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木元貴章の世界の建築

建築が好き、いつか世界中の建築物を見て回りたい。
そんな木元貴章が一押しの建築をご紹介するブログです。

木元貴章の建築ブログ/【海外レポート】夢か現実か?巨大高層建築プロジェクトが直面する4つの課題

2025-04-30 12:48:15 | 日記

木元貴章の建築ブログー

都市の未来を象徴する存在として、超高層ビルは世界中で建設が進められています。特に中東・アジア・北米を中心に、500メートルを超える「超」高層ビルが計画され、都市開発の旗印として注目を集めています。

しかしその一方で、壮大なビジョンの裏には、数々の現実的な課題が存在することも事実です。この記事では、海外における高層建築プロジェクトが直面している主要な課題を、具体例とともにご紹介します。


1. 巨額の建設費と採算性の問題

超高層ビルの建設には、数千億円から兆円単位の巨額な投資が必要です。たとえばサウジアラビアが進める「ネオム」計画の中核である**The Line(ザ・ライン)**は、1,700kmの直線都市構想として話題を集めましたが、その建設費用は当初想定を大幅に超え、プロジェクトの縮小や遅延が報じられています。

課題:採算が取れるのか?
想定以上の建設費、材料費の高騰、予測を下回るテナント需要などが、プロジェクト全体の持続可能性を揺るがせています。


2. 建設技術と労働力の限界

高層化すればするほど、設計や施工の難易度は指数関数的に上昇します。特に地震、強風、高温など過酷な自然環境の下では、最新鋭の構造設計と技術が必要です。また、多くの国では熟練労働者の確保が難しくなっており、工期の遅れにつながることもしばしばです。

課題:人と技術のバランス
現場での施工ミスや安全管理の難しさもあり、計画通りに完成させるのは簡単ではありません。


3. 環境への影響と持続可能性

都市のランドマークとしてそびえる高層ビルですが、環境負荷の大きさも問題視されています。大量のコンクリートや鉄鋼を使用するため、CO₂排出量が膨大になりやすく、グリーンビルディング規格への対応も求められています。

また、気候変動の進行により、海面上昇や猛暑などの影響を受けやすい地域では、設計思想そのものを見直す動きも出ています。

課題:見栄えか、エコか?
高層建築の美学と持続可能性の両立は、今後ますます重要なテーマになります。


4. 政治・社会情勢の影響

建設プロジェクトは、単に建物を建てるだけでは完結しません。土地の取得、都市計画との整合性、住民の理解、政府の支援など、多くの利害関係者との調整が必要です。さらに、政権交代や経済制裁、戦争、パンデミックといった外的要因によって、プロジェクトが一時停止や中止に追い込まれるケースもあります。

課題:未来は読めない
巨大プロジェクトは長期戦。時代の変化に翻弄されることもあります。


まとめ:理想と現実の間にある「超高層」の世界

海外の高層建築プロジェクトは、単なる“高さ競争”ではなく、その都市の未来像を映し出す鏡でもあります。しかし、そこにあるのは夢だけではなく、資金、技術、環境、社会といった複雑な課題の集合体です。

都市が進化するために必要なのは、高さではなく、地に足のついたビジョンと持続可能な設計思想。これからの高層建築には、“つくる”だけでなく“どう使い、どう生かすか”という視点が求められているのです。

木元貴章


木元貴章の建築ブログ/【海外レポート】夢か現実か?巨大高層建築プロジェクトが直面する4つの課題

2025-04-30 12:42:00 | 日記

木元貴章の建築ブログー

都市の未来を象徴する存在として、超高層ビルは世界中で建設が進められています。特に中東・アジア・北米を中心に、500メートルを超える「超」高層ビルが計画され、都市開発の旗印として注目を集めています。

しかしその一方で、壮大なビジョンの裏には、数々の現実的な課題が存在することも事実です。この記事では、海外における高層建築プロジェクトが直面している主要な課題を、具体例とともにご紹介します。


1. 巨額の建設費と採算性の問題

超高層ビルの建設には、数千億円から兆円単位の巨額な投資が必要です。たとえばサウジアラビアが進める「ネオム」計画の中核である**The Line(ザ・ライン)**は、1,700kmの直線都市構想として話題を集めましたが、その建設費用は当初想定を大幅に超え、プロジェクトの縮小や遅延が報じられています。

課題:採算が取れるのか?
想定以上の建設費、材料費の高騰、予測を下回るテナント需要などが、プロジェクト全体の持続可能性を揺るがせています。


2. 建設技術と労働力の限界

高層化すればするほど、設計や施工の難易度は指数関数的に上昇します。特に地震、強風、高温など過酷な自然環境の下では、最新鋭の構造設計と技術が必要です。また、多くの国では熟練労働者の確保が難しくなっており、工期の遅れにつながることもしばしばです。

