3魚種とも魚類、特に芦ノ湖の有用魚種の1つであるワカサギを主に捕食している事が明らかにされた。しかし、冬季における食性は調査に含まれなかった。
そこで今年度は冬季の食性を含めて、さらにブラックバス稚魚の食性も併せて調査を実施したので報告する。

備 考
本 文 抜粋(一部修正)
芦ノ湖におけるブラックバス、マス類の資源生態的研究-2
近年急速に生息域を拡大しつつあるブラックバスは、魚食性が強いという社会的批判があることから、同じ魚食性魚であるマス類と比較研究することは興味深いと考え・芦の湖における、ブラックバス・ニジマス、ブラウントラウトの漁獲量調査、食性調査を54年度に実施した。そして3魚種とも魚類、特に芦ノ湖の有用魚種の1つであるワカサギを主に捕食している事が明らかにされた。しかし、冬季における食性は調査に含まれなかった。
そこで今年度は冬季の食性を含めて、さらにブラックバス稚魚の食性も併せて調査を実施したので報告する。

調査方法
 期間:昭和55年1月から同年9月
 採集方法:主に釣りによる

結果
 胃内容物組成
ブラックバスは魚類が69.2%を占め、ついで甲殻類が18.3%で、この両者で90%近くを占めた。12月~3月の冬季にも2月を除き魚類が高い割合を占めた。
ニジマスでは魚類が78.9%を占め、その他が15.6%でこれに続いた。
12月~3月の冬季には魚類の割合が比較的低く、特に1月~2月は極端に低い割合を示した。
ブラウントラウトでは魚類が97.3%とほとんどを占めた。12月~3月の冬季も大部分が魚類の割合が比較的低く、特に1月~2月は極端に低い割合を示した。月の予季も大部分カミ魚類であるが2月だけは53.3%と比較的筆意値を示した。
 以上3種を比較すると、魚類の占める割合が最も高いのはブラウントラウトで、次いでニジマス、ブラックバスの順であった。
 各魚種の特徴としては、ブラックバスで甲殻類の割合が比較的大きいこと、ニジマスで「その他」に含まれる。通常餌料にはなり得ないタバコのフィルターや石などが多いことがあげられる。
 また、3魚種共通の傾向として、2月に魚類の割合が極端に低い事が目につく。この時期は芦の湖の水温の最も低い時期にあたり、このことが影響していることも考えられる。
 捕食されていた魚類をさらに魚種別に見ると、ブラックバスではコイの割合が最も高いが、これはすべて8月の標本から検出されたもので、この時期に大量に放流され、岸近くで大群をなしていたコイを捕食したものと考えられ、赤いコイが大部分であった。次に多いのはワカサギで、全餌料中の湿重量割合で15.9%を占めたが、前記の理由から実質的にはこのワカサギが最も高い割合を占めていたと考えてもよいと思わる。そして8月の値を除した計算では全餌料中22.7%となる。ワカサギについで多いのはオイカワであった。
個体数は少なかったが大型のものが捕食されており、総重量でワカサギに近い値を示した。
 ニジマスとブラウントラウトではワカサギの割合が高く、全餌料に対する湿重量割合で、それぞれ76.7%、91.1%を占めた。

胃内容物(湿重量)の割合 (単位:%)
魚種 餌料生物 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 平均
ブラックバス 魚類 55.8 2.6 87.0 92.0 26.0 90.7 62.9 91.8 23.1 63.5 96.7 61.7 69.2
甲殻類 21.6 94.9 13.0 8.0 72.0 7.4 28.4 8.2 27 30.8 2.1 16.2 18.3
昆虫類 1.8 2.6 2.0 8.7 22.6 5.8 22.0 7.8
異物 11.5 1.9 27.3 1.3 4.7
ニジマス 魚類 93.8 96.1 68.5 0.9 5.0 64.1 72.9 81.7 91.8 90.8 29.9 95.5 78.9
甲殻類 0.7 0.5 0.6 0.2
昆虫類 0.5 0.1 2.4 5.2 7.6 16.2 3.1 1.3 5.3 35.7 0.5 5.3
異物 5.0 3.8 29.1 94 95.0 27.8 10.9 14.7 7.0 4.0 34.4 4.0 15.6
ブラウントラウト 魚類 100.0 99.3 99.9 96.6 53.3 91.8 97.8 85.8 99.2 98.9 100 100.0 97.3
甲殻類 1.0 1.2 0.1
昆虫類 0.1 6.5 7.1 1.8 1.5 0.8 1.0
異物 0.6 0.1 3.4 40.2 0.3 11.4 1.1 1.6