課題:人と技術のバランス
現場での施工ミスや安全管理の難しさもあり、計画通りに完成させるのは簡単ではありません。


3. 環境への影響と持続可能性

都市のランドマークとしてそびえる高層ビルですが、環境負荷の大きさも問題視されています。大量のコンクリートや鉄鋼を使用するため、CO₂排出量が膨大になりやすく、グリーンビルディング規格への対応も求められています。

また、気候変動の進行により、海面上昇や猛暑などの影響を受けやすい地域では、設計思想そのものを見直す動きも出ています。

課題:見栄えか、エコか?
高層建築の美学と持続可能性の両立は、今後ますます重要なテーマになります。


4. 政治・社会情勢の影響

建設プロジェクトは、単に建物を建てるだけでは完結しません。土地の取得、都市計画との整合性、住民の理解、政府の支援など、多くの利害関係者との調整が必要です。さらに、政権交代や経済制裁、戦争、パンデミックといった外的要因によって、プロジェクトが一時停止や中止に追い込まれるケースもあります。

課題:未来は読めない
巨大プロジェクトは長期戦。時代の変化に翻弄されることもあります。


まとめ:理想と現実の間にある「超高層」の世界

海外の高層建築プロジェクトは、単なる“高さ競争”ではなく、その都市の未来像を映し出す鏡でもあります。しかし、そこにあるのは夢だけではなく、資金、技術、環境、社会といった複雑な課題の集合体です。

都市が進化するために必要なのは、高さではなく、地に足のついたビジョンと持続可能な設計思想。これからの高層建築には、“つくる”だけでなく“どう使い、どう生かすか”という視点が求められているのです。

木元貴章


木元貴章の建築ブログ/東京における超高層ビルの新規開発

2025-04-24 12:40:14 | 日記

木元貴章の建築ブログー

東京では現在、都市の景観と機能性を一新する超高層ビルの新規開発が数多く進行中です。これらのプロジェクトは、ビジネス、居住、商業の各分野で新たな価値を提供し、東京の国際的な競争力をさらに高めることが期待されています。以下に、注目すべき主要なプロジェクトをご紹介します。​

1. TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)計画

東京駅日本橋口前で進行中の大規模再開発プロジェクトで、高さ390mの超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」を含み、2028年の竣工を予定しています。このプロジェクトには、国際級ホテルや大規模ホール、約7,000㎡の広場「TOKYO TORCH Park」など、多彩な施設が整備される計画です。

2. 麻布台ヒルズ

「Modern Urban Village」をコンセプトに掲げ、緑豊かな環境とウェルネスを重視した都市開発プロジェクトです。街の中心に広場を配置し、3棟の超高層タワーを設置。約6,000㎡の中央広場を含む約2.4haの緑地を実現し、都心におけるヒートアイランド現象の緩和にも寄与しています。

3. リビオタワー品川

品川駅から徒歩13分の位置に建設中の地上34階建て、総戸数815戸の超高層タワーマンションです。品川エリアでは15年ぶりとなる30階超のタワーマンションで、リニア新幹線開通や駅周辺の大規模再開発により、さらなる発展が期待されています。

4. 内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業

高さ200m超、延床面積約29万㎡の超高層大規模複合用途ビルの建設が予定されています。このタワー棟では、省エネルギー技術を導入し、「ZEB Ready」認証の取得を目指しています。

5. 八重洲一丁目東B地区再開発

東京駅八重洲口正面エリアで進行中の再開発プロジェクトで、地上51階建ての超高層ビルが建設中です。大規模ホールや劇場を備え、オフィス街に不足していた文化発信拠点となる計画です。

これらのプロジェクトは、東京の都市機能を向上させるだけでなく、環境への配慮や防災性の強化など、多面的な価値を提供しています。今後もこれらの開発がどのように進展し、東京の未来を形作っていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

木元貴章


木元貴章の建築ブログ/【解説】2025年建築基準法の改正がもたらす、高層建築への影響とは?

2025-04-17 12:35:37 | 日記

木元貴章の建築ブログー

2025年4月、建築業界にとって重要な節目となる建築基準法の改正が施行されます。この改正は、持続可能な都市づくりと防災性の向上を目的としており、高層建築の設計・施工にも少なからぬ影響を与えることが予想されています。

この記事では、改正のポイントと、それが高層建築に与える具体的な影響についてわかりやすく解説します。


改正の背景にある時代のニーズ

今回の法改正は、以下のような社会的背景を踏まえて行われています:

  • 気候変動対策・脱炭素社会の実現

  • 防災・耐震性能の強化

  • 人口減少・都市の再編成

  • 木造建築や再生可能資源の推進

これらを踏まえて、建築物の設計に求められる基準もより厳格かつ柔軟に変化してきています。


注目の改正ポイント 〜特に高層建築に関係するもの〜

1. 4号特例の縮小

従来の「4号特例(小規模建築物に対する確認申請の簡略化措置)」が縮小されます。これは主に中低層向けの規定ですが、高層建築の中に複合用途(住宅・商業)や分棟構成を含む場合には影響することもあります。確認申請の精緻化と設計の手間の増加は設計者にとって重要なポイントです。