魚類の捕食個体数と被捕食尾数 (単位:尾)
魚種 餌料生物 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 合計
ブラックバス ワカサギ 15 1 2 6 17 42 11 11 7 5 117
オイカワ 1 5 1 7
ヨシノボリ 3 4 4 11
ブラックバス 1 1 2 4
ウキゴリ 1 1
コイ 12 12
不明 3 1 1 1 1 4 4 5 8 1 29
合計 18 2 2 3 3 7 22 46 20 25 25 9 154
採捕尾数 23 8 6 7 6 20 27 22 49 30 22 14 234
ニジマス ワカサギ 109 118 23 1 3 19 36 85 37 27 37 120 615
不明 7 3 2 1 1 4 2 20
合計 116 121 25 1 3 19 37 85 38 31 39 120 635
採捕尾数 32 18 5 23 20 13 16 19 21 22 21 22 232
ブラウントラウト ワカサギ 3 13 18 6 1 5 15 6 3 5 3 4 82
オイカワ               2 2
コイ               1 1
不明 1 18 8 1 2 1   2 1 7 41
合計 4 31 26 7 3 6 15 8 4 15 3 4 126
採捕尾数 4 20 20 26 22 13 17 14 5 9 3 4 157

ブラックバス当才魚の食性と成長
昭和55年8月22目と1O月29日のそれぞれ午後2時、夕方7時、翌朝7時の3回、地曳網によって採集したブラックバス当才魚の食性を調べた。
8月の結果では、体長が50mm未満の個体ではミジンコ類とユスリカ類に対する捕食率が高く、50mmを超えると魚類の捕食率が急に高くなる傾向が見られた。
魚類、特にワカサギの捕食率は体長に比例して高くなる傾向カ干あり、エピ類にもやや同様の傾が見られる。ミジンコ類は60mmを超える個体には捕食されておらず、またユスリカ類は70mm以上の個体体からは検出されなかった。
10月の結果では、70mm未満の個体でミジンコ類の捕食率が高い。ユスリカ類ももミジンコ類以上に高い捕食率を示し、どの体長の個体にもほぼまんべんなく捕食されている。
70mm以上の個体では急に魚類の捕食率が高くなり、同時にミジンコの捕食率が急に減少している。
8月と10月の結果を比較すると、同じ体長で比較して10月の方が魚類、特こ、ワカサギとエビ類の捕食率が低く、ユスリカ類とミジンコ類の捕食率が高い。しかも、8月に比べ大型の個体もユスリカ、ミジンコ類を捕食している。
しかし、8月、10月どちらも大型の個体ほど魚類の捕食率が高くなっていることから、この捕食率の違いは、魚類の捕食の難易によるものと推察される。つまり、少なくとも体長120mm程度までのブラックバス捕食率は、魚類に対する捕食の難易に支配され、そして魚類の捕食の難易はブラックの成長段階による捕食能力と、被食魚類の成長段階や密度による捕食の難易に支配されると考えられる。
8月および10月に採集した当才魚の体長、体重は、8月22日から10月29日までの68日間で、体長で平均23.6mm、体重で平均8.5g成長したことになる。
 
まとめ
 芦の湖の魚食性魚類3種の食性を調査した結果、ブラックバスでは魚類と甲殻類が多く捕食されており、それぞれ胃内容物重量%で69.2%、18.3%であった。
 一方、ニジマスでは魚類78.9%、ブラウントラウトでは魚類97.3%であった。
 また、不明魚を除いた場合の被食魚中にワカサギの占める割合は、ブラックバス53.7%、ニジマス100%、ブラウントラウト98.0%であった。
 これらの結果は54年の調査結果とよく一致しており、待にニジマス、ブラウントラウトではワカサギが大部分を占めたことも同様であった。
 ブラックバスの当才魚においては、60mm~70mmを境にして、それ以下はユスリカ類とミジンコ類を捕食し、それ以上は急に魚食性が強まる傾向が見られた。
 そして、これらのブラックバス当才魚にワカサギの幼魚が多数摘食されていた。
このように、芦の湖においては、これらの魚食性魚類は主にワカサギを餌料としていることがわかったが、今回の漁獲量調査の結果では、ワカサギの釣獲量は昨年とほぼ同じで、むしろわずかではあるが多くなっている。
 このことから、現在の芦の湖のワカサギ資源は、他の被捕食魚種と合わせて、魚食性3魚種を支えるだけの数量が確保されていると考えられる、つまり芦の湖の収容力は、現在の魚食性魚種と、その餌料となる魚類の資源量を維持するに足るものであると考えられる。
 しかし、マス類は放流後間もなく釣り上げられるものも多数あり、実質的な魚食性魚類の許容量は、自然繁殖によるブラックバス資源が、ある程度固定的なものとすれば、マス類において現在の放流量よりも少なくなる可能性がある。
現在芦の湖において盛んになりつつあるゲームフィッシングの対象魚として望まれている野性的な魚を育てるために、マス類を稚魚で放流しようとするような場合は特にこの点に留意する必要があろう。

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