2. 大規模木造建築物に関する防火規定の見直し

これまで制限されていた中高層の木造建築が、一定の防火・耐火性能を満たすことで実現可能に。CLT(直交集成板)など新素材の登場により、**「木の高層ビル」**が現実味を帯びてきています。

→ 特に都市部では、環境配慮とデザイン性を両立した木造高層建築が今後さらに増える可能性があります。

3. 省エネ基準適合義務の拡大

2025年以降、すべての新築建築物に対して省エネルギー基準の適合が義務化されます。高層ビルでは空調や照明のエネルギー消費が大きいため、設備設計の見直しやBIMによる熱環境シミュレーションの活用がカギになります。

4. 都市計画・用途地域に関する柔軟性の向上

用途変更や敷地統合に対する規制緩和が一部進み、再開発プロジェクトの自由度が増しています。複合用途型の高層建築や、狭小地でのタワー建築なども計画しやすくなってきており、設計の幅が広がるのはポジティブな変化です。


高層建築に求められる「新しい常識」

今回の改正を受けて、高層建築の設計・開発において以下の視点がますます重要になってきます:

  • エネルギー効率と快適性の両立

  • 環境配慮と構造安全性の共存(特に木造)

  • BIM・DXなどのデジタル設計ツールの活用

  • 法改正への柔軟な対応力と設計初期の戦略立案


まとめ:建築の未来をどう描くか

2025年の建築基準法改正は、従来の常識を変える契機になるかもしれません。とくに高層建築においては、ただ高く積み上げる時代から、いかに環境に優しく、都市と共生するかが問われるようになります。

新しい法制度のもとで、建築家・設計者・ディベロッパーがどのようにクリエイティブな答えを出すのか――そこに今後の都市の未来がかかっていると言えるでしょう。

木元貴章


木元貴章の建築ブログ/木造高層建築が都市を変える?進化する技術と環境配慮の最前線

2025-04-10 12:28:36 | 日記

近年、世界各地で「木造高層建築」が注目を集めています。これまで高層ビルといえば鉄筋コンクリートや鉄骨が主流でしたが、いまや“木”が都市の景観を変えつつあるのです。なぜ今、木造建築がこれほど注目されているのでしょうか?その背景には、環境配慮建築技術の進化が大きく関わっています。

なぜ木造?その理由とは

木造建築の最大の魅力は、地球環境への優しさです。木は成長過程でCO₂を吸収し、建築材として使われたあとも炭素を内部に蓄える「カーボンストック」の役割を果たします。つまり、木造建築は温暖化防止に貢献する建物と言えるのです。

加えて、木材は再生可能な資源であり、適切に管理された森林から供給されることで持続可能な建築資材になります。鉄やコンクリートの製造に比べてCO₂排出量も格段に少ない点が評価されています。


技術革新が可能にした「高層化」

かつては「木造は耐久性が低く、高層化には向かない」と考えられていましたが、今は違います。近年開発された**CLT(直交集成板)グルーラム(集成材)**などの木質材料が構造材として実用化され、耐火性・耐震性の課題を克服してきました。

日本国内でも、2025年に竣工予定の地上17階建ての木造ハイブリッド高層ビルが三井不動産と竹中工務店によって計画されています。海外では、ノルウェーやカナダなどで10階以上の純木造高層ビルが次々と建設されており、まさにグローバルなトレンドとなっています。


木造の“やさしさ”がもたらすもの

木の香りや温もりは、鉄やガラスでは得られない快適な空間を生み出します。学校やオフィス、病院などで木造が採用されるケースも増えており、心理的な安心感や集中力の向上といった効果も期待されています。

さらに、木造建築は解体やリサイクルがしやすいという点でも環境配慮に優れており、「つくる責任」「つかう責任」というSDGsの観点からも注目されています。


今後の課題と期待

木造高層建築が広がるには、法規制の整備建築コストのバランスといった課題もあります。特に日本では防火基準の厳しさが一部の足かせになっている部分もありますが、2025年の建築基準法改正で大規模木造に関する規定が見直される予定です。

これからは、木を活かした都市づくりという新たな発想が求められる時代です。単なる“エコ”にとどまらず、美しさと機能性、そして持続可能性を融合した建築が求められています。


まとめ

木造高層建築は、建築の未来に向けた大きな一歩です。都市の中に自然のぬくもりを取り入れ、地球に優しい社会の実現に貢献するこの動きは、今後ますます広がっていくことでしょう。もし街で「木でできた高層ビル」を見かけたら、それはただの建物ではなく、未来へのメッセージかもしれません。